ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

新山、シルビアからの乗り換えを検討する。

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北海道から帰って1ヶ月ほど経ったある日。「暇ですか」とのメールに応じて新山氏の実家まで出向くと、庭が上記の写真の状態でした。


「何ですかこれ」

「笑’s・コンパクト焚き火グリル・B6君。焚き火台だね」


当時まだゆるキャン△がアニメ化されていない、2016年9月の話です。私は目を疑いました。


「小さくね?  こんなんで焚き火出来るんですか」

「できる。しかも折りたためるんだよこれ。ライダー御用達の小サイズ。こないだの北海道旅行で、インテさんが使っててさ。『いいですね』って話したら、『貸してやるから、しばらく使って気に入ったら買うといいよ』とのことでお借りしました。余った炭もあることだし、肉でも焼いてテストしようと思ってさ」


笑’s。埼玉県の誇るキャンパー兼板金屋さん、高久笑一氏による焚き火台ブランドです。耐久性と簡易組立性、収納性を突き詰めた小型焚き火グリル、A-4君・B-6君がメイン商品。2018年にゆるキャン△とのコラボモデル、「B-6君・リンちゃんのYAKINIKUセット」が発売されて話題になりましたが、それ以前からキャンパーの間では名品と評判になっていたようです。

 

笑’sホームページ

http://www.sho-s.jp


「成り立ちが国内ギタールシアーみたいだな……」

「あー工房モノのギターみたいな?  分かる気はするね」

 

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実戦投入時の写真。サイドから見たロゴがよいです。

 

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近所のスーパーでビールと肉を買い込み、炭と着火剤を投下。少しばかり涼しくなった庭にキャンプ用の椅子を出して、焼肉を開始します。


ちびちびと肉を焼きながら、「結構火力上がりますねこれ」「設計がいいんだろうね、下から空気入りやすくなってるし」などと感想をまとめていると、ポツリと新山さんが話を変えてきました。


「そういや、最近、バイク降りようかと思っててさ」


なお、この一年後にホンダ・CB400からホンダ・ゼルビスに乗り換えている上に通勤もバイクになる新山さんですが、それはまた機会があれば書き記します。


「唐突だね」

「北海道から帰って、やるこたあやった感が出てきてね。元々おれ、どっちかっていうと車派の人間で、バイクに興味出たのって大人になってからだしさ。これから先、バイクに掛かってる時間と金を車に投下した方が、密度濃くなるんじゃないかって思い始めてきまして」

「『選択と集中』ってやつですか。そうなるとシルビアに投資すんの?」

「いやー実はそこもねえ」


言い澱む新山さん。今回の本題に突入します。


「最近、他の車が気になり始めて」

「……といいますと?」

「この先、いつまで好きな車に乗れるんだろうって考えちゃうんだよね。維持費と利便性、ましてこの先子供なんか出来たら、日常使いで乗ることとチャイルドシートのこととか考えると、4人乗れるとはいえ、2ドアでMTのシルビアってわけにもいかないでしょ。ーーしかもおれ、最近遠出増えてるんだよね」

「キャンプ始めたし、旅行にも行ってるね。冬なんか結構あちこち出かけてたでしょ。こないだ、真冬の月山に温泉入りに行ってなかったっけ」


しかもシルビアで。よくスタックしなかったなとつくづく思います。


「そう。そうなんですよ。となると、荷物が詰めて、安楽に走れて、雪の深いとこでもどこでも、懸念なく突き進める車がいいなあと思うようになりまして。ーーシルビア、特におれのオーテックバージョン、街乗りだとどちらかというとダルな車だからね。低速のトルクないんですよ。ターボのスペックRと比べると、NAのシルビアはギア比も全然違ってさ。あっちの方がトルクもあるし。ぶん回せば別だけど、ある意味コペンの方がキビキビさは上だと思うよ。……おれのシルビア、高速で6速巡行の状態から加速できないからね」

「そういえば、坂に差し掛かるときわりと5速にシフトダウンしてるよね。ーーとなると、これ以上バイクにかける金があるのかと?」

「そういうことです。まずは車に振り切るところからかな、と。あ、実はこないだ、ラパン試乗してきたんですよ」

「軽じゃん! 高速巡行とトルクの話はどうなった!」


シルビアに乗ってる人間がラパンを見に行くことがそもそも稀有だとも思います。


「いやー、維持費考えると、まず候補に上がるのは軽かなと。家族できたら乗るのおれだけじゃないしね。特に最近の軽は高速もそれなりに走るし。それに、結構侮れないよラパン。初代のSSグレードなんか元気いいって評判だったからね」

グランツーリスモにも出て来てたね」

「5ね。それに現行ラパン、Gグレードだとミッションが5速AGSってやつなんだよ。機構はマニュアルと一緒で、クラッチとシフト操作をオートでやるタイプ。おれCVT苦手なんだけど、これなら挙動も違和感ないんじゃないかと思ってさ。しかも軽い。650kg。シルビアの半分弱だぜ。絶対楽しいでしょ」

「元がアルトだもんね…。新型のアルトならおれも会社で乗ったけどよかったよ。キビキビしてて。で、どうだったの?」

「案の定よかったです」


どうもこの男、別にスポーツカーが特別好きというわけではなく、工業製品として車全般が好きなようで、シルビアとラパンを同列に並べて語れる辺りやっぱり面白い思考構造をしてるなと思います。


「あと、コペンも見に行った」

「え。ひょっとして同じとこ?」

「そう。すぐそこのダイハツ。案内してくれた人も同じだったみたいで、地元の友達が乗ってるって話したらすぐ分かったよ。念のためシルビアの下取りも見てもらったんだけど……、珍モデルとはいえ、やっぱりターボ付いてないと人気ないみたいでさ。『私も昔シルビア乗ってたんですが、乗れるうちは乗っといた方がいい』って言われた。そりゃそうだよね」


候補車のチョイスの訳がわかりませんが、聞く限りラパンは「長く乗ること」と「楽しさ」のバランスを考えて絞り出した選択肢であり、コペンは「維持費とリセールの強さ」を踏まえて「短期所有のファンカー」に振り切って出てきたものと思われます。結構よく考えています。


「ただまあ、一番気になってる車があってさ」

「何」

「サファリ」


またえげつない車が出てきました。

 

「エクストレイルのお化けみたいなやつか」

「すごい言い方するね。サファリの方が歴史全然古いんだけどね」


日産サファリ。トヨタランクルと並び称されるオフロードカーの筆頭格であり、今では絶版となってしまった大型四輪駆動車です。山岳救助隊が愛用している、紛争地帯でゴリゴリに使われている、サスペンションからしてトラックやらジムニーやらと同じリジットサスである、などなどから分かる通り、昨今のSUVブームとは一線を画する「走破性全フリ」という性質の車です。


「一番ヤバいけど一番納得感のあるチョイスだね」

「でしょ。大排気量。有り余るトルク。図体のデカさ。走破性。欲しい要素は全部満たしてる。完璧です。問題は燃費と税金だけだね」

「何リッターあるの排気量」

「4.8L」

「4.8L」

「ついでに燃費は4とか5Km/h」

「存在がアメ車じゃん」

 

男の夢である「スペックで笑いが取れるタイプの車」のようです。

 

