ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

梁井・新山、アルピナを買う。その3。

購入記その3です。

 

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※新潟にキャンプに行ったB3の図。後で知ったのですがこのとき既に電動ファンが破損しています


「いつの間にかマニュアルのB3が出てるな」と思ってはいました。


さらに言えば、それを見て「ツーリング主体ならMよりアルピナの方が合ってるかもね」みたいな話も、確かにした記憶があります。


しかしながら、こうも「ミイラ取りがミイラになる」の典型みたいな車の買い方を目にすることは滅多にないと思います。私を焚き付けて見に行った車屋で、ある日突然、新山がBMW ALPINA B3 E46型のマニュアルモデルを買っていました。

 

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※衝撃のツイート


「正確には取り置いてもらってから1週間後に契約したんだけど、それはあくまで金の工面と、彼女に話を通す為だけの時間であって、買うこと自体には何の迷いもなかったね。M3より100万円安いアルピナのマニュアルが、専門ショップで買える。迷う理由がなかった」


大型二輪の免許交付を受けた帰り道のことだったそうです。


「バイク売ろうかな」とボヤキながらも何故か「取れるうちに取っておこうと思って」と突然大型教習に通い出し、いつの間にか合格を果たしていて、この日に免許センターへ交付を受けに行くとまでは聞いていました。その帰路と思しき時間帯、私は新山の上記ツイートを発見。


「しばらく大型バイクを買うつもりはない」と話していたものの「ああ、やっぱりバイク買ったんだな」と思いリプライで尋ねてみたら、何とバイクじゃなくて車でした。


「サファリはどうした!」とか「M3にスマホ忘れてったのはやっぱりわざとだったんじゃ!」とか、いろいろと思うことはありましたが、最初に浮かんだのは「先を越された!」という敗北感でした。


別に車なんて好きなときに好きなもんを買えばいいですし、誰かが買ったのに触発されて買うもんでもないと思いますが、少なくとも乗り換えを逡巡していた私に、結構な衝撃を与えたことは事実です。


改めて店の在庫を見てみたところ、アルピナが何と3台置いてあります(新山の買ったE46を含めると4台。驚異的です)。世代別に選べる状況。しかも、ISの新車を買うより安い。


ついでに私は思い出しました。そういえば今年昇格して、まだ自分には何も買ってないんだよな、と。


これだけ何年も「GT性能の高い車に乗り換えてみたい」という欲求を抱き続け、コペンでは北の端から南の端まで無事走破して、乗っていてしみじみ楽しい車ではあるけど、そろそろ次に行ってもいいんじゃないか?


目の前にセダンの極致たるアルピナが3台、買える値段でぶら下がっています。こんな状態がこれから何度ある? そもそもおまえ昔から「BMWの3が好き」「F30のデザインは至高」「アルピナならなおいい」とか言ってなかったか?


私は腹を括ることにしました。

買っちまおう、アルピナ



あとはもうどれを買うかです。お店には何と、E39、E90、F30、3台のアルピナが買える状態で置いてあります。


まずは、4代目5シリーズをベースにしたE39型。全長のデカさと古いATが理由で見送りましたが、90年代に生まれた車、やっぱり好きです。憧れがあります。


BMW ALPINA B10 3.3 (E39型 5AT)

 

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エンジン: S52B32 Turned by ALPINA 3,299cc(E36型M3北米仕様搭載エンジンのチューンド)

ボディサイズ:全長 4,775 × 全幅 1,800 × 全高 1,435 mm

ホイールベース: 2,830mm

トレッド:前/後 1,510/1,520mm

タイヤサイズ:235/40R18 / 265/35R18

車重:1,640kg

最高出力:285ps(209kW)/6,200rpm

最大トルク:34.2kg-m(335N・m)/4,500rpm


これ、新山のE46型B3 3.3と同じエンジン積んでるんですね。北米仕様E36型M3専用の鋳鉄ブロックエンジン。当時のアルピナとしては余程使いやすかったんでしょうか。


ちなみにこのしばらく後、1世代前の5シリーズであるE34型525iが在庫で現れ、この型のエクステリアが激烈に好きな私は大いにぶちアガった記憶があります。

 

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幼い頃、近所に住んでた幼馴染の家の車が黒いE34型525iで、「車っていうのはこんなにも存在感があるものなのか」と幼心に憧憬の念で見ていました。何度か乗っけてもらったような気もします。良い思い出です。もしアルピナの前にこれが出ていたら、憧れ全振りで買っていたかもしれません。


お次はE90型のB3S。


BMW ALPINA B3S 3333 Limited (E90型 6AT)

 

