ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

コペンローブ、志賀高原で霧に襲われる、その2。

信州中野ICの料金所に着く頃には、雲が切れて晴れ間が覗いてきました。

もくもくと雲の立つ夕方の高速を、燃費走行中と思われるイエローのインプに引っ張ってもらいながら、オープンでゆっくりと走ります。BGMは適当にiPodにぶち込んでいたテイラースイフトで、シンプルなアコギの音色と山間の景色が、車内にロードムービー感を演出しております。気持ちいい。

が。

今回のドライブ、往路より復路の方がいろいろと起きました。


「うわ、すげー混んでる」

GoogleMAPをチェックしていた新山が、関越からの渋滞を発見しました。それなら下道でのんびり帰ろうと、適当なパーキングに立ち寄り、ケバブを食いながら迂回ルートを協議します。

「何も考えなければ17号なんだけど…。ああ、やっぱりこっちも混んでるね。関越が埋まってれば当然か」

「254号使おうぜ。バイパスより、幹線に並行して走ってる道のが空いてるから好きだ。最近走りやすい抜け道増えてるし」

「渋滞解消に国交相も自治体も金かけてんだろうね。…あ」

予定ルート上のGoogleMAPに、バッテンの表記を発見。交通規制です。

「254号も、17号もダメだ。迂回させられてる。多分これ夏祭りだな。うわー八方ふさがりになっちまった! こりゃ、大人しく関越乗って帰るか」

「ちょい待ち」

渋滞と分かっていて突っ込んでいくのを意地で避けたい新山が、ケバブを食い終わる頃に、ルート探索を終えたスマホ片手に道を指示してきます。

長瀞の方に抜けちまおう」

長瀞!? 遠回りすぎるでしょ、秩父抜けてくつもりかよ!」

「そこまで行かないよ。吉井ICで降りたら、県道41号、13号で南下して、皆野町まで下る。んで、国道140号を秩父鉄道に並行しながら東へ進んで、寄居で254号に合流。あとは川越で16号にぶち当たるまで走ればいい。距離もそこまで変わらないし、これ絶対渋滞しないぜ」

「…いやしないだろうけどさ。ほとんど山の中じゃんこれ。ちゃんと走れるの?」

「多分。職場のインテグラ先輩が、よくこの手の抜け道使うんだけどさ。広域農道とか。秩父のあたりは、結構走りやすくて快適だったって言ってたよ」

「ホントかなあ…」

新山の職場のインテグラ先輩と言えば、遊びにいくと常時車かバイクのどちらかをいじっているという剛の者で、特に愛車のインテグラTYPE-Rは、吸音材やカーペットをすべて引っぺがして乗っているような人らしいので、あの人の「走りやすくて快適」は、はっきり言って参考に出来ません。強烈な不安を覚えながら高速を降りて、指定ルートに入っていきます。

ところが、これが大正解でした。

狭すぎず広すぎず、田舎道あり峠道あり街中あり、走りやすくて楽しい道でした。観光客も帰ったあとらしく、交通量も少ないです。これは関越迂回ルートとして覚えておきたいと思います。254号に入ってから通り過ぎたホンダの寄居工場がデカくてきれいだったのが印象的でした。


254号に入ったところで、新山と運転を交代。

今回久しぶりに助手席に人を乗せて長距離を走りましたが、私の運転時、助手席の頭が結構前後していたことに気づきました。一方、新山の運転では、私の頭は全然揺れません。シフトアップ時の回転数合わせの精度が違うのかと思いきや、どうも原因はそっちではないようです。

あれこれ尋ね、説明してもらい実践してもらい、タコメーターの動きを見て、少しは大事なポイントをイメージ出来たので、この件はまた改めて書こうと思います。


最後のトラブル。

「あ」

「今度は何」

「…ガソリンが足りない」

ディスプレイの航続可能距離とナビを見比べたところ、「まあギリギリ足りるかな」くらいだった差が、「ひょっとしたらマズいんじゃないか」レベルの差になってきています。余裕をぶっこいたまま無給油で来たツケが回ってきました。

「どどどどどうすんの!もう家の近くまでスタンドないぞ!」

「とりあえず、近道かつ交通量の少ない道選んで走るよ。万が一のときは、端に寄せてJAF呼ぼう。けど、多分走り切れると思うよ」

航続可能と最短のスタンドの距離は、その差4kmほど。普通燃料系は数リットル残してエンプティマークが付くことが多いので、十分足りるとの判断です。

果たして、航続可能距離が0を指し、ヒヤヒヤしながらも数キロ走り、スタンドに駆け込んで燃料を入れてみると、28Lほどしか入りませんでした。コペンの燃料タンクは30L。ギリギリまで入れて33Lちょっとなので、やはり5L程度の余裕はあるようです。心臓に悪いので二度とやりたくありませんが、勉強になりました。

余裕はあるとわかりましたが、今後必ずエンプティ前に給油することにします。万が一、一般道でガス欠を起こした場合、他車に迷惑をかけることは必須ですので、以後気をつけます。

f:id:hurryharryhurryblog:20150726234224j:image

スタンドに駆け込む直前、ステレオから奥田民生が流れてきて「さーすらーおーおおー」と歌い出したとき、新山が「勝ったな」と呟いたことをよく覚えています。彼の中で奥田民生は勝利のBGMのようです。お疲れさまでした。