「用途を考えるとそんなにおかしなスペックでもないんだけどね。今のSUVと比べるとたしかに諸々デカイと思う。ロマン枠であることはたしかだね」

 

ほしいのは最終モデルである3代目のY61型、4.8Lガソリンエンジンモデル、デフロック付きの仕様だそうです。維持費は単純計算でシルビアの倍。そりゃあバイク離れを考え出すのも分かります。

 

「なるほどね。……でもまあ、デカくて安楽な車ほしくなるのは分かる気がするなあ。近場のドライブスポット粗方行き尽くしたせいか、年々一回辺りの航続距離が伸びてるもんね」

「関東圏なら『ちょっとそこまで』って感覚は付いてきちゃったよね」

「そうそう。こないだの北海道も、青森から東北道使って自走で帰ってきたんだけど、やっぱりコペンじゃ少しキツかったんだよ。100km/h巡行しようとすると4,000rpm近く回るからやかましいし、休憩しようにも2シーターだからシート倒せないし。A3みたいに、クルコンでも付いてれば500kmくらい安楽に走れるんだけど」

「マニュアルじゃそうもいかないしねえ。ーー『年をとるとゆったりトルクで走りたくなる』って車レビュー記事、昔からよく読んだけど、あれってホントなんだな」

「体力の低下と行動範囲の拡大ですかね」

 

こういうときに年をとったなあとしみじみ感じます。趣味嗜好の変化というか拡大。食い物の嗜好とかもそうですよね。

 

「ただまあ、普段使いじゃ間違いなくコペンが一番楽しいと思うんだよね」

「それ。多分シルビアもそう」

 

新山は、シルビアの場合は街乗りのトルク不足があるからまた少し違うと思うけど、と付け足した上で、

 

「おれも、峠道なんか走ろうものなら『やっぱりシルビアがよかったなあ』ってなるんだろうしさ。その辺はホント選択だよね。いやでもサファリほしいよサファリ。ああいうどデカイ車でのんびり走るって感覚味わったことないしさ。あれはあれで楽しいんだろうなあ。気になるなあ」

 


オチから言うとこのしばらく後、謎のエンジン息継ぎ現象の解決の為にO2センサー交換に手を出したことをきっかけとし、新山氏はやっぱりシルビアをいじり続けることになり、足回りのゴムブッシュを全交換し、タイヤをミシュランに換え、オーテックバージョン対応マフラーをヤフオクで競り落とし、ロールバーを増設し、シルビアはその性能(主に直進安定性と運転手のやる気を高める気合い度)を着々と上げていくことになるのでした。

 

そうこうしつつも、他の車への興味は完全に消え切らないようでして、主に「常用回転域でのトルク感」を軸にあれこれと車の物色を続けていくことになります。次はそんな中、「NAのシルビア乗り」にとって避けて通れぬ「ターボ」についてのお話です。


続きます。

大学の先輩製作クラシックギター試作4号機.

大学の先輩製作クラシックギター試作4号機.


大学時代の先輩から譲ってもらった、自主製作クラシックギターの試作4号機です。

 

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やや小さい、薄型のボディーサイズ。心持ち低めの弦高。製作者の先輩曰く「おまえどうせクラシック弾かないだろうから薄めに作った。ボサノバとか合うと思う」とのことです。卒業前のソロ会はレイ・ゲーラ弾いたんですけどね…。そのあくる日。


ただまあ先輩の読みはドンピシャで、もっぱらボサノバ系のバッキングとソロフレーズで活躍しています。ミッドが控えめでありながら、ハイとローが主張するクッキリした音で、ボーカルと合わせると互いの音がよく聴こえて激烈に心地いいです。ミッドはマイキングで調整すりゃいいという思想。


弦高低めなので変に強く弾くとバチバチ言いますが、芯を捉えて弾くと中々に太い音も出ます。おかけまで右手に気を使うようになりました。ボサノバ伴奏時、ボーカルさんからは「爪弾いてる感じがあって良い」と言ってもらえたで、自分としては及第点以上です。


ソロフレーズを弾くと、アタックが際立ったカキクケコの発音が目立つ音がします。所謂「ガット」感のある音で大変気に入っています。アタックを効かせても耳に痛くなりにくいのがガットの利点だと思っているんですが、まさにそんな印象です。とても良いです。



わりとシンプルなギターが好みな私ですが(000-18やLowdenなど)、このギターを始め、クラシックギターは繊細な装飾が多くて素敵だなと思います。

 

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サウンドホール。縁取りが美しい。

 

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ペグ。よく見るとサイドの彫り物が細やかです。どんだけ手間かかるんだこれ…。ヘッドにもサイドバックと同じ突き板が貼ってあるんですね。

 

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指板はエボニー。黒々として綺麗です。

 

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ボディー外周。エレキギターでういスクレイプドバインディングみたいで独特の色気があります…。

 

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ブリッジの装飾も細やかです。

 

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トップ材はスプルース系、サイドバックはローズウッド系でしょうか。ネック材はマホガニー。明るいスプルーストップが好みなのでこの仕様は嬉しかったです。

 

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弦はサバレスを使用。クッキリハッキリした音質特性を活かすことと、弦高の低さからテンションを稼ぐことが目的です。相性はいいと思います。


こうして改めて眺めると、製作者の先輩の美観が随所に出ていることに気づいて懐かしくなってしまいました。


柔らかで飾らない人柄ながら内面が激情家で、音色は暖かいのに演奏は力強い、芸術家そのままの二律背反を持ちながら部内の誰からも好かれている先輩らしい、声高に主張しない、最強に美しいギターであります。



大学卒業後、久しぶりにOBで集まって合奏練習をしていたある日の休憩中、先輩から「梁井くんギターいらない?」と声をかけられました。


突然何やらと思いつつ「ほしいです」と答えたら、続いて出てきた台詞は「おれ最近ギター作っててさ」とのこと。


『おれ最近ギター作っててさ』


何ともパンチのある台詞だなと思いつつ、この人ならやりかねないと納得もしながら話を聞いてみると、この先輩、数年前から「弾くより作る」にハマり始めたようです。


卒業後、働き始めて貯めたお金を投入して木材と機材を購入。試作に一本、自分用に一本、ギターを始めたいという友人に一本製作し、直近の一本は趣向を変えて「小さめ薄型のボディーでフラメンコギターに近いやつ」を作ったとのこと。作った後で「さてこれをどうしよう」と悩んだところで、合奏の練習日、休憩時間中にエセボサノバを弾いて遊んでいた私を見て、「こいつに渡そう」と目をつけてくれたそうです。


この先輩、ズバ抜けた音色と表現力と情熱と人柄でサークル内の誰からも好かれていた人でして、この人が作ったギターならぜひにもと、二つ返事で答える私。「いくらでしょう?」と尋ねたところ、


「代金はいらない、できればたくさん弾いてほしい」


次の練習日、先輩が持ってきてくれたギターを見て「きれいなギターだ」と息を呑みましたが、細部の装飾の美しさに気づくのはそれから数年弾き続けた後になります。弾いてみた感触は上々で、ボディーの小ささと弦高の低さから来るハイ寄りの傾向はあるものの、今まで使っていたギターとタイプが違うこともあり、これを使いこなしてみたいと思える音色でした。