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エンジン:N54B30 Turned by Alpina 直列6気筒DOHCツインターボ(同型335iのチューンド)

ボディサイズ:全長 4,545 × 全幅 1,815 × 全高 1,440 mm

ホイールベース: 2,760mm

トレッド:前/後 1,505/1,510mm

タイヤサイズ:245/35R19 / 265/35R19

車重:1,600kg

最高出力:410ps(302kW)/6,000rpm

最大トルク:55.1kg-m(540N・m)/4,500rpm


ただでさえ台数が少ないB3の中で、後期ハイパフォーマンス版のS。しかもこいつは30台しか作られていないというとんでもない希少車です。


走行距離は5万キロちょい。トラブルが出始める距離にはもう少し余裕があります。


これは見積もり出してもらうところまで行きました。最初に見たのがE92型M3だったこともあって、「アルピナに行こう」と思ってから、まず目を付けたのはこいつです。


予算に対して余裕もあるし、腹を括ったタイミングで珍しいのが出ているのも何かの縁だと思えます。ベスモで絶賛されていたE90世代なら心中も本望かもしれんと、半ばこいつに決めかけていました。


が。


しかしです。


「次の車は見た目で決めてやる」と重ね重ねボヤいていたことを、ここでふと思い出します。


これがE92型、クーペタイプだったらそのまま決めていたかもしれません。この世代はクーペとセダンでリアテールランプのデザインが大きく違いまして、クーペタイプの伸びやかなリアデザインがいいなとM3を見て感じていた身としては、セダンのリアを見て「ちょっと寸詰りだな」と感じてはいました。


内装がアルピナ特有のウッドパネルでないことも「珍しいなあ」と思って惹かれてはいましたが、いざ「車を乗り換える」と心に決めてから、俗に言うマリッジブルー的な、「本当にこれでいいのか?」という自問が生まれてまいりました。


クリス・バングルがチーフを務める体制での永島譲二氏デザインによるE90。大胆な変革期のデザインは偉大だとは思いますが、縦のラインが強調されたフロントフェイスのデザインは、自分が好みかと言われればそれは一考の余地があります。正確にいうと、E61系統のぐいっと目元が吊り上がったデザインはちょっと苦手で、ベスモで元気よく走り回る姿を見ているうちに違和感がなくなってきた、というくらいです。


最後に、その隣にひっそりと停まっていたF30型のB3。

 

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値段が高かったので無意識のうちに見ないようにしていましたが……、一度意識してしまってからはもうダメです。これしか目に入らなくなりました。


デザインが美し過ぎます。


F30型のデザインについては別途ちゃんと調べてまとめたいとまで思っているのですが、 ーーチーフデザイナーがクリス・バングルからエイドリアン・ファン・ホーイドンクに変わった後の車で、クリス・バングルのデザイン革新が浸透し、馴染みを得た後、その方向性を踏まえた上で、さらに変化させてきたところが特徴だと思います。具体的には本の受け売りですが、『縦のラインより、横のラインを強調させて低さと幅感を出す』だそうです。


買ってからバシャバシャ写真を撮ったり缶コーヒー飲みながら駐車場で眺め狂ったり、新山のE46と見比べたりすると、しみじみその特徴が見て取れます。下記が好きなポイントです。


・ヘッドライト・キドニーグリルの位置がE90どころかE46と比べても低いことによる、低く構えた緊張感のあるスタイリング

 

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・ヘッドライト内側のアイラインメイクのような絞り方と、キドニーグリルへの接続による目力の強さと艶っぽさ

 

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・リアテールランプのワイドさによる、どっしりと構えた踏ん張りの効いた重厚感

 

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・レイヤーを積み重ねたようなインテリアデザインと、ナビがフードを被ったようなE90のディスプレイ配置に比べて立ち上げ式となったことにのる運転席目線での解放感


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逆に「微妙だなあ」と思う部分もないわけではなくて、下記の点は少しばかり気になるところです。


・ボンネットカットの唐突さ(先代と先先代はキドニーグリルの上端あるいは下端がボンネット開口部になっており無駄なラインがない)

 

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・サイドから見た時のフロントフェイスの凹凸のないぶった切り感

 

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・デザインで低く見せても絶対的な全高による車のデカさ

 

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が、購入検討時にそんなことは全く気にもしておらず、『はちゃめちゃに美人かつ超好みのキャバ嬢が隣に着いてくれたときのサラリーマン』のような状態に陥っていました。目を見ることすら出来ません。


