ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

アルピナ、故障する。その1(チャージパイプ破損)。

B3について大事なことをまだ書き記していませんでした。怒涛の故障ラッシュについてです。

 

納車から半年。故障箇所は4つ。①ターボチャージパイプの破損、②電動ファンの物理的故障、③エアコンからの異音、④道路陥没によるホイール損傷とエア漏れで、総修理費は地獄の60万円です。


『4週間経つと壊れて入庫、それからしばらく帰ってこない』という事例が何と4回続いたので、さすがに考えるところがあり、最後の修理から戻ってきたその足で西新井大師に車のお清めに行ってきました。仏の加護かは分かりませんが、幸いそれ以降、トラブルは起きていません。


本記事からしばらく、B3の各種不具合と、それに対する格闘、代車との蜜月、驚きのパーツ代、保険対応、そして帰ってきたB3の甘露のごとき走行フィーリングについて述べていきたいと思います。

 

流石は70,000kmの中古外車。定期整備はされていても、壊れるときは壊れます。それも不思議と、オーナーが変わった直後のタイミングで……。試されてるのか?

 


記念すべき一発目は、2022年8月20日。この車で初めての遠出、毎年恒例の夏休みキャンプツーリングに出立した、その矢先の出来事でした。


上信越道を快走中、右車線がすっからかんだったので「よーしパパちょっとだけ踏んじゃうぞー」と3速までシフトダウン。車線変更の為にアクセルをグイッと踏み増したところ、エンジンルームから轟音が響いてB3が壊れました。


ターボチャージパイプの破損です。


タービンで過給された圧縮空気は、インタークーラーを経由して冷却された後にエンジンへ送り込まれるわけですが、そのエンジン手前、スロットルボディーに接続されている樹脂パイプが、1.2バールまではね上げられたブースト圧に耐え切れず、経年劣化した接続部から抜けて破損。「ドン!」と音がして、『踏んでもジワジワとしか加速しない』状況に陥りました。


つまるところこれは『ターボ過給が意味をなさなくなって、単に吸気効率の悪いNA化された』状況なのですが、当時の私にそんなことが分かるわけもなく、「元気よく踏んだらとんでもねえ音がしてB3が壊れた」としか認識できませんでした。


自走することはするのですが、明らかに異常が起きている状態で遠出なんて出来ようはずがありません。その場で停まって路束帯に寄せるべきか逡巡はしましたが、私はおそるおそる最寄りの佐久平PAまで辿り着き、そこですべての予定をキャンセル。B3は、かかりつけの主治医がいる地元のショップまで、はるばる180kmの旅程を、任意保険オプションのロードサービスでドナドナされていくこととなりました。

 

f:id:hurryharryhurryblog:20230302151455j:image


※レッカーされるB3の図。悩んだ挙句、高速から佐久平駅まで降りてきて、そこでレッカーを待ちました。後述の通り、私の特約加入では移動費用が補償されない為です。



「ミッションだとしたら怖いですが、おそらく以前お話したチャージパイプだと思います」


一通り状況を整理した後、パーキングの車内からショップへ電話したところ、営業さんの見解は上記の通りでした。


アクセルを踏んでも加速が鈍いので「イメージとしてはミッションが滑っているような感覚」だったのですが、ミッションの滑りなら「エンジン回転は上がるけど速度が付いてこない」状態になるはずです。回転の上がり方そのものが鈍い状態だったので、吸気系か点火系の異常だろうと思ってはいました。


営業さんの「以前お話しした」の言葉で、私の脳裏には、うっすらと納車時の会話の記憶が蘇ってきました。


「……ATフルードとミッションオイルパンも換えてますし、スパークプラグも全交換してます。あと危ないところは、BMWターボモデルの泣きどころなんですけど、樹脂製のターボチャージパイプが、劣化で破損することがあってーー」

 

f:id:hurryharryhurryblog:20230302151512j:image


※接合部のOリングごと弾け飛んだチャージパイプの図。奥まった場所を通っていて、ショップで指示してもらわないと見つけられなかった。

 

