ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

梁井、シフトアップの練習をする。

結局スムーズな運転というのは、アクセルワークがすべてなんだなと最近思います。
 
パーシャルスロットルという言葉があります。私はこの言葉を「アクセルの踏み具合を一定にする」ことだと勘違いしていましたが、実際は「アクセルの踏み具合を調整して、加減速のない一定速度の状態を作り出す」ことなのだとこないだ知りました。せっかくなので忘れないように書き記しておこうと思います。
 
先日志賀高原に行った帰り、254号で新山に運転を交代したときのことです。
 
 
「新山さ、シフトアップのとき、アクセルって戻してる?」
 
「そりゃもちろん。抜かないとガクンとするでしょ」
 
「いやでもさ、クラッチ切る前にアクセル抜くと、それはそれでガクンとするでしょ。だから、おれいつもクラッチ切るのとアクセル抜くの、ほとんど同時にやってるんだけど、これっておかしいのかね。ネットで調べたら、『クラッチ切る前にアクセル抜け』ってよく書いてあったんだけど、どうやっても上手くいかないんだよ」
 
「…ああ、わかった。それ多分、『アクセルを抜く』って言葉の取り方の違いだ。もちろんクラッチ切るときにはアクセル抜くけど、その前にまず、アクセルをパーシャルにしろってことだと思うよ」
 
「パーシャル…。パーシャルスロットルってやつ? やってるつもりなんだけどなあ」
 
「それ多分、アクセルの踏み具合を一定にしてるだけでしょ。そうじゃなくて、速度を一定にするために回転数を一定にするのが、パーシャルスロットル」
 
「…もうちょっと詳しく」
 
「車が加速も減速もしていない状態を作るわけ。加速中にクラッチ切ったら、いきなり前に進む力が途切れて前のめりになるでしょ。だから、ほんの少ーしだけアクセルを緩めて、回転数を一定に保つ。その状態なら、速度は一定になる。そこからクラッチ切って動力が途切れても、たいして衝撃こないでしょ。加速してないんだから」
 
「つまり…、加速する→アクセルを緩めてパーシャル(回転数を一定)にする→クラッチを切ると同時にアクセルを完全に抜く→シフト操作→クラッチを繋ぐ→ゆっくりアクセルオン?」
 
「そういうこと。ちょっとやってみるからタコメーター見ててよ」
 
…………。
 
「お、お、おおー。回転数の動きが山なりだ!」
 
「縦軸回転数、横軸時間でグラフにしてみるとそうだね。…あとは、再加速するときのアクセルの踏み方かな。2速に上げてからの加速なんか、相当丁寧に踏まないと、やっぱりショック出るもんね。ーーいやあ! やっぱりこういうの考えながら走れるから、MTは楽しいなあ!」
 
 
そんなわけで翌週、練習に出かけてみました。
 
練習と言いつつ単なるドライブなんですけどね。目的地は栃木県、ツインリンクもてぎ。ホンダコレクションミュージアムを見に行きます。ジャジャというバイク漫画を読んで行きたくなりました。
 
が、天気がいいからと昼前から出たのが失敗でした。暑すぎてエアコンが切れない。エアコンを付けると馬力が食われて、回転落ちがカミソリのように鋭くなり、それはそれで楽しいのですが、今回のような微細な練習はしたいときにはフラストレーションが溜まります。クラッチミートの感触も気持ち悪い。軽自動車の排気量だとこの辺り顕著です。
 
それでもオープンは気持ちいいことは気持ちいいので、往路はこの際、頭を空っぽにして走ることにします。練習は復路に後回し。こちとら無類の夏好きなので、陽射しの強さと蒸し暑さはさして苦にもなりません。のんびりと走ります。
 
2時間弱でツインリンクもてぎに到着。入場料と駐車代で2,000円取られますが、園内で使える500円チケットがもらえます。
 
入っていきなり水平対向のエクゾーストとスキール音が聴こえると思ったら、南コースでドライビングスクールをやっていました。プロドライバー山野哲也選手による、ハンドリングクラブという定期講座のようです。ポルシェが走ってる。見学自由とのことで、せっかくなのでしばらく見物します。
 

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エリーゼの全開走行を間近で見られたのが嬉しかったです。ロールしながらグイグイとコーナーを曲がっていきます。エメラルドグリーンのきれいなエリーゼでした。

結局一時間近くぽけっと見物をしてしまいました。日陰を求めて、コレクションホールに向かいます。
 

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パーシャルスロットルの練習にきた、という目的を完全に忘れておりました。楽しかった…。バイクは詳しくありませんが、あくまで自転車の補助であったエンジンユニットから、スーパーカブ、歴代マシンにGPマシンの展示まで、眺めているだけでホンダの歴史がわかりやすく頭に入ってきます。
 

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四輪の方も、S500、Nっころ、初代シビックなど、旧車がおそろしくらきれいに展示されてします。こうして見ると昔の車もかっこいい。個人的に一番テンションが上がったのはこいつです。
 

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ホンダ・バモス。
 
初代の正式名称は「バモスホンダ」らしいですが、ここでは「ジオブリーダーズ」での表記に準じます。神楽総合警備の出張くん4号、姫萩さんの愛車でした。こんな珍車、ここに来ないと拝むことはなかったかもしれません。屋根もドアもないオープンカー。運転手は運転がお仕事。入江以外では、夕ちゃんがジオブリで一番好きなキャラだったので、あのラストは悲しかったような嬉しかったような…。
 

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まだまだ貼り足りないくらい写真を撮りましたが、キリがないのでデモ走行の写真を載せて終わりにします。おもしろかった。
 
 
日が沈む頃には帰り着いている予定だったのに、南コースとコレクションホールで結局4時間以上滞在してしまい、出る頃にはすっかり夕暮れになってしまっていました。かといって急ぐ理由もないので、開き直ってこのまま水戸市の方まで回って帰ることにします。
 
涼しくなってきたのでエアコンを切り、シフトアップの練習に取り掛かります。

とにかく発進のたびに腰に意識を集中して、衝撃があったかなかったか、いつあったのか、それなら何が原因かを、あれこれ考えながら繰り返します。周りに車がいなければゆっくり、後続車がいる場合は1,2速である程度までひっぱって速度を乗せてやる必要がありますが、いろいろやってみて、結局はひっぱろうがさっさとシフトアップしようが、パーシャルが出来て、クラッチを繋ぐタイミングを間違わなければ、衝撃は来ないとわかりました。

定速状態を作り出すためのアクセルの戻し具合が思ったより微細で苦戦しましたが、おかげで感覚は掴めた気がします。とにかく、アクセルの戻しはほんのちょっとだけ。あくまで減速するのではなく、定速にすることを忘れないように。

あとはこれを日々繰り返して、低いギアで高回転のときでも、右足の調節一つで、定速状態にさっと移行できるようにしたいと思います。頑張ります。