値段は予算内にギリギリ、本当にギリギリ上限で収まっています。


ウッド調の内装も、初めは「おっさんぽいんじゃないか」と思って敬遠気味でしたが、フーガとサファリで見慣れてきたこと、F30のインテリアデザインがそもそも好みであること、「ぽいも何も自分はおっさんではないか」と自覚したこと等から、むしろいいんじゃないかと思い始めてきました。ちなみに、内装の木材は楡の木だそうです。


スペック数値と快適装備についても、E90後期B3SとF30前期B3では差がほとんどありません。馬力も同じなくらいです。


違いは年式とデザイン、そしてエンジンの細かい仕様と言ったところです。


エンジンはどちらも直列6気筒ツインターボで一世代違いですが、E90に載るN54エンジンは、直噴搭載の代わりにバルブトロニックを非搭載。F30に載るN55は、直噴とバルブトロニック、双方の機構を搭載しています。これは買った後に知ったので、己のアクセル操作で制御しているものがスロットルバルブではない、と分かった時は結構な衝撃でした。


M235iのエントリでも記載した通り、N55は効率化の為に気筒モジュール化される前の最後の6気筒エンジンです。エンジン屋であるBMWとしても、気合が入っていたんじゃないでしょうか。ついでにいうと、ノーマルのN55エンジンはシングルターボ(ツインスクロール)ですが、アルピナはこいつをN54同様ツインターボ化しています。


なんていうか、『やれることを全部やった感』がとてもいいです。


ミッション段数もF30から8速になりました。ATの段数が6速を超えると通常走行がやたら低回転になるので寂しくはありますが、数字はデカい方が強いと相場が決まっているので、これはこれで嬉しくなります。


加えて、ナビシステムであるiDriveの使いやすさはこの世代から格段に向上しています。図らずともこれは、納車直後にぶっ壊れたB3の代車としてやってきた、E61型5シリーズで痛感することになります。使いにくいというか、反応が遅かった。


 

あれこれと列挙しましたが、突き詰めますと買った理由は「この車となら心中できる」です。美し過ぎます。


なお、試乗しないで買うことは、ギターで考えが変わり、抵抗がなくなりました。探し狂っていたJames Tyler USAのClassicを買ったとき、試奏は一応しましたが、好みだろうが好みじゃなかろうがどのみち買うつもりでいました。実際好みではなかったんですけど、そんなものは弾いてりゃ慣れますし、今ではメインギターです。ストラトストラトの形をしていればストラトの音がします。


加えてこの車はアルピナです。定期メンテさえされてりゃあ悪かろうはずがありません。


営業さんからの「F30は丈夫だからそう壊れませんよ!弱点はチャージパイプくらいだと思います!」という言葉も最後の後押しになりました。なおこの言葉は盛大なフラグと化して後日私に襲いかかってきます。


そんなわけで、私はアルピナを買いました。


納車されてから爆弾が炸裂したおかげで30万円近い修理費が発生しましたし、エアコン作動時に変な音がする症状は未だに直っちゃいませんが、買ったことは何も後悔しておりません。売れっ子のキャバ嬢にハマったと思うことにしています。走行性能に関しては折り紙付きで、ダラダラ走った時の楽しさ、長距離巡航能力、エクステリア・インテリアの美しさ、サンルーフオープン時の心地よさ、求めていたすべてを兼ね備えています。


背筋が伸びる車でもあるので、いい意味でちゃんとお金をかけながら、楽しく乗っていきたいと思います。



オチ代わりに、「M3を見に行った」と呟いた後日、友人のRX-8乗りが「何故か今現行M3が手元にありまして、横乗りでよければいかがです?」と連絡をくれ、G80型M3に乗っけてもらいました。代車だったそうです。代車でM3って。

 

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「M3も踏み込まなければ普通の車」と分かったことが、近年モデルのバカトルクセダンを買う後押しになってくれました。思えばこれに比べても、B3は踏み込んだ時のトルクの立ち上がりが穏やかでした。アクセル開度のセッティングなんだろうか。


次回以降は地獄の故障対応とそれを平気で上回ってくるB3の心地良さについて書きたいと思います。


なお、これを書いていた途中、新山のB3のタコメーターが当然不動に陥り(針が1,000rpmを指したまま動かなくなった)、翌日しれっと直るという怪現象を経験しました。自前の(!)コンピュータ診断の結果、「回転数はちゃんと拾っているようなので多分メーターを駆動させるモーターの故障とかだろう」と話していました。つくづく業の深い車です。

梁井・新山、アルピナを買う。その2。

購入記その2です。

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※写真は「今何でもいいから一台選べ」と言われたら間違いなく手を伸ばすレクサスIS500


