※2016年当時のBMW3シリーズ(F30型)試乗記録です。
とある曇りの日、ディーラーにて。
「コペンの車検が切れるのは来年なので仮に買うとしても当分先だけれども、3シリーズが気になって見に来た」と伝えると、せっかくなのでと、営業さんが試乗を勧めてくれました。
「これおもしろいですよ」という言葉で営業さんが出してきてくれたのは、何と320d。
※写真は青梅に展示されてたやつ
ディーゼルかよ!乗ったことないよ! 比較可能な対象が、コペン納車前にちらっとだけ乗ったアクセラディーゼルだけなので、ほぼ経験がないに等しいですが…、まあせっかくオススメしてくれたし、売れてるらしいしと思い乗ってみました。これがたしかに面白かったです。というわけでまずは320dについてです。
◯320d(F30)
①スペック
BMW 320d M sports
ボディサイズ:全長 4,645 × 全幅 1,800 × 全高 1,430 mm
ホイールベース:2,810 mm
トレッド:前/後 1,535 / 1,550mm
タイヤサイズ:前225/45/R18 後255/40R18
車重:1,550kg
最高出力:140kW (190ps)/ 4,000rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/ 1,750-2,750rpm
変速比:(1~8/後退)5.000/3.200/2.143/1.720/1.314/1.000/0.822/0.640/3.456
最終減速比:2.813
印象通りの、ガッシリした高トルク車でした。
1,500kg超えの重量級にも関わらず重たい感じはありません。これは後に320iと、ひょんなことから318iに乗ったときも同様でした。ハンドリングが良いせいだと思います。ただ、ディーゼルは挙動がガッシリした印象がありまして、最大の理由はハンドルが超固い点だと思います。
後に乗ったガソリンタイプと明らかに違っていたので営業さんに聞いてみたら、あえてパワステの設定を変えているみたいです。何でですか?と聞いたところ、「正直分かりませんが、やっぱりどっしりしたイメージ出したいからじゃないですかね。直進を安定させるのが楽になるので、比較的長距離ランに向いているディーゼルには重いハンドルを、って考えなのかもしれません」とのこと。
概ね好印象でした。ターボディーゼルはアクセルレスポンスが悪いとよく聞きますが、特に違和感は感じません。むしろトルクバンドから踏んだときのダッシュ力は相当なもんですし、普段ターボのマニュアルに乗ってる人間からすると挙動がイメージしやすかったです。レッドゾーンが5,500とディーゼルにしては高めなこともあってか、頭打ち感もそんなにありません。そもそも2.0Lのディーゼルを上まで回すようなシチュエーションは街中じゃまずありませんが。
※ディーゼルのタコメーター。ご覧の通りレッドゾーンは5,550rpmから
ディーゼルのガラガラ音は、アイドリング時にはさすがに聞こえますが、気になるほどではなかったです。このくらいならむしろ「ガソリンと違うなあ」くらいで気持ちよいです。
「ほぼ初ディーゼルとのことでしたけどどうでした?」という営業さんに「ストレートにおもしろかったです」と答えて車を降りました。
◇
「とはいえ元々はガソリンモデルを見に来た」とのことで、定番モデルの320iも試させてもらいました。
◯320i (F30)
BMW 320i sports
エンジン:直列4気筒2.0LDOHCターボ
ボディサイズ:全長 4,625 × 全幅 1,800 × 全高 1,440 mm
ホイールベース:2,810 mm
トレッド:前/後 1,520 / 1,560mm
タイヤサイズ:前225/50/R17 後255/50/R17
車重:1,540kg
最高出力:135 kW (184ps / 5,000 rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/ 1,250-4,500rpm変速比:(1~8/後退)4.714/3.143/2.106/1.667/1.285/1.000/0.839/0.667/3.295
最終減速比:3.154
ディーゼルタイプに比べてハンドルが軽く、普通の乗用車的でした。
動きは軽いです。回転数を上げた状態でのレールチェンジで、やたらと挙動が軽やかでした。
営業さんの運転で、パドルシフトを使って上まで回したときの吹け上がりと動きが助手席で感じた限りでもよかったので、ターボとはいえさすがはエンジンのBMWというべきかぶん回したときの気持ち良さは高いみたいです。ただ、パドルシフトが苦手な私がオートマモードで普通に踏んだとき、シフトアップをしないように上までぶん回すには踏み方にテクニックが必要だったので、それならマニュアルがほしいなとは思いました。
◇
意外だったのが、アウディA3と運転感覚があまり変わらなかったことです。
車重はたしかにアウディの方が200kg軽いですが、トルクウェイトレシオは320iの方が上です。ギア比込みで考えたらまた違うのか、アウディは前後配分が駆動輪である前輪にかかっているからなのかなど、いろいろと理由を考えましたが、新山さんに聞いてみたところ、
「……もしかしたら単純に、スロットルのセッティングの問題かもね。トルクはあくまで最大トルクだからさ。さっき言ってたように、ギア比とタイヤ径で変わってくるし。それより、スロットルの開き具合と燃料噴射の相関関係で、アクセルを踏んだ時のダッシュ感は違うから。結局、おれたちの感じてるのはスペック上の最大トルクというより、トルク感に過ぎないんだよね」
とのことです。
総じて印象は良かったし、見積もりの条件も良かったし、「長距離ラン時に回転数の低くて荷物が載って座席の倒せる楽な車に乗りたい」欲求が最大に膨れ上がっていた時期だったので、帰って金策が出来たら行っちまおうかと思いながらディーラーを出たものの、毎度のことですがコペンに乗って帰路についた途端、
「……こっちの方が楽しいな」
となり、結局この後4年近くコペンに乗り続けることになります。
セダンに憧れはあるけれど、小さな車体をMTで思いっきりぶん回せる楽しさの方が、現状の自分には合っているようです。ましてBMWは、アウディと違って厳つさもあるので、大人としての自分に自信が持てたら考えようと思います。