ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

梁井、アンプを買いに行く。

学生時代からダラダラとギターを弾き続けておりまして、このたび機材を買い足すことになりました。アコースティック用のギターアンプです。

 
アコースティック(生音)なのにアンプリファイド(増幅)させるという、ちょっとした矛盾のあるこの組み合わせ、プロの間でもいろんな考え方があるようです。たとえば生音に忠実に増幅することを大事にする立場。
 
または、音色にはある種の諦めを持って、しっかりと増幅させることと、弾き易さを優先する立場。
 
John Mayerがこの考え方だったのは意外でした。曰く、「アンプリファイドしてるのにアコースティックっておかしいだろ?」とのこと。
 
「サウンドホールで自然増幅するのでなく、ピックアップで拾った信号を電気的に増幅するスタイルを取る以上、もはや楽器のスタイルが変わっているので、音色調整にこだわりすぎるのはナンセンス。それなら高価なシールドを使ったりするより、プレイアビリティを優先して、ワイヤレスにでもした方がナンボかマシ」
 
と、ギターマガジンか何かのインタビューで読んだ覚えがあります。目からウロコでした。
 
この考え方が行き着くところまで行ってしまうと、渡邊忍のように「むしろそれはエレキの亜種」みたいな音をアコギで叩き出すようになるのかもしれません。あの音かっこよくて好きです。
 
話がズレましたが、私が今回アコギ用のアンプを買うことになったのは、友人の結婚式でソロギターを演奏するためです。
 
アンサンブルのサークルに入っているので、式の余興で合奏をすることはそれなりにありますが、ソロは今回初めてです。いい機会なので拝命することにします。
 
「どんな曲がいいの?」
 
「盛り上がるやつ!!!」
 
直前までアレンジしていたのがカーペンターズだったのですが、これはどうも使えなさそうです。バラードよりも明るい曲の方がいいとのリクエスト。
 
それなら、ちょっと古いけどみんな知ってて、結婚式の定番で、速くはないけど、明るく元気の出る曲にしました。特別好きな曲というわけではありませんが、弾いてみると意外と楽しい曲で、ノッて弾けそうです。
 
足りない元気はヘッドバンキングと音圧で稼ぐことにして、今回奮発してアンプを買うことを決意。休日、久しぶりに御茶ノ水の楽器街に向かいました。
 
 
電子機材に極端に疎い私は知りませんでしたが、アコースティック用のギターアンプ、かつエントリーモデルといえば、そんなに選択肢はないようです。この際音質無視で、オシャレな珍アンプでも探そうと思ってたのに…。
 
実際に店頭に置いてあったのは下記の二つ。

 

 Roland AC-33

 

FISHMAN LoudBox Mini Loud Box

FISHMAN LoudBox Mini Loud Box

 

 FISHMAN Loudbox mini 

 

愛用のSeagullを買ったお店に両方あったので、実際に音を出させてもらうことにしました。まずはフィッシュマン。
 
「結構音量出るんですね」
 
「60Wありますからねー
 
続いてローランド。
 
「…やっぱ比べると音飛ばないですね」
 
「30Wですからねー」
 
普通こういうのワット数低い方から弾かせるんじゃないかと思いますが、おかげで違いがはっきりわかりました。今回マイクを使わずに音圧を稼ぐことが目的なので、フィッシュマンでほぼ決まりです。が。
 
「…ん? あれ? これルーパー付いてるんですか?」
 
「あ、そうそう、付いてます付いてます。ちょっとなんか弾いてみてくださいよ」
 
てっきり高額フィッシュマンを勧める気なのかと思いきや、ローランドのループ機能について尋ねるといきなりノリノリになる店長さん。
 
G△7 / F#m7 Bm7
 
「よしっと。ポチッとな」
 
「お、おおー」
 
プレイバックが流れる中、適当にアドリブを合わせてみます。オーバーダブのボタンを押してくれていたらしく、これも録音され、即座にプレイバックされます。
 
「いいでしょいいでしょ。僕ルーパー大好きなんですよ!ちょっとフレーズメモったり、ボイジング確かめる時いいですよね!」
 
こういう自分の趣味を全開に押してくる店員さん、好きです。ルーパーフェチの方にあったのはさすがに初めてですが…。
 
たしかにアンプにルーパー機能が付いているのはフレーズメモとして便利ですが、このルーパー、フットスイッチも合わせて買わないとライブでは使い物にならず、それなら単体で買ってエフェクトボードに組み込めば済む話なので、今回は見送ることに。何より30Wは音量が物足りません。AC-60までグレードを上げると、今度はルーパー機能が付いてこない。
 
普段レコーダーのMTR機能を使っており、ルーパーは興味はあるものの持ってはいなかったので、残念がる店員さんに今度ルーパーを買いに来ることを伝え、フィッシュマンの購入を決めました。メーカー的にアコースティックのソロギターに合いそうですし、「安くてデカイ音がそれなりの音質で出るアンプ」という購入目的は果たせました。
 
数日後に郵送で届く予定なので、楽しみです。練習しなきゃ。
 
 
ルーパー使いといえば、私の場合まずカーキ・キングが思い浮かびます。
 


Kaki King - Gay Sons Of Lesbian Mothers Video HQ ...

 

 ソロギターでハイブリッドな人、結構増えてきてる気がします。そもそもが始祖のヘッジスからしてボーカル伴奏として使ったり多楽器と合わせたりとフリーダムなスタイルですが。

 


Arai & Kogure (the band apart) - "stereo" live at ...

 
新宿のタワーレコードでのインストアライブ。これは生で見ました。ルーパー、演奏の幅を広げるのにちょうどいい機材ですよね。アンプを買った記事なのに、ルーパーがほしくなってしまいました。