録音後記『Overjoyed~Ancore (cover) / rucastudio』
3020 SOULSのピアノボーカル、rucaさんとやった2曲目です。
2019年9月の録音。マイク録り。ブラジルのボサノバ歌手、Ana Caramによるカバーのコピーです。
マイクはFocusrite Scarlett CM25、インターフェースはFocusrite Scarlett 2i2。使用ギターは大学の先輩製作クラシックギター試作4号機君です。
ガットギターの張りのある柔らかな音が、上手いこと録れた気がしています。
演奏面は、音の強弱とアーティキュレーションに関してかなり気合を入れて弾きました。伊達にアンサンブル時代、伴奏ばっかやっちゃいません。メロディーで抑揚を付けるより、伴奏で抜き差しする方が好きです。わりと良い出来だと思っています。
ボーカルに関しては聴いていただければ分かりますが、さすがとしか言いようがありません。日曜日の陽だまりの中で微笑んでいるような、柔らかな歌声です。表情が見えるよう。
◇
宅録を初めて3ヶ月。そろそろアコースティックギターのマイク録りを試してみようと思っていた矢先に、rucaさんからボサノバカバーのお誘いがありました。
渡りに船のタイミングです。元々学生時代はクラシックギターのサークルにいたこともあり、ガット系の扱いはむしろエレキより慣れています。ケースからクラギを引っ張り出し、久しぶりに弦交換をして、いそいそとボサノバリズムの練習を始めました。
ある程度音も取れ、さっそく録音をしようと思ったところで1つ問題が発生しました。マイクスタンドがありません。
私が持っているのはアンプに立てる程度の高さの丸型スタンドのみで、背の高いストレートスタンドや角度を付けられるブームスタンドはありません。部屋も狭いので、これだけの為にわざわざ買うのも考えものです。置く場所がありません。
悩んだ挙句、出てきた解決策はシンプルに「適当な台で代用する」で、白羽の矢が立ったのは机の下に格納されているJC-22アンプでした。
ちょうどサウンドホールを狙える高さで大変重宝しました。以来ずっと愛用しています。
◇
演奏は、今まで通りクリックを鳴らしてインテンポで弾きました。ノリをキープする自信がまだなかったのと、ボサノバはその方が合うだろうと……。その分、単調にならないよう音の強弱で抑揚は付けたつもりです。
基本コピーになってしまうので、せめてと思いイントロとソロを付け足しました。
録った後プレイバックを聴いて「それっぽいそれっぽい」と喜んでいた記憶があります。強いていえばソロはもう少し音量大きめで録ってもよかったかも。響か方は気に入っています。
リバーブは、たしかrucaさん側でかけてもらった記憶がありますが、とても綺麗に馴染ませてくれました。多謝であります。
今回のうっかりエピソードとしてコードに関する話がありまして。上記の写真がrucaさんから送られてきたコード譜です。上がOverjoyed、下がAncore。
Overjoyedの音まで採った段階で、「良かったら後半こちらで採りましょうか?」と言っていただき、元々採譜は苦手なので甘えることにしました。「ドレミとABCどちらが読みやすいですか?」と訊かれ、「強いていえばドレミですかね」と答えたところ、送られてきたので上のやつです。
オタマジャクシかコード表記か、という意味だと思っていたらまさかのそのまんまの意味でした。正直これは読み取りやすかったです。Ancoreの方はわからない和音も多かったので大変助かりました。
念のため、とOverjoyedの方ももらえたので、ざっと目を通して本チャンを録音。データを送ったところ、rucaさんから来たLINEが下記の通りです。
ミ。頭のコードはFなので7thです。
私が弾いていたのは、低音から順にファ、ファ、ラ、ド。メジャーコードです。
ミが指定されてますね、じゃねーよ。
音で気付けという話です。ボサノバだぞこれ。
慌てて翌日仕事を終え、全部録り直す気力がなかったので該当箇所だけパンチインで録り直すという力技で事なきを得ました。これ以降、マズったところは編集で直すということを遅まきながら覚えたので、自分にとっては結果的に良かったです。rucaさん、すみませんお待たせしました。
2020年4月現在、「奥田民生だってカンタンカンタビレでパンチインしてんだからいいだろ」という精神で、録音時はとにかくまず通して弾き、あとからミスったとこだけ直す方針をとってます。ノリ重視。
◇
しばらく使っていなかったクラギを引っ張り出せたのが嬉しかったです。ガットはまた機を見て使っていきたい。