大学の先輩製作クラシックギター試作4号機.
大学の先輩製作クラシックギター試作4号機.
大学時代の先輩から譲ってもらった、自主製作クラシックギターの試作4号機です。
恐れ入ります!!
— rucastudio (@xxxxrucaxxx) 2019年9月28日
増税前にbossanova歌いましたので、宜しかったら聴いてやってください!!!今回もギタリストのハリー(@hurryharryhurry)さんに無理言いまして、私の大好きなAna Caramのナンバーをお願いしまして、美しすぎるギターいただきました!宜しくお願い致します! https://t.co/lq30URcyMG
やや小さい、薄型のボディーサイズ。心持ち低めの弦高。製作者の先輩曰く「おまえどうせクラシック弾かないだろうから薄めに作った。ボサノバとか合うと思う」とのことです。卒業前のソロ会はレイ・ゲーラ弾いたんですけどね…。そのあくる日。
ただまあ先輩の読みはドンピシャで、もっぱらボサノバ系のバッキングとソロフレーズで活躍しています。ミッドが控えめでありながら、ハイとローが主張するクッキリした音で、ボーカルと合わせると互いの音がよく聴こえて激烈に心地いいです。ミッドはマイキングで調整すりゃいいという思想。
弦高低めなので変に強く弾くとバチバチ言いますが、芯を捉えて弾くと中々に太い音も出ます。おかけまで右手に気を使うようになりました。ボサノバ伴奏時、ボーカルさんからは「爪弾いてる感じがあって良い」と言ってもらえたで、自分としては及第点以上です。
ソロフレーズを弾くと、アタックが際立ったカキクケコの発音が目立つ音がします。所謂「ガット」感のある音で大変気に入っています。アタックを効かせても耳に痛くなりにくいのがガットの利点だと思っているんですが、まさにそんな印象です。とても良いです。
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わりとシンプルなギターが好みな私ですが(000-18やLowdenなど)、このギターを始め、クラシックギターは繊細な装飾が多くて素敵だなと思います。
サウンドホール。縁取りが美しい。
ペグ。よく見るとサイドの彫り物が細やかです。どんだけ手間かかるんだこれ…。ヘッドにもサイドバックと同じ突き板が貼ってあるんですね。
指板はエボニー。黒々として綺麗です。
ボディー外周。エレキギターでういスクレイプドバインディングみたいで独特の色気があります…。
ブリッジの装飾も細やかです。
トップ材はスプルース系、サイドバックはローズウッド系でしょうか。ネック材はマホガニー。明るいスプルーストップが好みなのでこの仕様は嬉しかったです。
弦はサバレスを使用。クッキリハッキリした音質特性を活かすことと、弦高の低さからテンションを稼ぐことが目的です。相性はいいと思います。
こうして改めて眺めると、製作者の先輩の美観が随所に出ていることに気づいて懐かしくなってしまいました。
柔らかで飾らない人柄ながら内面が激情家で、音色は暖かいのに演奏は力強い、芸術家そのままの二律背反を持ちながら部内の誰からも好かれている先輩らしい、声高に主張しない、最強に美しいギターであります。
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大学卒業後、久しぶりにOBで集まって合奏練習をしていたある日の休憩中、先輩から「梁井くんギターいらない?」と声をかけられました。
突然何やらと思いつつ「ほしいです」と答えたら、続いて出てきた台詞は「おれ最近ギター作っててさ」とのこと。
『おれ最近ギター作っててさ』
何ともパンチのある台詞だなと思いつつ、この人ならやりかねないと納得もしながら話を聞いてみると、この先輩、数年前から「弾くより作る」にハマり始めたようです。
卒業後、働き始めて貯めたお金を投入して木材と機材を購入。試作に一本、自分用に一本、ギターを始めたいという友人に一本製作し、直近の一本は趣向を変えて「小さめ薄型のボディーでフラメンコギターに近いやつ」を作ったとのこと。作った後で「さてこれをどうしよう」と悩んだところで、合奏の練習日、休憩時間中にエセボサノバを弾いて遊んでいた私を見て、「こいつに渡そう」と目をつけてくれたそうです。
この先輩、ズバ抜けた音色と表現力と情熱と人柄でサークル内の誰からも好かれていた人でして、この人が作ったギターならぜひにもと、二つ返事で答える私。「いくらでしょう?」と尋ねたところ、
「代金はいらない、できればたくさん弾いてほしい」
次の練習日、先輩が持ってきてくれたギターを見て「きれいなギターだ」と息を呑みましたが、細部の装飾の美しさに気づくのはそれから数年弾き続けた後になります。弾いてみた感触は上々で、ボディーの小ささと弦高の低さから来るハイ寄りの傾向はあるものの、今まで使っていたギターとタイプが違うこともあり、これを使いこなしてみたいと思える音色でした。
「長くたくさん弾いてほしい」という先輩の言葉も頭にあった為、ナイロンギターはこれ一本に絞ろうと、それまで使っていたクラギを手放すことを決意。部員が増えてギターが足りないという、母校のギターアンサンブルサークルに予備ギターとして寄贈することにしました。アストリアスの入門ギターでしたが鳴りもよくいいギターだったので、今でも弾いてもらえているなら嬉しいです。
それから3年間、合奏サークルでゴリゴリに使い倒させてもらいました。
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合奏サークルもメンバーの結婚や出産で休止状態になり、私もエレキに移行して、しばらくケースにしまわれていたこのギターですが、3020 SOULSで一緒になったrucaさんから「ボサノバをやろう!」とのお誘いをもらい、久しぶりに陽の目を見ることになりました。
コンデンサマイクを使った生ギター録音は初めてで、録り音にDAW上でエフェクトをかけたのも、思えば今回が初めてでした。諸々幅を広げてくれたギターだと思います。
「長くたくさん弾いてほしい」と話していた先輩に応えられたことが、このギターに関して一番の喜びです。これからもよろしくお願いします。