「長くたくさん弾いてほしい」という先輩の言葉も頭にあった為、ナイロンギターはこれ一本に絞ろうと、それまで使っていたクラギを手放すことを決意。部員が増えてギターが足りないという、母校のギターアンサンブルサークルに予備ギターとして寄贈することにしました。アストリアスの入門ギターでしたが鳴りもよくいいギターだったので、今でも弾いてもらえているなら嬉しいです。


それから3年間、合奏サークルでゴリゴリに使い倒させてもらいました。



合奏サークルもメンバーの結婚や出産で休止状態になり、私もエレキに移行して、しばらくケースにしまわれていたこのギターですが、3020 SOULSで一緒になったrucaさんから「ボサノバをやろう!」とのお誘いをもらい、久しぶりに陽の目を見ることになりました。


コンデンサマイクを使った生ギター録音は初めてで、録り音にDAW上でエフェクトをかけたのも、思えば今回が初めてでした。諸々幅を広げてくれたギターだと思います。


「長くたくさん弾いてほしい」と話していた先輩に応えられたことが、このギターに関して一番の喜びです。これからもよろしくお願いします。

G&L Tribute Series LEGACY (Mod).

G&L Tribute Series LEGACY (Mod) Rosewood Fingerboard / Lake Placid Blue.


手持ちギターで一番の古株、G&Lのストラトキャスタータイプです。

 

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改造及び調整、ハンダの実験台として使っていますが、中々どうして基礎力の高いギターに仕上がって来ました。

 


G&L Tribute Series LEGACY (Mod).


ピックアップをSeymour Duncanに、ジャックをスイッチクラフトに、トーンポットをCTSに、コンデンサをオレンジドロップに交換してます。「交換したらどうなるか」を音で録っときゃ良かったんですが、途中から「てめえで交換することに意義があるんだ、てめえで交換すればその分音が良くなるんだ」みたいな思考に陥り記録を取ることを放棄。最近はなるべく自分で作業できるようになろうと、練習台であれこれ弄り回されているギターです。

 

ピックアップ交換のおかげで、フロントは出力高め、センターはスタンダードなシングルコイル、リアがPAF系のハムと、わりと特徴的な音になっていて使い甲斐があります。


 

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元々の姿はこんな感じです。一見普通のストラトに見えますが、晩年のレオ・フェンダーの拘りなのか、要所要所が謎の仕様になっています。

 

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まずブリッジ。2点支持のシンクロトレモロユニットですが、支持部分にフェルト布のようなものが噛ませてあって、ベタ付けに出来ないフローティング専用ユニットになっています。


形状も独特で、ヘッドと相まって「あ、ジーエルだ」と一発で分かる仕様です。

 

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続いてトーンコントロール。トーン部分はローカットとハイカットになっていましたが、こいつの挙動が本当に謎で、所謂Cカーブ的な動きをします。途中まで効きが分からず、急にガクンと帯域がカットされる感じでした。


本格的に弾くようになってからすぐにAカーブのトーンコントロールに換えてしまったので、今触ればもう少し狙いが分かるかもしれませんが、初心者が一発目に買うギターとしては何とも難しいコントロールじゃないかと思います。


で、諸々の改造を経た現在の姿がこれです。

 

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最初に換えたのはリアピックアップ。Seymour DuncanのTB-4 JBに換えてます。

 

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当時ピッキングの強弱という概念が頭になく、シングルコイルのリアピックアップの何をどうすれば良い音が鳴るのかがさっぱり分かりませんでした。おまけに、店で見かける高いギターは軒並みリアにハムが載っていて、それならせめて見た目だけでもそれっぽくしようと決心。ブラックのオープンタイプのハムバッカーを物色し、手に入りやすくて情報も多い、ダンカンSH-4のトレモロギタータイプ、TB-4を購入しました。

 

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G&Lは所謂弁当箱ザグリのボディーでしたが、ハムを載せるには深さが足りずに木部の加工が必要だったので、大人しくショップに頼むことに。持ち込み先は浅草のネイキッドギターワークスさん。エフェクターレビュー好き御用達、フジコ・オーバードライブさんのブログで知ったリペアショップです。以来、自分じゃ出来ない作業はここにお願いしていて、隣のトンカツ屋で激烈にうまいトンカツ食べて帰ってます。胡椒が効いてて超うまいです。


ついでに緩みがちだったジャックと、例の謎コントロールの問題も片付けてしまおうと、ジャックをスイッチクラフトに、トーンポットをCTSのAカーブに、コンデンサをオレンジドロップに換えてもらいました。この辺、音にどう影響があったのかは不明ですが、使いやすい普通のギターになってくれたのはたしかです。なお、ボリュームポットはMightymiteの250KΩAカーブのままです。


その後、フロント・センターピックアップの交換と諸々の調整は自分でやりました。

 

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※配線の雑さは何卒ご容赦ください


リアを換えてみるとフロント・センターの線の細さが目立ったので、同じくダンカンで統一してみようと思うに至り、イシバシの御茶ノ水U-Boxでピックアップを物色。ちょうど気になっていたSSL-1とSSL-5の在庫が1つずつあったので、センター用、フロント用にそれぞれ買って帰りました。ついでにフェルナンデスの半田ごても合わせて購入。自分で取り付けてみることにしますが…


ここでピックアップ取り付けあるある問題に直面します。磁極と巻方向の問題です。


取り付けを終えて音出ししてみたところ、フロント・センターのミックスポジションが「ミッドがスカスカなシングルコイル」みたいな音になっており、配線間違ったかなと見返してみても正しい配線向きのはずで、こりゃどうしたもんかとアレコレ調べてみたところ、以下の2つのことがわかりました。


①ピックアップには「巻き方向と磁極」がそれぞれある

②ピックアップ単体で売っているものは磁極と巻き方向が買わなきゃわからないこともある


んなバカな!と思いきやどうもマジらしく、テスター使って調べないとどっちがどっちだかわからないこともあるようです。一万円以上する品物でそりゃ業界的にどうなんだと甚だ思いましたが、大学から社会人にかけて学んだことに「世の中は意外と不親切」「知識と下調べをもってして当たらないと大体失敗する」の2つがあり、反省。ここから試行錯誤が始まります。


最終的には、


①センター・リアのハーフトーンは綺麗に鳴っている(ついでに多分ハムキャンセルされている)

②フロント・センターがフェイズアウトしている


のだとしたら フロントを逆配線すればいいんじゃないかというツイッターでのアドバイスに従い決着しました。Xystさんありがとうございました。なお、フロントを逆配線することによるフロント単体での音の違いは試した限り感じられませんでした。ネットで調べた限りでも、単発で使用する分には特に影響がなさそうです。


というわけで、このギター、フロント・センターはノーマルのハーフトーン、センター・リアはハムキャンセルのハーフトーンとなっている状態です(多分)。この辺、ちゃんと理解してまとめてみたいもんです。

 

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続いて苦戦したのが、トレモロの調整と弦高の問題です。


これ、分かってしまえば実に当たり前の問題で情けないのですが、しばらくの間「このギターやたらネックが動くなあ」と思っていました。


私は基本10-46ゲージの弦を使ってるのですが、このギターは実験がてらあれこれゲージを変えており、09-42から10-46やら10-52やらに変えたり戻したりすることが多く、そのたびに弦高が高くなったり低くなったりで、「なんだよもー」とボヤきながらグリグリトラスロッドをいじっていました。


