ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

梁井、BMWに3シリーズを見に行く。その1。

※2016年当時のBMW3シリーズ(F30型)試乗記録です。

 

3シリーズが好きです。

 

この好きは、ひとえにブランドイメージに寄るものが大きく、このとき試乗するまで3シリーズどころかBMWにも乗ったこともなかったのですが、それでもやっぱり好きです。一番の理由は、姿勢の良さだと思います。

 

セダンとしてのジェントルさと、初代M3から受け継いで漏れ出る見た目の凶悪さ。このバランスが3シリーズの魅力だと思いますが、実車を見て思うのは、つくづく姿勢の良い車だなということです。

 

真っ直ぐ走っているときも、コーナーをぐいぐい曲っているときも、ゆっくりとした発進時も、停まっているときも、ドイツ車特有の剛性のせいなのか何なのか、姿勢がビシッとして、動きにブレが見えません。の割に、どこでもサーっと駆け抜けていってしまうので、重さの鈍さも感じません。

 

駆け抜ける喜びというメーカーが発信しているブランドイメージと、車を外から見たときに感じるイメージの間に、ギャップがないんですよね。どこまでも姿勢よく走っていく姿を見かけるうちに、気がついたら好きになっていました。

 

※セダンとチューニングカーの合いの子というとRB26エンジン時代のスカイラインGT-Rですが、M3の方が出発点のわりにやっていることがエゲツない気がします。下の写真は、磐梯吾妻スカイラインに行ったときに出会ったM4のフロントです。エグい。

 

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出来たばかりのBMW GROUP Tokyo Bayに行ったのが2016年の7月の話で、これが中々面白かったです。

 

豊洲スーパーオートバックスの帰り道、新山を乗っけたままコペンで突撃しました。基本バカでかいディーラーそのままで、入退場自由。明らかに財力の低そうな20代のにーちゃん2人にはセールスさんも声をかけて来ず、まあまあ好きに見て行きたまえとばかりに営業スマイルで見守ってくれます。こういう機会はあまりないので素直に楽しかったです。申し込みをすれば試乗も可能な模様。

 

3シリーズも何種類か置いてあったので、当時現行であったF30型のエクステリアが全セダンの中で一番好きな私がほいほい吸い寄せられてフロントマスクを眺めていると、新山がおもむろに後部座席に乗り込みました。しばらくして、「あーいいわー」との声が聞こえて来ます。

 

「…普通そういうときって運転席に座らない?」

 

「セダンの価値って後部座席にあると思うんだよね。サイサポートが効くくらい張り出しのあるシートで、足元と高さにも余裕があると、長く乗ってても全然疲れないんだよ。SUVってスタイリング優先して、意外と後席に余裕なかったりするじゃない? 後席の居住性は、やっぱりセダンが一番だと思うんだ。…さすが世界のベンチマークの3シリーズ。こりゃ楽だわー」

 

「…自分の車の後部座席に座ることって、ほぼなくね?」

 

「ないけどね。でもなー、将来家族増えて、車のタイプ変えるなら、こういう後席のしっかりした車がほしいよ。セダンは運転感覚もいいしさ」

 

新山の意外な趣味を発見しました。そういえば遠出中、田舎道で古いクラウンや3シリーズを大切に乗っている老夫婦を見たとき、「…ああいうジジイになりたい」とボヤいていたのを思い出しました。伊達に幼少期からの車好きをやっているわけではないらしく、こやつは本当に、私とは車の見方が違います。

 

ちなみにX3、7シリーズまで後席に乗ってみたらしいですが、「一番いいと思ったのは3。サイサポートがしっかりしてたから」と言っていました。7より3かよ。まあたしかに、私は7の後席はラグジュアリー感が高過ぎて逆に恐ろしくなりましたが。

 

 

なんてことがあってから、3シリーズに対する興味が日に日に増してきました。

 

ただでさえコペンの長距離巡航性に厳しさを感じ始めた中、安藤のA3でドイツ御三家の一角の実力を身に染みて知ったばかりです。

 

べらぼうに高いのは分かっていますが、それでも型落ちしたF30型を将来中古で買う選択肢もないわけではないし、ちょろっと試乗するくらいならバチも当たらなかろうとタカをくくった私は、ふらふらと近所のBMWディーラーに突っ込んで行ったのでした。

 

つづく。