ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

コペンローブ購入記その2

最初に検討していた車は、実はセリカでした。

 
型式ZZT231。モデルSS-2。6速MT。七代目、最後のセリカ
 

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かっこいい…。
 
最初にこの車を認識したのは、近所の駐車場に黄色のセリカが停まってるのを目撃したことでした。夜、オレンジの街灯の下、鮮やかな流線型のイエローが目立っていたのを覚えています。
 
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あーあれがセリカかー、と反芻していると、下記の記事をネットで発見。300万近くする新車の86より、中古のセリカなら7,80万くらい狙えるから手が出しやすくてオススメですよー、という内容でした。
 
 
…この値段なら今年中には買えるなあ。
 
などと思ったことで、購入が現実味を帯びてきました。
 
 
そこそこ安くてスタイルのいいMT車、という意味では、セリカはこの時点で最適だったと思います。今でもたまに、街で見かけるたびにセリカでもよかったなーとは考えます。好きな車ですし。
 
ともあれ、これを機に中古車情報をネットで漁り始めましたが…、購入まで至らなかったのは、やっぱり中古しかなかったからだと思います。
 
中古車の場合、条件の絞り込みの他に、ある程度の妥協と、絶対買うという意志が必要だとわかりました。「いいタマ見つけて買ってやる!」という意気込みも足りなかったせいか、「これだ!」というセリカに出会えないまま、気づいたら数ヶ月過ぎてしまいました。
 
理想も高かったんでしょう。MTで、100万以下で、内装外装共に綺麗、出来ればエアロパーツなしのZZT231セリカ。なんていう好条件をぼんやり待つのは、隣の席に成瀬川なる級の美少女が転校してきて「教科書見せてくれない?」と話しかけてくれないかと妄想して待ち続けている中学生と同じレベルです。ちなみに私は青山素子が好きでした。
 
そういえば、今ふと、職場の後輩から、
 
「梁井さん車探してるんですって? 何買うんですか? セリカ? 理由は? 名前が女の子みたいで可愛いから? いやあ相変わらず気持ち悪いですね!」
 
と言われたことを思い出しました。
 
 
 
これもよく覚えているのですが、中古車情報を漁りながら悶々としている頃、シルビア野郎こと新山とぶらぶら出かけているときに、「車を買おうと思ってる」と話してみました。以下、そのときの会話。
 
「マニュアル?」
 
「マニュアル」
 
「なんでマニュアル?」
 
「うーん。シルビアの運転見てて、楽しそうだなって思ったからかな。それに、最初に買う車でマニュアル逃すと、そのまま一生乗らない気がする」
 
「そっか。まあ、たしかに楽しいよ。たまにめんどいけど。何ほしいの?」
 
セリカ。今のところは、だけど」
 
「なんで?」
 
「いやほら、かっこいいから」 
 
「見た目か。てことは、エンジンの吹け上がりとか、パワーとか、そういうのは気にしてない?」
 
「気にするも何も、そういう車乗ったことないしね。とりあえずは、見た目が好みで、MTであればいいかなって思ってる。新山、シルビア買うとき、他には何考えてた?」
 
「34のGT-R…は高いからすぐ諦めたな。えーと、コペンスイフトスポーツ、あとはロードスターとか…」
 
おもしろいもので、こうやって人と話すと、自分が重視してたものが具体的になってきます。
 
私は自分の目的が、
 
1.MT車を持つこと
2.乗っていて楽しいこと車を持つこと
 
であることに気づきました。
 
もうちょっと正確に書くと、MT車を持つことで、自信を持ってMTを運転するスキルを身につけること。興味のある事柄に関するスキルは早めに身につけておくべきだ、というのは経験上わかっていたので、この時点で、MTを買うというのが絶対条件になりました。
 
「楽しい車」というのは、こればっかりは乗ってみないとわかりません。
 
新山曰く、見た目が好き、思い入れがある、エンジンの吹け上がりがよい、ハンドリングかよい、その他いろんな要素があるので、何をもって楽しいとするかは人それぞれだから何とも言えない、と前置きした上で、
 
「一回ロードスター乗ったみたら?楽しいよ、オープンカー。車買うつもりなら、買う前に一度はレンタカーか何かで乗ってきた方がいいよ。…別の車買った後に乗ると、絶対後悔するから」
 
と、ある意味私がコペンを買う決定打になった言葉を口にしました。
 
やっぱり買ったのはロードスターではありませんでしたが、とにかくこの言葉がなければ、オープンカーが購入候補に挙がることは多分なかったでしょう。
 
続きます。