後から考えればなんてことはない、それは弦のテンションでトレモロユニットのブリッジが浮き上がったり下がったりしていただけで、ネックは思いのほかタフであり、ロクに動きもしていないものをロッドを無駄に動かしまくっていただけでした。すまぬジーエル君…。


10-46に戻した際、いくらブリッジを下げてもどうにも弦高が高いままで、「おかしい、いくらなんでもそんなすぐにネックが反るとも思えない」となってようやっと、09-42のときよりブリッジが浮き上がってることに気づきました。いそいそとボディー裏、トレモロユニットのネジを締めこむ私。情けないですがこういうアホみたいな経験を踏まないと構造が理解できないド文系の極みです。

 

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最後にネック周り。ヘッド側からトラスロッドを弄るタイプのギターは、ネックエンドが少し寂しいですね…。指板のラディアスは12Rらしい。


 

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他のギターは「こういう音を求めて買った」「こういうイメージなのでこういう使い方をしてこういう音を出そうとしている」という話から入っているにも関わらず、こいつの場合は「どこをどう改造してどういう苦労があった」という話に終始している辺り、付き合い方がよく分かります。実際、ギターの構造やら弄り方やらはこのギターで知れました。感謝してます。


元々はジョン・メイヤーに憧れて、シングルコイルの「弾ける(ハジける)ような音」がほしくて買ったギターです。


その後、「イメージするフロントシングルの音はフェンダーで出せる」「モダンでクリアはフロントシングルはタイラーで出せる」となった現状から、「それならこいつは出力高めのフロントシングルにしよう」と、フロントをSSL-5、センターはシャキシャキ感を狙ってSSL-1にするに至りました。


フロントで音が厚いなあと思ったらボリュームを絞るか、センターに切り替えるかで対応してます。こういうキャラクターが明確に違うフロント・センター・リアの使い分けも結構楽しいもんです。

 

もっぱらリアハムでアニソン弾く用として使っていたギターですが、今度タイラーともフェンダーと比べて「分かりやすく違う音が出るギター」として、クリーンクランチでもあれこれ使っていきたいと思います。

 

 

ちなみにボディー裏のステッカーは、高校大学時代によく聴いていた邦楽バンドのステッカーです。

 

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SpitzGoing Under GroundGrapevinethe band apart、he。

 

大学からどちらかというとトラッドな音楽を聴くようになった私ですが、「昔好きだった音楽をたまに聴くと昔の情景を思い出して良い」と思い、机を引っ掻き回して高校から取っておいたステッカーを引っ張り出し、こいつにペタペタ貼ることにしました。たまーにボディー裏を眺めては郷愁に耽っています。

Fullertone Guitars TELLINGS 52 1P Ash Rusted Butter Scotch Blonde.

Fullertone Guitars TELLINGS 52 1P Ash Rusted Butter Scotch Blonde.


フラートーンのテレキャスタータイプ。1ピースの板ボディーに丸太みたいなネックがくっ付いた、野太刀みたいなギターです。

 

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兎にも角にも音が太いです。

 


Fullertone Guitars TELLINGS 52 1P Ash Rusted

 

フロントは元より、リアなど言ってしまえば手持ちのレスポールより太いと思います。比較的ロー寄りの、重心の低い音がしますが、トーンをフルアップにすると高域もちゃんと出ていて、よくある言葉ですがレンジの広いギターだと思います。アッシュボディーの特性でしょうか。


巷でよく言われるように、このタイプのテレキャスターは同じフェンダー系のシングルコイルよりむしろレスポールに近いイメージがあって、使い分けにも自ずとその傾向が出てきます。繊細でニュアンスを重視したいときにはストラト、太さを出したいときにはレスポールテレキャスターという区分をしており、その中でジャズっぽかったりディストーションだったり、ドッシリ目のフレーズのときにはレスポール。ライトなソロギターや、クランチ程度の歪みのときにはテレキャスター、という風に持ち替えることが多いです。


音色の傾向としては、フロントはテレキャスターの方が、リアはレスポールの方が高域が目立つ印象があり、この辺り何故そうなるのか自分でもよく分かっていません。セッティングの問題もあるかと思います。レスポールはリアをわりと高め設定してるせいかな…。


丸めの音が好きなのでミックスポジションはあまり使いませんが、コンプとコーラスを薄っすら掛けてチャキチャキとカッティングすると、山下達郎向井秀徳っぽくなって非常に楽しいです。そのままソロ弾いても十分存在感があります。というか、ミックスでもそれなりに太いんだよなこのギター…。


無骨な見た目に反して、意外と万能選手でもあります。


音の太さはボリュームツマミでコントロール出来る上に、レスポールっぽい音も出せるし、後ろに下がりたければミックスポジションでミドルを控えめにすればいいという、かなり守備範囲の広いギターです。一本だけにエレキを絞れと言われた場合、多分かなり悩んだ挙句、私はこいつを残すと思います。普通に考えたらタイラーがその枠ですが、私の場合ディストーション以上の歪みを滅多に使わないので…。


今でこそストラトレスポールがそれぞれ手元にあるので出番が減りましたが、2017年から2018年の2年間はひたすらテレキャスターばかり弾いてました。お気に入りです。



ボディーはライトアッシュの1ピースボディー。めちゃくちゃ軽いです。本当に3.0kgあるのかこれ?

 

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薄っすら見える緑の木筋が扇情的です。

 

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レリック度合いは上から2番目のRusted。ど迫力です。

 

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ネジは全部プラス。「いやーマイナスネジじゃないのかー」とか思ってましたが弾いた印象があまりに良くて、そんなこたああっという間にどうでもよくなりました。

 

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ネックは太めですが、フェンダーカスタムショップのノーキャスターみたいな極太ではありません。59タイプのレスポールよりやや太いかな、くらいです。メイプル1ピースネックの無骨な色気…。

 

※フラートーンの指板はコンパウンドラディアスらしいです。190-225mmRらしいのでインチで8〜9Rくらい?

