録音後記『冬暁 / 3020 SOULS』
3020 SOULS参加曲の3曲目です。
2019年7月の録音。マイク録り。「Tom MischがBarney Artistとやってた、ちょっとトボけた崩しジャズみたいなのがやりたいね」とリーダーと話しながら作った曲です。仮タイトルは『Madjazz』
3020 SOULSでは珍しく小編成の生楽器主体なので、バンド感のある曲になりました。気に入ってます。
マイクはFocusrite Scarlett CM25、インターフェースはFocusrite Scarlett 2i2、アンプはFender Super Champ X2、ギターはストラトのフロントです。きっかけがTom Mischだったので今回はストラトだなと…。
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ギターは地味に3本重なっています。メインリフ、オブリフレーズ、トレモロ装飾音の3つ。
メインリフは、我ながらこれを思い付いた時には「勝ったな」と思いました。トボけた感じが出せたんじゃないかと思ってます。
ストラトのフロントで箱物みたいな音を出すのが目標なんですが、わりとイメージに近い音が出せた気がします。自分なりに歯切れよく弾けました。コードは下記の通りです。
F#M7(9) F#m7(9) / EM7 A B
F#M7(9) F#m7(9) / EM7 G#m7 B
左chのオブリフレーズはTom Misch感がほしくて入れたんですが、ラップが入った状態で聴くと邪魔になりそうなのでちょっと落としてもらいました。もうちょっと控えめな単音カッティングみたいなやつの方が良かったかなとも思いますが、ブリッジ後の雰囲気を変えるのには役立った気がします。一応ブリッジ前の、ラップが歌メロになるところからこっそり入っています。
右chは、トレモロとうっすらコーラスをかけた単音装飾です。
ioriさんのラップがメロディアスだったので、コード感を引き立てたいなと思って後から追加しました。ラップや歌メロの前に導入音的に入れたり、サビのメロディーにユニゾンしたりハモったりしてます。
タイトルが決まってから「トラックも冬感を出したいな」と思ってこの音色にしました。トレモロをかけた単音装飾、Bill Frisellっぽくて好きです。
両チャンネル共に、控えめにしたり前に出したりのミックス具合が気に入ってます。サンキューリーダー。
アウトロソロはオブリから雪崩れ込むような形でパッションで弾きました。可もなく不可もなくというフレーズですが…曲調には合ってるかなと思っています。
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ベース、リズムトラック、ミックスはリーダーjamjamaさんです。
ベース、激烈に好みです。休符の効いた丸い音。ノリが最高です。「しばらくベースを弾き込みたい」と話していたタイミングだったので、リーダー的にも気合が入っていたのか。基本ループだと思いますが効いていて飽きません。
リズムトラックに関しては、毎度リーダーに全幅の信頼を置いているのですが、今回も最高です。リムショットの音色が印象的ですが、わざわざスタジオ行ってこれだけ録ってきたとのこと。The Lightにもうっすらとハンドクラップ混ぜてたりと、凝ってます。
あと、ギター弾きやすいんですよねリーダーのリズムトラック。
ラップはioriさんです。一緒にやらせてもらうのは初めてでしたが、「きれいなメロディーを作るラッパーさんだな」という印象が今回で固められました。ラップの要所要所でメロディーラインが変化するので効いてて飽きが来ません。
0:57からの『自由飛行 空中遊泳な気分で そう また乖離気味』のメロディーの浮遊感が最高です。ご本人曰く、
『リリックのイメージは冬の朝で、弱い自分、強い自分が夜の寒さ、朝日の光とリンクしました』
『前半は自身過剰な自分、後半は自身損失な自分。トラックが途中変調?するところで切り替えてます』
とのこと。情景が伝わってきます。
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この曲、冒頭に書いた通り録ったのは真夏なのですが、まさか冬の曲になるとは思ってもいませんでした。『気怠げな感じ』がioriさんの中『冬に自室から見る景色』に展開されていったようで、人と曲を作るのはやっぱりおもしろいなと実感しました。
ちなみに冒頭のSEは、jamjamaさんとioriさんが以前作ったNotes #53という曲の引用だそうです。続編的な。ピアノサンプリングが印象的な、きれいな曲なのでぜひ。