どうもよくある故障のようで、レッカーを待つ間ネットで調べてみたところ、特にN55エンジンを載せたM235i、M2などで同様の事例が出てきました。

 


www.youtube.com


※上記は日本一速い(と思われる)エロ漫画家、あかざわRED氏のM2のチャージパイプ故障時の動画です。こんな感じでいきなり来ます。


何故そんなに割れやすいものを樹脂製にするのか。実際、アルミ製の強化アフターパーツが出回っていて、N55搭載車でスポーツ走行をされる方は大半が交換しているようですが、このパイプおそろしいことに、普通に走っていても抜けるときは抜けます。


「メーカーとしては、こういうところでコスト削減してるんだろうね。ドイツ車は特に、『壊れるものは壊れるべきときに壊れて、然るのちに修理する』みたいな思想だしさ。もしかしたら、吸気の高負荷時には樹脂パイプが壊れることで、エンジン本体へのダメージを事前に軽減させる効果が……ある程とは思わないけど」というのは後日話を聞いた新山さんの談です。


それならパーツ代も安いかなとタカを括っていたところ、アルピナ純正品、ニコルからの購入で何と91,080円(税込)でした。


まさかのBMWとは別パーツ扱いです。配管取り回しの問題なんだろうか……。


BMWパーツなら40,000円ちょい。アルミ製の社外強化品なら50,000円ちょいと聞きましたが、アルピナエンジンのせいなのか強化品は受注生産で、納期2ヶ月だそうです。


入庫翌日「どうしますか?」と聞かれたものの、納車2週間後に2ヶ月の入院はさすがに耐えられません。純正品なら国内在庫があるので数日で届くとのことだったので、大人しく純正品で済ませることにしました。


今思えばいっそ電動ファンのときと一緒に壊れてくれれば、その入院期間(1ヶ月半)に合わせてアルミパイプを発注したものを……。

 


最後に、保険のロードサービスについてです。


私の保険は損保ジャパンのTHE クルマの保険なのですが、ロードサービス利用はもちろん等級に影響がなく、レッカー牽引費用は150,000円までは無料です。牽引距離でいうと概ね180km前後でしょうか。これに代車等諸費用特約を付けると、代車・移動・宿泊費用が一定額まで保証されます。


が、私の場合、元々がコペンを新車で買って「立ち往生のトラブルなんかそう起こりゃせんだろう」と余裕をぶっこいていたので、代車特約など付けておらず、悔やむらくは買い替え時もそのまま車両入れ替えだけ済ませていました。よって、佐久平から帰郷する交通費は完全に自己負担です。レッカー車は法律上、人間を輸送することはできません。


このときは運転手1人だったこともあり、たまたま魔法の力でショップまで運んでもらえましたが、同乗者がいた場合には悲劇になっていました。単独行が功を奏することがあったとは……。

 

また、佐久平からいつものショップまでの距離は、何と179km。ギリギリです。


怯えながらレッカーのにいちゃんに聞いてみたところ、「補償額を超えた場合には後日保険会社から請求がすると思うけど、多分大丈夫だと思うよ」とのことでして、結果として請求が来ることはありませんでした。セーフです。

 

セーフっつっても買って2週間で修理費9万円です。50万円くらいは何かあった時のために見込んでおこうと思ってはいましたが、早々に消費することになるとは思ってもいませんでした。挙句に保険でギリギリの恐怖を味わったので、「中古外車に買い換えるときは信頼できる人間に特約見直しの相談をした方がいい」と強くここに勧めさせていただきます。重ね重ね、壊れるときは壊れます。

 

f:id:hurryharryhurryblog:20230302153511j:image

 

※出発前、キャンプ道具を満載したB3のトランク。「コペンのときと違って助手席に積まなくていい!最高!!」となっていたのが今思うと物悲しい

 

 

チャージパイプは無事数日で届き、記念すべき一発目の故障は1週間ほどの入院で済みましたが、これで終わらないのがこの車です。次は冷却系がぶっ壊れます。

 

が、故障二発目の前に、次は代車でやってきたE61型5シリーズツーリングについて書き綴ります。同じ排気量3.0LでこちらはNAだったのがおもしろかったです。続きます。