ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

コペンローブ、北海道に行く。その1。

初日。2016年の8/4(木)夜。コペンの助手席にキャンプ道具を満載して出発します。


今回、晴れの日は基本キャンプ泊とします。幸い北海道、キャンプ場だけは鬼のようにあり、寝るところは困りそうにありません。ホテルや格安民宿に毎度泊まってたら金がいくらあっても足りないですもんね。ちなみに所謂ライダーハウスは、車だと泊まれないことがほとんどのようです。


オープンにする為に荷物はトランクに詰めず、必然的に助手席が埋まることになります。こういうとき、コペンはつくづく荷物が乗るバイクだなと思います。

 

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※出発前のコペン


1:45分発のフェリー目指して、いざ大洗へ。


夜出発のドライブはいつやっても良いものです。夏は夜風のおかげでオープンの涼しさが格別であります。


途中のサービスエリアでコーヒー休憩を取っていると、新山から着信がありました。


「うい」


「今どこ。まだ着いてないの?」


「あと30分くらいだよ。まだ3時間前じゃん」


「3時間前に乗船済ませろって書いてあったの見てないのかよ」 


血の気が引きましたが、実際は1時間前まで問題なく受け付けてくれるようです。重量バランス調整の為、三井商船側がかなりのバッファを取っているようでした。すみません次から遵守します。


「まあいいや。多分普通に乗れると思うから。…それより、着いたら悪い知らせがある」


さらに血の気が引きます。


「いや、梁井にはあんま関係ない、のかな…?とにかく、着いてから話すよ。乗船済ませたら連絡くれ。ロビーで待ってるから」



普段より飛ばし気味で大洗港に到着し、受付で予約したチケットを受け取り、指定された時間に合わせて車を乗船エリアに移動させます。

 

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※乗船待ち


エンジンを切って30分くらい時間を潰していると、誘導員のおっちゃんがゴーサインを出しました。誘導に従って乗船します。タラップを登って船内に入った時は、思わず「おおー」と感嘆の声が漏れてしまいました。こりゃおもしろい。ちょっとしたモビルスーツの着艦操縦気分です。

 

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※乗船したコペン


客室のベッドに荷物を置き、船内の探索も後回しにロビーで待つ新山のもとに向かいます。果たして奴は柿ピーと缶ビールで早くも一杯やっていました。


「一体なんだ!財布でも忘れたか?それともバイクがぶっ壊れでもしたか!?」


「勘がいいね。後者が正解。ただし、おれのじゃなくてインテさんのフェザーだけど」


話を聞くと、どうもこういうことらしいです。


仕事を早々に終え、帰宅。さっさと出発しようと愛車を暖気していた新山に、さっき職場で別れたばかりのインテグラ先輩から緊急の着信があったそうです。


「後輪の空気が抜けてる。パンクかもしれない」


パ  ン  ク  か  も  し  れ  な  い 。


即刻応急処置材を買いに走り、パンクの処置後に即出発できる状態を整え、インテグラ先輩んちに向かった新山。首尾よく処置を終え、いざ北海道! とはいかなかったようで、処置材をエアバルブからぶち込み、ガンガンに空気を入れるも、ぶち込んだ処置材もろとも空気が漏れる漏れる。どうもチューブが完全に死んでいるようです。


この時、時刻はすでに19:30。最寄りのバイク用品店は20:00閉店で、どう急いでも30分では辿り着けない。


インテさんは呟いたそうです。


「試される大地、北海道…」


こうして新山は1人大洗に向かったのでした。

 


「なんで出発前から試されてんだよ…」


「いやどうすんのインテさん。諦めんの北海道」


「明日朝イチでバイク屋行って、チューブ変えてもらってから出るってさ。ただし、予約し直せた一番早い便が、明後日昼の新潟発→小樽着で、北海道上陸は明々後日の未明だって。4時っつってたかな」


「おれたちが明日の夜着だから、2日遅れか…。もったいねー」


「まあでも、北海道の何もないとこでやらかさなくてよかったのかもね。ちゃんと直してから行けるわけだし。周りに何もないところでパンクなんかしたら目も当てられないよ」


ちなみに。嘘のような本当の話ですが、私のコペンも出発の一週間前に右前輪がパンクしています。

 

正確に言うとパンクではなく、ド派手な切り傷が入っただけですが…。


ディーラーにオイル交換に行ったとき、メカニックさんが気づいてくれたときは血の気が引きました。コペンローブはタイヤサイズが特殊で(165/50の16インチ)、すぐに替えタイヤが入ってくるか、問い合わせの回答を待たないと分かりません。スケジュール的にギリギリで、みるみる青くなっていく私に、ディーラーの営業さんは「いざとなったら試乗車のタイヤをホイールごと貸してやる」とまで言ってくれました。結果的に前日に納品されて間に合いましたが…。あの言葉には感謝しかありません。帰郷後はお土産持ってお礼に行きました。


「ともあれさ。おれとインテさん、上陸したら、そのまま道東方面に向かって、網走から宗谷岬行って、オロロンライン下って帰ってこようと思ってたんだけど、明後日はインテさんが小樽から向かえるくらいの位置に泊まって、明々後日の午前中に合流できるように、予定変えようと思ってるんだよね。梁井さ、最初は富良野でキャンプする予定って言ってたじゃん」


「言ったね。ジェットコースターの道走って、ケンメリの木見にいくつもりだったけど」


 「小樽から富良野って3,4時間くらいで、ちょうどいいんだよ。というわけで明日明後日同行させてくれ」



地元仲間の気楽さ故、関東近辺はあちこち走り回った新山と私ですが、まさかこんなところまで道連れになるとは。

 

1:45、出発のアナウンスと共に船体がゆらゆら揺れ始めます。

 

取り急ぎインテグラ先輩に概要を報告。8/7(日)に富良野のキャンプ場辺りで待つ旨を伝え、ビールで乾杯します。

 

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 ※さらば大洗

 

インテグラ先輩からは「ヤケ酒中」との返信あり。無事出発できたことをしみじみ感謝しながら就寝します。到着予定は明日19:45。都合18時間の船旅です。時間を考えず、ゆっくり寝ることにします。

 

続きます。