 

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TGと鉛筆で書き込みたくなる。

 

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ピックアップはリンディー・フレーリン。TELE SETとタグが付いてますが、フラットポールピースなので多分BROADCASTER SETだと思います。

 

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ツマミはフェンダーアンプ用のハットノブに換えてます。以前使っていたフェンダーの60’sテレも同様でした。マディー・ウォーターズ及び広能昌三氏のパクリです。これのおかげで頻繁にツマミを弄るようになったので、何事も真似してみるもんだと思います。

 

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電装系は、オレンジドロップのコンデンサと、AカーブCTS250KΩのポット。手持ちギターのポットは今んとこ全部CTSですね…。



購入日は2018年5月5日。


クロサワ楽器の御茶ノ水中古店にて、ゴールデンウィークの日替わり目玉商品として特価で売りに出されることが分かり、朝も早よから車を飛ばして開店30分前から店頭で待機、開店と同時に飛び込み、そのまま購入に至りました。


このギター、店頭で見つけたのが2017年暮れで、買ったのが2018年5月と、発見から購入まで半年程掛かっており、「良いモノはすぐ買わないとさっさと売れて二度とお目にかかれない」傾向にある楽器界隈からすると、我ながらよく手に入れられたなあと思う買い物でした。


当時、アッシュボディーにメイプル1ピースネックのテレキャスターを求めてふらふらと御茶ノ水を彷徨っており、そこで見つけたのがこいつです。


メインギターが、ES-335から軽さを求めてテレキャスターに移行しており、ほぼ丸一年あれやこれやと弾き倒していましたが、弾き慣れてくるとだんだん欲も出て来まして、「もう少し太さがほしい」と所謂52タイプのテレキャスターに興味が芽生え始めてきました。


当時使っていたのはFender USAのFSR American Vintage 60s Telecasterという所謂アメビンの60年タイプで、これはこれで気に入ってはいたんですが、ネックが比較的薄めであり、テレキャスターのイメージが「太くて芯のある音」に変遷していくにつれて、より厚めの、好みのネックシェイプを求めるようになっていきます。フェンダーフェンダーで不満はなかったのですが、


「アッシュのテレで良いのがあれば…」


という思いは日に日に増してきており、御茶ノ水に行くたびにあれこれ物色する日々が続いていました。

 

はじめに試したのは、フェンダーカスタムショップのノーキャスター

 

店頭にあるカスタムショップのテレキャスターがなぜかノーキャスターモデルばかりで、「なんで52より多いんですかね?」と訊いてみたところ、「52タイプはレギュラーモデルでも出ているし、ノーキャスターは本物の数が極端に少ないので、その反動じゃないですかね」とのこと。あくまでショップ店員さんの談ですが…。


ノーキャスター、今まで触ったどのギターよりもネックが太く音もローがビンビンに鳴るギターで、「これ使いこなせたら面白いだろうな」とは思ったものの、「すでに一本持ってるテレキャスターに買い足す」ことを考えると踏ん切りが付かず見送り。以降、これを基準に52タイプのテレキャスターを物色するようになりました。


次に見つけたのがフェンダーUSAのレギュラーラインの中古で、52モデルかつボディーがコリーナという珍モデル。


これにはかなり惹かれまして購入直前まで行きました。4.0kgもあって重いものの、「フロントハムか?」と思うほど太く暖かい音。今思うと相対的にハイが足りなかったとも思いますが、「ローがバリバリ出るテレキャスター」が欲しかった当時の自分にとっては求めていたイメージに近かったです。ネジがマイナスで統一されてる辺りも何ともテンションが上がります。バタースコッチは色合いも個体によって結構異なりますが、ボディー色も薄めのイエローで好みでした。


余談になりますが、その後レスポールのサブとしてPRSを物色し始めたときも、一番琴線に触れたのはコリーナボディーの個体でした。custom24とマッカーティー、どっちも触ったんですが、ミドルが強い上に抜け感もあってよかったな…。コリーナのギターはいつか一本欲しいものです。

 

ともあれテレキャスターです。こりゃ行くべきか? と思いつつも決断を後日に持ち越して退店。ついでに他の店も見て帰ろうかなと寄ったクロサワの中古店に、こやつがデデンと鎮座していました。

 

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フラートーン。ミュージックランドKeyのショップブランドで、トラッドギターのレリックタイプを作る国産メーカーの中ではズバ抜けて良いという評判は聞いていました。未使用中古が入荷してきたようです。

 

触らせてもらったところ、レンジの広さにビビりました。

 

さっきのコリーナテレはかなり重心の低い音でしたが、こいつは上から下までゴリゴリに鳴ります。暴れに暴れる感じ。戸惑いましたが気持ち良さもひとしおで、どのみちトーン絞るなら、フルアップのときは帯域が広い方が使いやすいんじゃないかと思うに至ります。

 

そのまま連れて帰ろうかと思ったものの、完全に予算オーバーだったのでその場は断念。さっきのコリーナテレより10万円以上高いです。まあ、テレキャスター自体は手持ちのフェンダーがあるし、フラートーンならどうしても欲しくなったタイミングでKeyに行けば新品が買えるだろうと、一度は諦めるに至りますが、この後もしばらく店に立ち寄っては眺める日々が続くことになります。

 

後日、渋谷のKeyで新品を試奏させてもらって「アンプの問題か個体差か、印象良いのはこないだの中古の方」となったり、手持ちのフェンダーを弾いて「やっぱりしばらくこれでいいや」となったり、右往左往していたところ、ある日、店頭から例のフラートーンが消えていました。

 

「さすがに売れたか…」

 

まあ諦めるきっかけもなかったしちょうどいいやと思っていたのですが、そうは問屋が卸しませんで、後日店に立ち寄ると奥に普通に吊られていました。

 

「ちょままま、これって売れたんじゃ」

「あーこのフラートーン、連休の目玉商品で出し直す為に一回引っ込めてたんですよ。明日この値段で店頭に出しますけど、お客さん、よく見てましたよねこれ。いかがです?」

 

もう少し早く売れると思ってたんですけどねー、と話す店員さん。多分未使用中古ってことで、新品とそんなに変わらない値段で売られていたことが原因だと思います。

 

その日は退散するも、大分テレキャスターに慣れてきたこともあり、「そろそろいいか」「これも何かの縁」と思い購入を決意。悩んだ挙句、完全にテレキャスターに移行しきった為69年製ES-335を下取りに出し、翌日購入と相成りました。

 

 

「これ使いこなせたらかっこいいよね」ギター自分の中で第1位はバタースコッチのテレキャスターであり、「板っきれに棒が引っ付いただけのようなこれ以上ないこざっぱりした見た目」ながらもいろんな音が出せる点という点が、他にない魅力だと思います。

 

レスポールストラトはノブなりピックアップも多いしで、そりゃ多彩な音が出るのは分かるんですけど、テレキャスターはこれですもんね。

 

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シンプルイズザベスト。

 

今後はフロントクリーン以外、ミックスやリアも上手く使っていきたいと思います。

 

<追記>

ブリッジの交換を考え始めたので弦間ピッチを測定したところ、ブリッジ上10.8mmのようでした。マスタリーブリッジのM3が適合するのかどうなのか気になっています。

James Tyler Japan Studio Elite HD Custom Blue Shmear Edition #1.

James Tyler Japan Studio Elite HD Custom Blue Shmear Edition #1.


意地と気合いと憧れで手に入れたジェームズ・タイラー。日本製のスタジオエリートです。

 

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James Tyler Japan Studio Elite HD Custom Blue Shmear Edition #1.


