Gibson ES-335 1969 (Larry Carlton Mod).
Gibson ES-335 1969 (Larry Carlton Mod).
昔持っていたギター、ラリー・カールトン風にモディファイされた1969年製のES-335。ナンバードPAF搭載の、一応ビンテージギターです。
御茶ノ水のG-club Tokyoで購入。当時値段はカスタムショップの335と同じか、それより少し安いくらいでした。
手放すことにはなりましたが、自分にとっても思い出深いギターです。今でもフロントピックアップのクリーントーンで太い音を出すときには、基本こいつの音をイメージしています。
◇
Earth, wind and fireのSeptember。ES-335、トーン7、Aqua Puss。仕事のストレスをぶちこんで。 pic.twitter.com/klgQkpUp96
— 梁井 (@hurryharryhurry) 2017年6月8日
兎にも角にもクリアな音のするギターでした。
経年でピックアップの出力が落ちているせいなのか、ビンテージの魔法なのか何なのか、余計なものが削ぎ落とされたようなハイの抜けるクリーントーンが出てきます。乱暴な言い方になりますが、自分にとってはシングルコイルの感覚に近かったです。
エフェクト乗りも良く、コーラスを掛けてアルペジオを弾いたりするとフロントでもきれいに抜けてくれます。
夏といえばコーラスということで。Time after time。ES-335、Arion Stereo Chorus。このギターおそろしいことにエフェクト乗りまで良いです pic.twitter.com/DW7G6Kar34
— 梁井 (@hurryharryhurry) 2017年8月14日
※ARIONのコーラスを掛けてTime After Timeを弾いている図
思えばビンテージものはロクに触った経験がないのですが、面白いもので、数少ない年代物に触れたときの印象からすると、どれも余計なロー感のない、遠くにすっ飛んでいくような音色の傾向があります。
アレは本当何なんでしょうね。弾き込まれることで木材が、電気が通い続けることで回路がこなれて、エンジンでいう「慣らしが済んでアタリが付いた」ような状態になるのだと良く言われますが、この辺のことは語るに落ちる気がするのであまり考えないようにしています。
◇
このギター、経年で飴色に退色したボディーをはじめ、見た目の色気が半端ありませんでした。
ボディートップとバックはメイプル。バック材にはうっすらとバーズアイが出ています。
目立ちませんがクラックは其処彼処に入ってます。
改造箇所は大きく三つ。ブランコテールピースからストップテイルピースへの変更(テンションを緩和する為かテイルピースは後方より)、ストラップピン打ち直し、シャーラーM6ペグへの変更です。思いっきりカールトン仕様です。
サドルはナイロン製。弾いていて好印象なギターにナイロンサドルが載っていることが多かったので好みなのかもしれません。
シリアルナンバーは53149。Gibsonはシリアルの取り方がカオスなのでこれだけじゃ製造年はよくわかりません。
ナンバードPAF。カバーはクロームメッキでツヤツヤしています。
マホガニー1ピースネック。この年の途中から3ピース仕様に変更されます。厚みはそこそこありますが、所謂ナローネックで、ヘッド側はシェイクハンドでガッツリ握り込める細さです。ちゃんと測ったことはないですが大体41mm程度の個体が多いようです。
ブロックインレイ。
泣く子も黙る王冠ロゴ。やっぱかっこいいですねこのヘッド…。
◇
購入は2016年4月30日。先述の通りG-club Tokyo 3階の箱物フロアで買いました。
当時、短期間ながら弾く機会のあった格安中古カジノに味を占め、「暖かくて太い箱物のクリーン」を求めてふらふらと御茶ノ水を彷徨っており、エントリーモデルのフルアコを試したり、メンフィスの現行335を試したり、当時出たばかりのカールトン・シグネチャーモデルを探したり、無軌道にふらついていたところで、フロアの奥に吊り下げられているこれを発見しました。
「60年代が現行品と同じ値段で買えるのか…」
と思って眺めていたところ、店員さんに声をかけられ、試奏。所謂「太くて暖かい箱物の音」が出る現行品に対し、69年のこいつは「シャッキリした抜け感の良い音」がすることに、かなり驚いた覚えがあります。
「な、なんか、自分の中のセミアコのイメージに比べて、かなりシャキシャキした音がするんですが…」
「ビンテージはわりとそういう印象がありますね。その分おもしろいと思いますよ。ピッキングも難しいですけど、トーンとボリューム弄ったら大分音が変わりますし」
そう言って店員さんがツマミを絞って弾くと、イメージする箱物の音に妙な抜け感がプラスされた、何とも言えない音が出てきます。
退店して数日後、気がついたらハードケースを抱えて店を出ていました。「太くて暖かい音」がターゲットだったので、当初の方向性からはややズレるものを手にした形になりますが…。結果的に、「太くて暖かい音」とは「ピックアップの出力が高くて高域が相対的に足りない音」とは異なることを知る、良いきっかけになったと思います。
以来、プラグインのソロギターメイン機として1年間がっつり使っていましたが、ナローネック特有のネックの細さ、335の宿命であるデカさと重さ、稀に発生するガリノイズから、気がつけばテレキャスターを手に取ることの方が多くなり、2018年5月5日、フラートーンのテレキャスターを買う際に下取りに出す形で手放すこととなりました。
◇
重ね重ね、音抜けの良いハムのセミアコの音を知れたのは大きいです。
その分、トーンを弄るようになったのも思えばこいつが最初だと思います。手元でコントロール出来るならフルアップで出てる帯域は広い方がいいという考えに至っています。フラートーン買ったときもその考えでした。
フロントのクリーンで太い音を出すときには、ハムでもシングルでも、いつもこの音をイメージしています。
当時の自分としては味わい尽くしてテレキャスターに移行したので手放したことは後悔していませんが、箱物はまた欲しいとは思っています。次買うときは音もそうですがネックのグリップが好みのものを選びたいです。
◇
335で弾いたやつです。懐かしい…。
うぃすきーでべろんべろんにあだるてぃな気分になったところで、335でFeel like makin' loveを弾きました。この世で一番好きな曲であります。例によってフロント、トーン3、Aqua pussをうっすらかけてます。 pic.twitter.com/AZpscAEx75
— 梁井 (@hurryharryhurry) 2017年5月7日
Close to youソロギター。ES-335、フロント、トーン3。Way Huge Aqua Puss。 pic.twitter.com/vbma3wT7PE
— 梁井 (@hurryharryhurry) 2017年8月5日