仕事で大事なことは「最初の一手にはさっさと着手すること」で、それが資料作成ならファイルを立ち上げて名前をつけて保存する、調べものならググるか関連文献を漁る、ヤフオクへの出品が億劫なら、写真を取ってアップロードまで済ませる。ーーエンジン始動と同じで、初爆さえ済ませれば、アイドリングでスムーズに回ってくれるものです。


車の買い替えにおいては、「気になる車をとりあえず見に行く」が最初の一手に当たると思われます。


逆に言ってしまえば、見に行けばそれは事態が本格的に動き出すことを意味し、M3の実車を拝んだことで私の購入意欲はブーストされ、私は腹を括って、コペンの後継車について真剣に絞り込みをかけ始めました。

 

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※すべてを超越する車コルベット。写真はC5。この車に乗るにはまだ"漢気"が足りない

 

ただ好きな車を挙げているだけでは決めようがないので、次に買う車には下記の要件を課すことにします。


コペンと被るところがなく、②ライフステージが変わっても手放さずに乗り続けることが可能で、③ライフステージが変わらなくても死ぬまで乗り続けそのまま心中しても構わないと思える車。これです。


具体的にいうと、大トルクで、4シーターで、オートマチックで、『ハチャメチャに浪漫があってテンションがぶち上がる車』です。


ロードスターボクスターエリーゼなどのライトウェイト系オープンカーは①②が該当しません。それならコペンに乗り続けりゃいいです。


漢の浪漫コルベットは、③は申し分ありませんが②がやや厳しいものがあります。

 

コルベットへの憧れがもうちょっとだけ強ければ、③の憧れが②をかき消すことも出来たかもしれませんが、……コペンでの9年間で「後部座席があればどれだけ楽なんだろう」という妄執に囚われ続けたことで、②を重視した方が車への満足度と、何より買い換えるに足る動機になり得るだろうと判断しました。如何に2シーターの方が趣味性が高くとも、4シーターでもおもしろい車なんざ世の中にたくさんあります。


③に関してはあくまで心意気の話で、『物理的に維持可能かどうか』はあまり考えておらず、その意味で、電子制御の入りまくった近年モデルが大半を占めました。本当に一台を維持し続けて死ぬまで乗るなら、構造がシンプルで、メカの維持だけを考えればいいクラシックモデルに限ると思います。


ちなみにM3は上記条件をほぼ兼ね備えてはいたものの、「もっかい見に行こうかな…」と思ったときにはすでにSOLDになっていました。縁がなかったものと思われます。


①②③を勘案した結果、まず俎上に上がってきた車はS5カブリオレです。


アウディS5カブリオレ 8T型(2012〜2016年式)

 

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エンジン: 2,994cc V型6気筒DOHC スーパーチャージャー

ボディサイズ:全長 4,655 × 全幅 1,855 × 全高 1,375 mm

ホイールベース: 2,750mm

トレッド:前/後 1,580/1,570mm

タイヤサイズ:255/35R19

車重:1,990kg

最高出力:333ps(245kW)/5,500〜6,500rpm

最大トルク:44.9kg-m(440N・m)/2,900〜5,300rpm


まだオープンへの執着が残っていた頃と思われます。

 

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宇宙船を思わせる、シンプルで美しいリアのライン。2012年からマイナーチェンジで現代的になったフロントフェイス……。初代後期の8T型S5カブリオレ


アウディの良さは安藤のA3で身に染みてわかっていたので、当時の最有力候補でした。シックでありながら『良いものに触れている』感に溢れる内外装は上品で、4シーターオープンはずんぐりとしたフォルムになりがちなのにも関わらず、アウディのデザインはボディーラインに曲面が多いせいか、カブリオレにしても独特の色気があります。


すごくいいと思ってはいたものの、③の心中性は、やや足りないように思えました。何より『4シーターオープン』という良いとこ取りなパッケージングに対して、「そんな安楽なものを手にしてしまっていいのか…?」という逆張り精神が働きます。正解過ぎる車です。ついでに「3.0Lスーパーチャージャーに2.0tの車重はちょっと重いよな」という考えから、


「4シーターでも、もう少しバカバカしいやつがいい」


という指向性が生まれてきました。


ふらっと行ける近場に出物がなかったのも見送った理由です。この辺り、本当に出会いとタイミングだと思います。



次に思い出したのが初代IS-Fです。これは実車を見に行きました。


5.0L NAのV8エンジンを、ボンネット下に無理やり押し込んだセダン。M3より凶悪さは控えめで、排気量はこっちのが上です。その出自と浪漫は前述の通り。エクステリアもシンプルで好きです。