一言でいうとじゃじゃ馬です。


クリーンはハイの成分が多いカキッとした音で、ミッドブーストをオンにするとさらにその傾向が増します。フェンダーギブソンのように程よい雑味と濁りがあるというより、クッキリハッキリとしたクリアな音で、かと言ってSuhrのようにまとまりのある音でもなく、高域が暴れる、言ってしまうとピーキーな音です。


リアの歪みも同様で、アルダーボディーのボルトオンギターのイメージ通り芯はあるものの、レスポールのように低域高域がよく出力される暴れん坊具合も目立ちます。


「暖かくて雑味のあるクリーントーン」が好きな自分にとっては正直扱いにくいギターなんですが、長年憧れだったJames Tylerなのでそんなこたあどうでもよく、手持ちのギターと明確にサウンドキャラクターが異なるタイラーはこれはこれで面白くて、たまに持ち出して使っています。お気に入りです。


使える使えないを理性の端に追いやって、憧れ一発で手に入れたギターです。

 


この手のギターを買ったのは初めてだったので、一通り弾いた後は即効バラしにかかりました。

 

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安定のタイラー弁当箱ザグリ。黒い部分はノイズ対策の導電塗料でしょうか。

 

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Studio Elite HDなのでハムキャンセル用のダミーコイルは入ってません。フロント・センターはノーマルのシングルコイルです。ピックガードの銅箔テープによるシールディングは電装部品の載っかってる箇所のみ。

 

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ボリュームポットはCTS500kΩのAカーブ、トーンポットはCTS250kΩのAカーブ。

 

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ネックジョイントプレートは二重になってます。ツイッターで聞いてみましたが、音響狙いというより単にネジ穴の保護が目的じゃないか、との意見が多かったです。

 

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ストリングガイドはありません。代わりにペグシャフトの高さでテンションを稼いでるようです。Suhrもそうですよね。ちなみに指板Rは11だそうです。

 

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購入時ブリッジはフローティング状態でしたが、買って半年程経ってからベタ付けに調整し直しました。ストラトのスプリングをRaw Vintageの5本張りに換えたときに余ったやつを2本追加。生鳴りの音量は増した気がします。フェンダーは購入以来ずっとベタ付けですが、タイラーは気分でフローティングに再調整しようかとも思ってます。

 

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上が購入時、下が調整後です。

 

ボディー材はアルダーです。出来れば噂のマムヨが欲しかったんですが、たまたま印象が良かった個体がアルダーだったので…。ただまあ塗りつぶし塗装ということもあって、ボディー材にはあんまりこだわりませんでした。

 

リアピックアップだけはその内ブラックのRetroにでも換えようかと画策中です。本当はリアハムは黒が好きなんですけど、これまた印象が良かった個体がこれだったので…。



James Tylerを初めて知ったのは2013年頃で、下記の動画の人が使い始めたのがきっかけでした。

 


Amagami SS OP i Love on guitar


すげーヘッドロゴ…。


元々フィンガーピックのソロギター野郎だった自分にとって、スタジオエリートに代表されるタイラーは本来縁遠いものでしたが、「クリーン主体のジャズ系の方がソロギターで使い始めた」ことはインパクトが多大であり、「エレキに行くならタイラーほしいな」はこの頃すでに刷り込まれていたことになります。


それから4年。


がっつりエレキを弾くようになり、苦手だったリアハムディストーションにもちょっとずつ手を出すようになってしばらく。「歪みの音はセットネックよりボルトオンギターの方が好み」ということに段々気づき始め、そうなると漠然とした憧れを保ち続けていたJames Tylerを楽器屋で見かけるたびに、以前に増して目で追うようになってきました。


さらに後押しがあったのは、年が明けた2019年。会社で上司から別室に呼ばれ、何だ何だと身構えていたら果たしてそれは昇格の内示で、そのとき私は職責が上がるプレッシャーを感じるより先に「4月にいくら給与が上がるか」の計算を始めており、部屋から出る頃には「これはいける」との確信を得ていました。現金なものです。


かくして2019年初頭。真冬のSSHスーパーストラト探しの火蓋が、静かに切って落とされることとなりました。



仕様については、わりと早い段階で、James Tyler Studio Elite HD、ミッドブースター付、メイプル指板までは絞り込みが完了しました。


なんでかというと、あれこれ触った限りタイラーはどのモテルでも「音が硬めでハイがよく出る」という傾向がそんなに変わらなかったからです。


USAのClassic、3シングルでブースターなしのモデルでも、もっとフェンダーっぽいのかと思いきや所謂タイラーの音がしました。それならいっそタイラー独自のモデルであるStudio Eliteにした方が買う意味があると思うに至ります。ノーマルのSSHなら改造G&Lが手持ちにありますし。


そうなると今度は、フルオプション仕様であるStudio Eliteか、ミッドブースターのみの仕様であるStudio Elite HDか、ミッドブースターもオミットされたStudio Elite HD-Pか、はたまたBurning Waterと、どれにするかなんですが…


最初に試奏したタイラーが、よくわからないまま触ったフルオプションだったんですよね。正直ツマミが多過ぎて扱いきれる自信がなかったのと、フルオプション独自のクォーターパウンドポールピースのせいなのか、HDに比べて音が繊細な、言い方を悪くすれば細く感じました。かといってHD-P、ミッドブースターオミットの仕様も、「どうせタイラー買うならハーフトーンでクリスタルクリーン出したい」という思いから除外。結果的に、現行でスタンダードな仕様であるStudio Elite HDに狙いを定めるに至りました。

 

ちなみに、Suhrやトムアンにする選択肢は途中から消えていました。兎にも角にもタイラーが欲しかったようです。


あとはもう都内の個体を探し回るだけです。


他に迷った要素は、「キルトトップかシュミアーカラーか」「USAかJapanか」「ローズ指板かメイプル指板か」なんですが、結果的には全部後者に落ち着きました。


ブルーバーストのキルトトップには阿部学さんの影響で憧れがあったんですが、結局自分で抱えてるイメージが付かず断念。一点だけ、JapanのRear Routeのブルーバーストの個体が池袋のイケベに現れたときはかなり心が動きましたが、見にいったときは売約済みでした。この個体とは後々ツイッターで再会。どちゃしこすこえるてぃ氏、超かっこいいです。


ローズ指板かメイプル指板かは、手持ちのギターに貼りメイプルがなかったことから後者を選択。USAかJapanかは、最終的に値段で日本製に決めました。買うならいっそ本家とも思ったんですが、値段考えると、触った印象がどれだけ良くても踏ん切りがつかず…


思いのほか弾がないなあと思いつつ、都内を放浪して数ヶ月。


2019年3月上旬、渋谷のギターズステーション、池袋のイケベロックハウスに入荷したUSAのシュミアーカラーを試奏するも「100万かあ」と思うとどうしても踏ん切りがつかず、最後にもう一件と、渋谷ミュージックランドKey渋谷店に立ち寄り、しばらく在庫されていたシュミアーカラーのJapanを改めて見物。「あれ…?写真よりかっこいいな…」と思い、試奏を申し出て2秒後、購入を決意するに至りました。


こういうのは握って音出したときのファーストインプレッションが一番ですね…。

 

 

最後に。タイラーの特徴であるミッドブースターですが、フロントクリーンを使うときは基本オフにしてます。オンにすると張り過ぎた音になって扱いにくくなる印象がありますが、オフにするとニュアンスが出しやすくなるので「ちょっとクリアなストラト」くらいのイメージで使えて気に入ってます。

 

ディレイとコーラスを掛けまくった所謂クリスタルクリーンを出すときは、ミッドブースターもオンに。音の芯が増すので、線が細くなりがちなエフェクティブな音にはよく合います。

 

歪みの時は気分でオンオフにして使ってます。出来れば、リードを弾きながらボリュームを弄っていって、フルアップにしても足りないときにミッドブーストを上げていく粋な使い方をしたいもんです。

 

憧れ一発で手に入れたギターですが、おかげで少しは幅が広がった気がします。ブースターの使い方に慣れてきて、金銭的にも余裕が出ることがあれば、フルオプションのブルーバーストやら、SSHのClassic(ブースターなし)やら、ピックガードレスのRear Routeやらにも手を出してみたいと思います。

 

※追記になりますが、タイラージャパン、ケースがかっこいいんですよね。溢れ出るウェポン感

 

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Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue).

Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue). 


探しに探し歩いて手に入れた、念願のフェンダーストラトキャスターです。 

 

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バランスの良いギターです。引き締まった太さで、ローがボーボー言わず、弾いていて気持ちがいい雑味のある倍音感があります。ツマミの反応も良く、ボリュームを絞ればスッと音が引いて、トーンを絞ればハイが丸まって、聴覚上の太さが増します。 

 


Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue)


スペックは所謂普通の60ストラトで、指板のRは9.5R。フレットはミディアムジャンボ。木材はアルダーボディーにメイプルネック、ローズウッド指板で、リアにトーンは効いてません。重量は3.39kg。ストラトの中じゃ軽い方だと思います。


こいつの特徴は、センターピックアップの音がやたらと良いことです。


それまでストラトのセンターというと、比較的リア寄りの、高域が暴れるチャキチャキした印象があったんですが、こいつは輪郭のクッキリしたフロントのような、何とも扱いやすい音がします。おかげでトム・ミッシュごっこが捗ってます。カッティングが楽しい。


センターのおかげかハーフトーンも良くて、前に出過ぎないけど音量感のある、クリーンでソロを弾いてるときに切り替えても違和感のない汎用感があります。アルペジオやカッティングに至っては気持ち良くて悶絶しそうです。


リアは未だによくわかっていませんが、テレキャスレスポールが手持ちにあるので、ストラト独特のチャキチャキしたリアは、これはこれでいいと思います。音がダブ付きがちな低音弦を駆け上がるフレーズのときにでも、スッと切り替えて混ぜ込んで行きたい。


フロントは言わずもがな。太さを保ちつつスッキリしているので、使い勝手が良いです。

 

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ポットは3つともCTSのAカーブの250kΩ。コンデンサは調べたんですけどよく分かりませんでした。見た目はオレンジドロップみたいなやつです。


ピックガード裏にはノイズ対策のアルミシート貼り付け済。元からなのか改造なのか。


配線もやたらときれいなので、ひょっとしたら一度どこかのショップで手が入ってるんじゃないかと思っています。この配線がアメリケンの仕事とはとても思えない(偏見)。

 

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あちこちに刻まれたシリアルやらRELICの刻印やら。キャビティーの中に「SONIC BLUE」とボディーカラーが刻まれているのは、見つけたときにちょっと嬉しくなりました。この色がほしかったので…。



私は、好きなギタリストのトップ3がクラプトン、ジョン・メイヤー、トム・ミッシュの3人で、全員いろんなギターを使っちゃいますが、メインが何かと聞かれたら誰もが満場一致でストラトと答えると思います。それもフェンダーの。


そんなわけで、それまでG&Lとフジゲンのストラトタイプを使っていた私も、2018年夏、「いい加減フェンダーほしい」の欲望がとうとう抑えきれなくなり、水面下で物色を開始しました。


結論から言うと、あれこれ弾いて辿り着いたのは以下のような個体でした。


①フロントの音が太過ぎず細過ぎないこと

ハーフトーンの印象が良いこと

③指板が色の濃いローズウッドであること

④ボディーがカスタムカラー(出来れば青系)であること

⑤レリック加工が好みであること

⑥スモールヘッドのフェンダーであること


①は、手持ちのFullertoneテレキャスターがガッツリ音の太いギターだったので、差別化を測りたかったのが理由です。

 
加えて2018年製のカスタムショップを弾いたとき、印象はよかったんですが、音があまりに太過ぎたことが気になりました。低域がこれでもかってくらい出まくってたんですよね。ストラトはもうちょっとスッキリしてた方がらしいかなとも思い、「ミッドはともかくローはそんなに出まくらない」個体を探すようになりました。指板の色もやたらと薄かったので飛びつけなかったのが結果的に良かったのかも。

 
逆に、当時御茶ノ水にやたらと入荷していたクラプトンのブラッキーレプリカ。付属品なしで特価の個体があったのでこれはと思い弾きに行きましたが、フロントの音が激烈にシャキッとしていて、これも結局見送りました。70年代当時のクラプトンのイメージに近いっちゃ近かったんですけど、さすがに自分で使うには音が細過ぎると思うに至り。ただあれ、使いこなせたらかっこいいだろうな…。

 

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続いて②。私の印象ですが、ローがガン鳴りするストラトって、ハーフトーンに切り替えた途端に音圧がガクっと落ちる傾向がありまして、「ハーフトーンに切り替えたとき違和感がない」はかなり重要視しました。センターとハーフトーンストラトならではの特徴だと思うので、これはやっぱり正解だったと今でも思ってます。


なお、2010年代前半のカスタムショップはこの辺りのバランスが良好な個体が多かったです。青がほしくてこの年代のシェルピンクのストラトを見送ったりもしたのですが、あれもジョン・スコフィールドみたいでかっこよかったな…。

 
③~⑥は完全に見た目の好みの問題ですが、「フェンダーストラト」に限っては吟味して買わないととにかく後悔しそうだったので、焦って買わず好みの見た目が現れるまでふらふら探し回ることにしました。

 
音だけで言えば、アルダーボディーにメイプル1ピースネックの57タイプもメチャクチャ良かったのですけど、青系のカスタムカラーが全然見当たらず候補から離脱。サンバーストの57タイプも、ブラウニーみたいでかっこよくて好きだったんですけどね…。

 

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うんうん唸りながら都内をふらついて2ヶ月。

 
9月も下旬になったある日、とうとうデジマートで見た目ドンピシャの個体を発見しました。

 
出物の在処は渋谷の中古専門店、ニコニコギターズ。宮益坂をちょこっと上がったビルの2階にあって、中に入ると、左手にカスタムショップのストラトがズラリ。右手にレスポールが壁一面にこれまたズラリ、奥にはタイラーやらトムアンやらPRSが陳列しているという、中々パワフルなお店でした。あと、店員さんに今風の若者がやたらと多かったのが印象的でした。どういう経営と雇用形態なんだろうあそこ。

 

果たして、目当てのダフネブルーの2018年製ストラトはそこにあり、比較対象として、見た目が好みだった2011年製のソニックブルーと一緒に弾かせてもらうことになりました。

 

ダフネブルーの方は新品同然で、弾いてみると、以前見送った2018年製の新品と同じく、ドッシリと太い音がしました。色合いも好みで、ローズ指板も黒々としたドンピシャのルックスだったので「これで決まりかな」と思いつつも、念のためもう一本ソニックブルーを鳴らしてみたところ、

 

「…………」

 

スッキリしてて扱いやすい音がしました。

 

以前、見た目が合わなくて見送ったシェルピンクの個体と同じ、バランスの良いフロントの音がします。しばらく弾いてからハーフトーン、センターに切り替えたところ、

 

「…………」

「いかがですか?」

「こ、こっちのが好みっすね…」

 

