ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

コペンローブ購入記その4

名古屋かどこかに出張していたときだと思いますが、ふとダイハツの前を通りかかると、新型コペンの幟がパタパタはためいてました。

「あーもう発売日か」とは思ったものの、そのときはそれだけでした。そもそも新型の写真を雑誌で見たときの感想は、

「…マッチョになったなあ」

というお世辞にも好印象とは言えないもので、どちらかというとスッキリしたデザインの車が好みの私は、あまり食指が動きませんでした。隣にいた先輩に、「おまえ車探してるらしいけどあれはどうなんだ」と訊かれ、(実車を見る前の感想ですが)「かっこ悪いからやです」と答えたくらいです。

しばらくして、今度は近所のダイハツの前を通ったとき、試乗車の黄色いコペンがちょこんと置いてあるのを目撃しました。

ちらっと見ただけですが、

「あれ?意外と…」

よく言われますが、コペンローブ、「写真で見るより実車を見た方がかっこいい」といったタイプの車なんですよね。不思議なバランスです。買った今でも「かっこいい」とは思いませんが、不思議と見ていて飽きが来ません。


また同時期、ある大型ショッピングモールに併設されているトヨタモールの前を通ったとき、

「月々いくらで86に乗れる!残価設定で買ったときの支払シミュレーション!」

みたいな看板が出てました。

86は、車に興味を持ち始めた頃に出た憧れの車でした。新車買うなら86がいいなと思いつつ、なまじ値段が値段です。あれはちょっと手が届かんなあ、なんて思っていたのですが、

チキチキチキチキチキチキチキチキ、チーン!

ポケットに手を突っ込んだ体勢のまま、看板を横目に、頭の中で支払いシミュレーションを計算する私。やがて悪魔の囁きが脳内に響き渡りました。

…買おうと思えば買えるな、これ。

またこれも随分と楽観的な判断ですが、事実といえば事実です。買おうと思えば、たしかに買えます。何事もなかったかのようにその場を去りましたが、これ以来、頭の中に、

「車 早く ほしい」

の文字が踊り続けるようになってしまいました。

ひょんなことから実家に戻って以来、実家の車を一番乗り回しているのはぶっちゃけ私です。さすがに気が引けたので、早いところ車を買わねばならんというのは、私が(勝手に)設定した急務でもあります。

一括で中古を買うのと、頭金にぶち込んでローンを組んで新車を買うことの金銭的な差。新車なら、大事に乗れば下取り価格もそれなりですから、最終的にそこまで大きな差はないように思えます。

「買おうと思えばもう買える」

と思ってしまったことが、購入最大の後押しでした。残価ローン恐るべし。若者(?)に車を買わせようという企みの成功例の一つがここにおります。


そんなわけで、7月頭の週末、思い切ってディーラーに見積りをもらいにいくことにしました。

ターゲットは以下の四つ。

2.スイフトスポーツ(スズキ)
3.86/BRZ(トヨタ/スバル)
4.セリカ(中古)

1…予算内。軽で維持費も安い。小さくて小回りが効く。何よりオープン。ただしツーシーターで人も荷物も乗らず、デザインは然程好みではない。

2…予算内。抜群のコスパ。ホットハッチとしての評判も高く、初心者はこれ買っとけば間違いはないというタイプの車。丸っこい車はわりと好きなので、デザインは十分あり。フィットRSもあったけど、このときはスイスポしか目が行かなかった。

3…予算ギリギリ。かっこいい。国産としては現行最新のスポーツカー。リアビューがフェラーリみたい。ただ高い。

4…予算内。かっこいい。ただし中古なのである程度の割り切りと維持費は覚悟。試乗が出来ないので運転感覚はイマイチわからない。

こうして見ると、先に結論が出てしまいますが、つまるところ私はデザインや憧れより、運転時の気楽な楽しさを取ったんですね。

上記の4台中、一番肩肘張らずに、ふらりとあちこちに出かけられて、今の私の運転感覚に一番合った車はコペンです。86は少し気合いを入れて乗るイメージ。運転はしやすかったですが、86を操り切れるイメージを自分の中で持てませんでした。セリカスイスポコペンなら、コペンが一番コンセプトがわかりやすくて、オモチャみたいで面白そうだ、と思うに至ったのが購入最大の理由でしょう。

続きます。