これはかなりいいんじゃないかと思っていましたが、IS-Fの在庫を複数台持っていた地元の中古屋さんに突撃したところ、営業対応があまりにもアレだった為、私はこれをスルー。ショップのGoogleレビューに「謎のにーちゃんにねちねちと嫌味を言われて興奮できる人ならオススメかもしれません!」と書き殴りたくなる気持ちを押さえ込み、一旦引くことにしました。

 

気長に他店のIS-Fの出物を待つか、もしくはフットワークの良さそうな4シーターということで、「BMW M235iの認定中古でサンルーフ付きのやつが出てきたら見に行こうか」などと考えていたところで、ふと、現行ISのマイナーチェンジ後のレビューを発見しました。

 

2020年末にビッグマイナーチェンジを果たしたIS300、どのレビューでもはちゃめちゃに褒め倒されています。

 

◯レクサス IS300

 

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エンジン: 1,998cc 直列4気筒 直噴DOHCターボ

ボディサイズ:全長 4,710 × 全幅 1,840 × 全高 1,435 mm

ホイールベース: 2,800mm

トレッド:前/後 1,580/1,570mm

タイヤサイズ:235/40R19

車重:1,650kg

最高出力:245ps(180kW)/5,200〜5,800rpm

最大トルク:35.7kg-m(350N・m)/1,650〜4,400rpm


『プラットフォームとパワートレインを変更していないのでフルモデルチェンジではない』としながら、このタイミングで『3シリーズやCクラスを超えるフィーリング』とまで称された、国産のスポーツセダン。


売れ筋のハイブリッドモデルである300hより、エントリーモデルで純ガソリンエンジンの300を絶賛している記事が多いことを見ると、当然露出を高める為に広告宣伝を打ちまくっているであろうものの、ストレートに走行性能の出来が良かったものと思えます。


ボディーサイズは3シリーズとほぼ同じです。F30型よりはやや大きい程度、G20型とはほぼ同等。元々ISは3シリーズよりコンパクトだと思っていたのですが、このマイナーチェンジで少し大きくなったようです。にも関わらず、リアのオーバーハングが短いせいか、ワイドながらコンパクトに詰まった、流麗なデザインに感じます。率直に好きです。


しかも国産です。世代落ちのドイツ車よりは丈夫で、部品代も安いでしょう。今でもこの点においてのみ、国産にしときゃよかったと思わないでもありません。


天下のトヨタが、ガソリン車の黄昏時代、徹底的に磨き上げて最後に叩き出してきた、Dセグメントのスポーツセダン。


スペックに派手さはありませんが、いいです。浪漫があります。


挙句、レクサスは2022年8月、5.0L V8 NAエンジンを積んだIS500の国内販売を正式に発表しました。


◯レクサスIS500

 

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エンジン: 2UR-GSE型 4,968cc V8 DOHC

ボディサイズ:全長 4,760 × 全幅 1,840 × 全高 1,435 mm

ホイールベース: 2,800mm

トレッド:前/後 1,580/1,570mm

タイヤサイズ:235/40R19 265/35R19

車重:1,720kg

最高出力:481ps(354kW)/7,100rpm

最大トルク:54.6kg-m(535N・m)/4,800rpm


実質IS-Fの復活です。


2021年12月14日、バッテリーEV戦略についての発表会で、新モデルのEV16車重をデカデカと発表したトヨタ・レクサスが、V8 5.0L NAとかいう、極めてトラッドなエンジンをぶち込んだスーパースポーツセダンを、ここに来て日本で発売する。何ともファンキーなアティチュード。


おそらく新型ISの評価の高さが国内で、特に自動車ジャーナリスト経由で車好きの購入検討者の間で広まるのを、じっくり待ってからの500導入を狙っていたんじゃないかと思います。最近のトヨタは本当にこういう演出が上手いというか、痛快です。


トヨタの技術を結集したガソリンエンジン・スポーツセダンの極地としてのISがここに来て出た。


これは買う意味があるんじゃないだろうか。


1年くらいお金を貯めてIS300を、または、とち狂う覚悟ができたらIS500を、心中するつもりで買って死ぬまで乗る。


クラシックなコルベットを死ぬ気で直しながら乗ったり、エアコンレスの初代エリーゼを春秋の晴れの日だけ乗ったり、ハードコアな車人生に飛び込むのもよいですが、新車で買ったと思しきクラウンに乗り続ける老夫婦のような、アティチュードが好みの現行車を買って乗り続ける楽しみ方もよいのではないだろうか。



などとつらつら考えながら過ごしていた7月。私は衝撃のツイートを目にしました。

 

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続きます。

梁井・新山、アルピナを買う。その1。

購入記です。

 

