ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

コペンローブ、北海道に行く。その5。

5日目。2016年の8/8(月)。曇り。この辺りから旅程がキャノンボールの様相を呈してきます。


10:00起床。ベッドと布団が気持ち良すぎた…。早起きして早朝の釧路湿原を走ろうと思っていたのにこのざまです。コンビニで適当に朝食を買い込み、そそくさと出発します。


国道38号線に戻り、しばらく市街地を走ります。帯広は流石にデカイ街で、こうして走っている限りは「これから道東に抜けていく」という果て感は薄いです。そのうち道が南に向かっていき、鉄道根室本線に並んだ海沿いの道に出ます。

 

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釧路に入った辺りから霧が出てきました。


写真は白糠町近辺。記念に撮っていた走行中の動画からの抜粋です。さすがに屋根は閉じていた模様。結構肌寒かったのを覚えてます。なお、全く知らない道でこの視界なので、前のバイクがやたらと心強かったです。

 

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道の駅厚岸グルメパーク。昼食がてら生牡蠣を食します。旨い。旨いのですが、段々「このペースで走ってたら周りに何もないところで夜になるんじゃないか」と気付き始め、焦りが出てきました。


ついでに平日となったせいか、会社の連中から近況を問うメールがちょこちょこ届くも、この日に関しては「霧でなんも見えないす」としか返信のしようがなく、土産を楽しみにせいと言い添えてさっさと出発することにします。


この日の目的地は北海道最東端、根室市納沙布岬です。


北海道最東端の最果て感は一度味わっておこうと設定した目的地ですが、いかんせん遠いです。加えて、次の日の目的地が北海道旅行のハイライト宗谷岬の為、せめてもうちょっと先まで進んでおこうと標津町のゲストハウスに予約までしてしまった為、途中で力尽きるわけにも行きません。天気も天気なので途中でキャンセルしてキャンプというのも無理です。はたまた車中泊というのも、人も少ない道東エリアの暗がりで行うのは、あまりに恐怖感が過ぎます。


そんな訳で霧の中をガンガンガンガン突き進みます。

 

海沿いの林の合間を、線路と並行して走る霧の道。前後に車はなし。景観は完全にサイレントヒルです。おまけにここがどこかといえば、日本の最東端エリア。思えば遠くまで来たもんだと感じ入りながら走っていると、気がつけば市街地に入っていました。北海道の最東端、根室市です。


わりと大きな街です。国道44号線から根室市に入ったのですが、役所の前の通りは結構賑わっています。が、市街地を抜け、根室半島線の南側ルートに入ると、建物も少しずつ減っていって最東端が近づいてきたのがわかります。

 

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日本最東端ガソリンスタンド、㈱ヒシサン歯舞SSさんで給油。日本最東端給油証明書をゲット。似たような輩がしょっちゅう来るのでしょう、店員さんが親切でした。

 

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日本最東端郵便局、珸瑤瑁(ごようまい)郵便局。ついでなので友人の結婚式の招待状をここから返信します。


霧の道を抜けて、納沙布岬に到着しました。

 

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この時点で夕方5時。岬のようですが、ごうごうと波しぶきの音がするだけで何も見えません。しかもここ、日本の東の果てです。超怖い。写真だけ取って逃げるように退散します。

 

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隣の公園にあった謎のオブジェクト。


すっかり日が暮れてしまいました。国道244号線、道東海沿いの道路をひた走ります。海沿いとはいえ真っ暗なので右手には底なしの闇しかなく、たまに林の間を抜けるので、いつ鹿やら熊やらが出るか分かったもんじゃありません。急ぐ気持ちを抑えて安全運転で進みます。

 

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標津の浜の湯でさっと入浴。この時点で夜7時半。夜の北海道は二度と走るまいと決意します。

 

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20時半。とほ宿(安い相部屋宿)モシリバに命からがら到着しました。素泊まりで3,500円也。

 

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オーナーさんに遅くなった旨を謝罪し、リビングにて、途中のセイコーマートで買った夕食をかきこみます。安心のあまり写真がブレブレです。


食事中、毎年夏休みに泊まりに来ているというご家族と会話しました。小2の娘さんが「去年モンゴルで馬に乗ったよ」と言う剛の者で、北の果てで、幼女とモンゴルの馬の話をしているこのときが、今回の旅行で一番「遠いとこまで来たんだなあ」と感じ入った瞬間でした。

 

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熊が出たらどうしようかというテーマで談笑中。オーナーのおじいさん曰く、「基本にらめっこしながらゆっくり後ずさり。それでも熊が襲い掛かってきたら、亀のポーズで丸くなれ」「それ諦めろってことじゃないですか」


買ってきた缶ビールも飲み終え、10時過ぎには部屋に引き込むことに。一人客用の部屋に布団が三つ。先に寝支度を始めていたライダーさんに挨拶し、布団に潜り込んだらあっという間に眠りに落ちてしまいました。モンゴルっぽい夢を見たような気がします。


続きます。