強いて言えば2018年製の方はリアにトーンが効く仕様で、2011年製はトラッドな仕様そのまんま。2018年製はトーンのツマミフルでもリアの太さが目立つ音でしたが、2011年製のリアのシャキシャキした音もこれはこれで楽しいです。太いリアならテレキャスターがあるし、こっちはこっちでストラトらしい気もします。

 

「どうされます?」

「い、いや、ちょっと、買うつもりだったやつよりよかったんで、一旦頭冷やしていいすか…」

 

などと判断を保留するも、一晩置いて考えてもソニックブルーの個体の方が扱いやすそうだったので、結局センターとハーフトーンの印象が特によかったことを理由に決断。翌日、持ち帰る気満々で車で渋谷に赴き、無事購入と相成りました。

 


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こいつのおかげで、演奏中にボリュームツマミを弄るようになってきました。

 

普段、Mad ProfessorのSweet Honey Overdriveをプリアンプ的に常時オンにしていて、「アンプをパンパンにした歪みかけのクリーントーン」みたいなものをメインの音にしているのですが、このストラトはその状態でボリュームをちょっとだけ絞ると、何ともクリアなクリーントーンが鳴ってくれます。そいつにディレイとリバーブをかけてソロでも弾こうものならもう気持ちいいのなんの。

 

音色が全体的にスッキリしているので、メロウな音がほしいときはレスポール、歯切れの良さがほしいときはストラトで使い分けてます。

 

出せる音の幅が広い上に軽くて持ちやすいこともあって、パッと手に取るギターといえば大体このストラトになっています。お気に入りです。

 

追記:トレモロスプリングはジョン・メイヤーっぽく5本掛けにしたかったのでRaw Vintageに交換済。ブリッジはベタ付け、クリーン主体なので弦高はちょっと高めにしてます。

Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul.

 

Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul. 

 
奥田民生モデルのGibson Custom Shop 1959レスポール。フィニッシュはVOS。シリアルナンバーは006。裏に御大のサイン入りです。

 
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フロントクリーンがやたら綺麗に鳴るギターです。

 


Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul

 
アンプをやや歪むくらいの爆音にして、ギター側のボリュームをちょいと絞って弾くと、抜けの良い、コツコツした音のフロントハムが鳴ってくれます。そのままトーンを絞ると所謂ジャズトーンになって、フルアップにすると吠え散らかすという、何とも手元のコントロールが楽しいギターです。フロントの音があまりに使い勝手がいいので、カッティングもボリューム絞ったフロントのままでやることが多いです。古いソウルの音がする。

 
フロントクリーン大好き野郎としては、太くて暖かい音がほしいときはレスポール、抜け重視のときはストラト、という使い分けで持ち替えてます。

 
歪みは、クランチでもディストーションでも結構ざらっと歪みます。レスポールらしい音。マーシャルに合うのがよく分かる気がします。

 

リアの音は比較的シャキッとしていて、歪ませた時の太さを求めてもう少し出力の高いピックアップに換えてもいいかな、と思っていますが、クランチくらいだと気持ちがいいのでもうしばらくはこのまま行こうと思います。

 

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仕様の特徴は、57classicが載っていること(この時期のカスタムショップはカスタムバッカーが主流)、ジャックプレートが金属パーツになっていること、ブリッジのリングがダブルになっていること。金属パーツ関係は奥田民生所有のモノホンと同様だそうです。その他の細かい仕様は、多分ですが2014年のヒスコレと同じじゃないかと思います。

 

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こいつの発売が2015年で、2015年というと5月にヒストリックコレクションからトゥルーヒストリックに切り替わった年なんですよね。開発自体には数年かかってるみたいなので、多分これ、最後のヒスコレに準じた仕様なんじゃないでしょうか。

 

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改造点はないですが、強いていえばテイルピースを裏通しに、所謂トップラッピングにしています。完全に見た目の好みの問題です。プラシーボかもしれませんが、心持ち音がポコポコしてきて、どことなくES-335に近づいた気がして大変満足しています。

 


購入は2016年1月。漢の36回フルローンです。

 
発見したのは2015年の師走、クリスマス商戦真っ只中。当時手元にはストラトテレキャスがあり、となると次はやっぱりレスポールが気になるなあと思っていたちょうどそのタイミングで、御茶ノ水を歩いていたらこいつがドドンと店頭にディスプレイされていました。

 

こんなんが出てたのか…。


当時の自分にとってギブソンギターといえば誰よりも彼よりも奥田民生で、レスポールスペシャルの民生モデルの中古出物でもあればなあ、なんて思っていたところでまさかの59バーストの発売です。しばらくウィンドウの前で突っ立ったまま呆けてしまいました。

 
明けて2016年。

 
気持ちが冷めやらぬままふらふらと御茶ノ水を彷徨っていると、VOS、Aged共に結構な本数があちこちの店舗に置いてあって、どれもかっこいいなあと思ってるうちに気が付けば「どれを買うか」という思考に陥っていていました。とは言っても半端な値段じゃないので、レギュラーラインのトラディショナルやTokaiのハカランダモデルと比べたりもしてみましたが、見た目が圧倒的にかっこいいのは本家カスタムショップのレリックタイプで、どうせカスタムショップ買うならこの時点じゃ民生モデルしか選択肢がありませんでした。

 
音の違いは当時じゃ正直よくわかりませんでしたが、強いていえばカスタムショップのレスポールの方が「凶悪な音」がした記憶があります。

 

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最終的には、G’CLUB TOKYOにあったVOSの個体に決めました。かなり弾き比べたのですが音の違いも感触の違いもよく分からなかったので、「御大本人がふらっとやって来て、弾いたついでにボディー裏にサインして帰っていった」という個体が、弾いていて一番テンションが上がりそうだったので、レスポールが気になったタイミングでこれに会ったのも何かの縁だろうと思い決断。個人情報を紙に書いてちょろちょろっと電話を済ませ、無事お持ち帰りとなりました。今でも忘れもしない、1月下旬の雪の日です。

 
このときいろいろ教えてくれたG’CLUB TOKYOの藤川さんはその後もエレキ素人の私にいろいろと教えてくれて、「アンプのボリュームはガン上げにしてギター側でコントロールしろ」「ギブソンはトーンをガン絞りにしても面白い」「ボーナス時期はウチに寄れ」とたくさんの役に立つ情報を聞くことが出来ました。感謝してます。なおこの後この言葉の通りここで335を買うことになります。

 

当時の腕前的にも予算的にも、かなり背伸びをして買ったレスポールですが、今では大分操り切れるようになってきてほぼメインと化しています。ギターで加入した3020 SOULSでは、太いメロウな音がほしくて完全にファーストチョイスになっています。

 

3020 SOULS - The Light by ロンリーポップ.records on #SoundCloud

 

 

3020 SOULS - Marvel by ロンリーポップ.records on #SoundCloud

 

 

良くも悪くも、こいつを買ったことで人生が思いっきりギター寄りに傾いた感があり、こいつを買っていなければ多分この後大量のギターを買い足すこととなかっただろうし、ここまで毎日ギターを弾くこともなかっただろうし、2016年から腕前も大して変わってなかっただろうと思います。何とかこいつは墓場まで持っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。