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「あのM3、まだ売れてないみたいだよ」「へえ」という会話を交わしたことが、記憶を遡る限り、『アルピナを買う』という暴挙に至った一番最初のきっかけであったと思われます。


2022年6月19日、友人・新山のサファリに乗って、栃木県小山市に蕎麦を食べに行った帰路でのことでした。

 


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※小山の蕎麦屋、 『日の本家』。大根そばとは栃木の郷土料理で、大根の千切りでボリュームアップしたもりそばのことです。蕎麦の喉越しと大根のザクザクとした食感が激うまでした


茶店に寄ってコーヒーをしばきながら、私が「コペンの後継を考えている」「外装がシックな車がいい」「長距離が楽で、排気量がデカイとなおいい」みたいなことを話していると、新山がスマホをスッスッと弄って画面を見せてきました。冒頭のセリフはそのときのものです。


家の近所にあるBMW専門ショップの在庫車一覧ページです。その中に、E92型のM3クーペが載っていました。


左ハンドルの6速マニュアルで、サンルーフ付き。走行距離110,000km。たしか300万円ちょっとだったと思います。以前、「結構安いね」と話題に上がった記憶があります。


「どう?」

「どうって……。おれ『外装が大人しい車がいい』って言ったんだけど」

「え? これダメなの?」


ダメではないのですが、いささか見た目が凶悪過ぎます。


新山さんは「信じられない」という目を向けて、


「M3だぜ? しかもこれV8のNAエンジンだぜ? 4.0Lで、大排気量だから低回転域でも余裕あるし、クルコン付だから高速巡航もお手のもの。オートマ感覚の気楽さと、マニュアルの楽しさ、どっちも手に入る。しかもサンルーフ付き! こんなん、この値段で絶対出てこないよ!」


軽量なカーボンルーフが強みの1つであるM3にとって、スポーツ走行を意識した左のマニュアルなのにサンルーフ付き、しかもクーペという出物は、たしかに珍しい気がします。


相場より低い値段は走行距離に依るものでしょうし、買えばメンテにそこそこの金がかかるお年頃であることは予想してしかるべきですが、昨今の「乗れるうち 乗っておくべき ガソリン車(大排気量NA)」という世情からすれば、おそらく丁寧に乗っていけば価値は下がらず、下手すれば高騰する可能性まであります。


……という話を、コーヒーも冷めやらんうちに捲し立てる新山氏。どっちが車を探しているのかわかったもんじゃありません。


「すごい熱量だね」

「まあ、その、フーガを買ったくらいの値段でこれが買えたのかと思うと、少しね」

 

シルビアからフーガに乗り換えた当時のことに思いを馳せます。新山曰く、「あのときはマニュアルのクーペには目も向かなかった」とか。それならシルビアから乗り換える意味ないじゃん、というのが理由です。シルビアサンバーフーガサファリB3(6MT)という流れは、彼にとって必要な遠回りだったのでしょう。


ともあれ、言い知れぬ圧力を感じた私は、ついに禁断の言葉を口にしました。


「……ちょっとだけ見に行ってみる?」

「お! いいね!」


嬉々としてコーヒーを飲み干す新山氏。訓練途中で今すぐ戦場に行けと言われた新兵のような気持ちになる私。


これがすべての始まりでありました。


おそらくこの発言がなければ、私は今でもコペンに乗っていたと思います。



E92型のM3を間近で見たのはこの時が初めてでしたが、いかにも「でけえエンジン積んでます」と言わんばかりのボンネットの盛り上がりと踏ん張りの効いたフェンダーの張り出しが相当に凶悪で、「これはヤバイ車である」という空気が写真より濃密に伝わってきました。正直な話、実写を見た私の第一印象は「怖い」でした。


BMW M3 クーペ(E92型6MT)

 

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エンジン: S65B40A V型8気筒

ボディサイズ:全長 4,620 × 全幅 1,805 × 全高 1,425 mm

ホイールベース: 2,760mm

トレッド:前/後 1,540/1,540mm

タイヤサイズ:245/40R18 / 265/40R18

車重:1,630kg

最高出力:420ps/8,400rpm

最大トルク:40.79kg-m(400N・m)/3,900rpm


※この世代のクーペはテールランプの形状がセダンと大きく異なり、伸びやかなラインがカッコいいです。


すっかり怖気付く私をよそに、新山さんは運転席、助手席、後部座席と座り心地をそれぞれ試し、トランクを開けて容量を確かめ、エンジンルームを開けては「おー」だの「ほー」だの言っています。一応、エンジンをかけさせてもらって、暖気を待ってからアクセルを吹かして見たりもします。


冷間始動からエンジンが暖まるまでは「ゴボボボボ」という詰まったようなアイドリング音でしたが、1、2分もすれば澄んだ音に落ち着きました。一応この型の冷間始動〜アイドリングの音をYouTubeで聴いてみましたが、こういうもののようです。ちなみにF30も同様です。


「見た目の凶悪さに反しM3は普通に乗る限りは普通の車」という営業さんの言葉を聞きつつも、正直、この車に乗って長距離をダラダラと突っ走るイメージが湧いてきませんでした。大排気量にもかかわらず「意のままに動くハンドリングマシン」とベスモで称されるM3です。やっぱりワインディングが好きな人の方が向いていそうです。


オープンからの乗り換えになるのでサンルーフの開口具合も確認しましたが、頭頂のやや後ろで開口が停まるので、開放感は物足りないところがありました。『M3』による運転席における精神的なタイト感もあったかと思います。


お店には一見にもかかわらず丁寧に応対いただきましたが、この日は辞して退店しました。



「いやー行ってほしいけどねM3ー」

「いやいやいやいやいや」


冷静になる為にコペンに乗り換えて、ルーフをオープンにして近所を流しながら、先程の振り返りを行います。


「おれが梁井なら絶対買ってるんだけどなーM3。どこがダメだった?」


ちなみに後日M3ではなくアルピナを買った新山に理由を聞いてみたところ、値段の他に『音があまり好みではなかった』と述べていました。騙しやがったな…。


「見た目の凶悪さと、大排気量ならオートマが良かったのと、屋根が開かないのと……。いろいろ相まって、『絶対にこれがいい』とまでならなかったからかな。BMWはいいなと思ってたけど、Mほど凶悪なやつは考えてなかったし。乗ったら楽しいんだろうけど、コペンから降りてまで買い換えるとなると、ちょっと……」


踏ん切りがつかなかった、というのが正直なところです。


「結局、一番の理由はオープンへの執着かも。こうしてコペンに乗ってみて思うけど、やっぱりオープンカーが日常からなくなって、平静を保てる気がしない」

「まあ、わかるけどね。でも、そこから離れるとまたいろいろ経験広がると思うよ」


ボボボボボ、とコペンがエグゾーストを奏でる交差点で、新山さんが何気なく発した上記の言葉は、最終的に私がオープンを降りてバカトルクセダンを買うに至った結構な後押しとなりました。


気に入ったツールをずっと使い続けるのも良いけれど、別の属性に切り替えることで、新鮮味を持って得られる知識だったり経験だったりフィーリングだったりは絶対に存在し、それを積極的に取りに行こうとすれば、人生の幅はより広がるだろうと……。さすが「理解りたい」という欲求の下に1年半で4台の車を買った男は言うことが違います。



今回のオチとして、新山さんはこの翌日、「M3のシートにスマホを忘れた」としてショップに再度訪れていた、という事実を書き添えておきます。

 

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※初訪問時、すでに冷静さを失っている図


本人は「本当に忘れただけ」と言っちゃいましたが、私は奴が、この頃から「あわよくば」と思っていたのだと信じて疑いません。


続きます。

 

BMW ALPINA B3 3.3 Limousine E46。

私のB3・F30型が絶賛入院中でありまして(詳細は後日別エントリで述べたいと思います)、暇と悲しみを紛らわす為、今回は同日に納車された新山氏の新たな愛車、B3・E46型について記したいと思います。


BMW ALPINA B3 3.3 Limousine E46 (2002年式6MT)

 

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エンジン: S52B32 Turned by Alpina 3,299cc(E36型M3北米仕様搭載エンジンのチューンド)

ボディサイズ:全長 4,470 × 全幅 1,740 ×  全高 1,395 mm

ホイールベース: 2,725mm

トレッド:前/後 1,470/1,475mm

タイヤサイズ:225/40R18 / 255/35R18

車重:1,480kg

最高出力:285ps(kW)/6,200rpm

最大トルク:34.2kg-m(N・m)/4,500rpm


2014年、走行距離126,700km時に下記の交換実績あり。

エアーエレメント/MTオイル/デフオイル/ブレーキオイル/フロント及びリアのブレーキローター/EGルームバキュームホース/アルピナシャシーキット/ヘッドライトレンズカバー

2015年、走行距離127,590km時

エンジンオイルフィルターハウジングガスケット/70Aバッテリー

2016年、走行距離140,921km時

エンジンヘッドカバーガスケット

2020年、走行距離164,891km時

ステアリングラックブーツ

 


2022年8月6日。走行距離178,600km時。私のF30と同店同日での納車となりました。下記はそのときの記念写真です。

 

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アルピナブラザーズ爆誕の図


車を探していたのは私の方とは言え、先に契約したのは新山ですし、あくまで追っかけたのが私とも言えるのですが……ともあれ、アルピナの同日納車はさすがに前例がないらしく、営業担当氏が日取りを合わせてくれたようです。当日「絵面が笑えるので記念に写真を撮らせてほしい」とおっしゃられ、上記の記念撮影となりました。良い思い出です。


稀少なマニュアルミッションのアルピナです。結構な争奪戦になることも予想されて然るべきでしたが、結果として、店頭で発見した新山さんがわずか1週間で掻っ攫っていきました。この辺りの紆余曲折はあまりに面白過ぎるので、別途購入記のような形で書き残しておきたいと思います。


兎に角して、この日よりバイエルンに魂を売り渡したアルピナブラザーズ2人は、それぞれエンジンチェックランプの点灯に慄き、オーバーヒートに肝を冷やし、経年と過走行から来る不具合をモグラ叩きのように一つ一つ潰しながらも、『セダンの極致』と言うべきアルピナの走行性能を味わい尽くさんと、東北やら北陸やら中部やら、津々浦々を走り回ることになります。



しかしながらそもそもの話、何故新山さんは念願のサファリを手放してまでB3に飛びついたのでしょうか。


「魔が刺した…とでも言っておこうか」

リボルバーオセロットみたいなこと言ってるけど、『手が滑った』だからね、その台詞」


E46でのドライブ中に尋ね、返ってきた答えがこれです。どうも衝動買いに近しいようです。


「衝動……いや、その、まあ、衝動買いと言ってしまえばそうなのかな? ただ、前からBMWのマニュアルモデルを探してはいたんだよ。だから、漠然と探していたものに対して、ドンピシャで適合する車が出ちゃったからっていうのが一番じゃないかな」

「出物があったからだと」

「そう。さっきの『飛びついた』っていうのが、一番しっくりくる表現かもしれない」


大排気量NAエンジンの、低重心で運動性能に優れるセダンまたはクーペレイアウト。しかもマニュアルミッションで、極め付けは『広義の意味で走行性能に振り切ったメーカーであるアルピナのB3』が、近くの店で、しかも自社工場を持つ専門ショップに格安で現れた、というのが理由だそうです。


「格安の理由は過走行だけど、きちんとメンテナンスされてた車ってことは点検簿を見て分かったし、であれば、走行距離そのものは問題にならないことは、サファリでよくわかってたからね」

「サファリに不満は?」

「ほぼなかった。低重心のマニュアルモデルじゃないってこと以外は。全体的に車としての基本性能が素直で気持ちよかったし。だけど、『これを逃したら同じような条件の整った車には二度と乗れない』と思ったから飛びついた。それに尽きるかな。『アルピナなら間違いないだろう』っていう信頼感もあったし、事実満足してます」

「買う前に確認したことは?」

「アクセルレスポンス。この車は電子スロットルだし、別に鋭敏じゃなくてもいいんだけど、変な制御が入ってないか、自分のフィーリングに合うかどうかは事前に確認したかった。そこはフーガで合わなかったところだから…。空吹かしと、ショップの敷地内で動かさせてもらった限りじゃ問題なし。買った後自分でエアクリ変えたら応答速度もめちゃくちゃ速くなったしね」

「ちなみに、もしかしたらこれが『アガリの車』かもしれないけど、それでも次に車を買うなら?」

ディーゼルエンジンでマニュアルミッションのサファリ」


業が深いです。



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続いて所感いきます。


まずもってこの車、エンジン始動音からしてデカいです。


「排気音はマフラー換えたシルビアが断トツで大きかったけど、始動音はB3の方がすごいね」

「芝居っ気がないよね。3.3リッターの鋳鉄エンジンを叩き起こしてる音がする」


F30も冷間始動時はぶったまげるような爆音ですが、通常始動音は大層大人しいです。E46は冷えていようが暖まっていようが轟音を響かせながら始動します。


エグゾーストにおいても、中々にお元気な音を響かせながら走ります。太さはあれども、低音で押してこない、ハイミッドが効いてる音がします。


動きも軽やかで、シルビアより280kg重いのに、軽快さはB3の方が上のように思えます。この辺りは、BMWの誇る前後重量配分50/50がそうさせるのか何なのか。


それでいて直進安定性というかスタビリティというか、どっしり感というか、安定感もあるのがB3です。


「シルビアとフーガの合いの子みたいだ」というのが新山さんの談でした。


シルビア寄りなのがE46で、フーガ寄りなのがF30というのが私の所感です。世代も近いですし、いささか短絡的ではありますが…。

 

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続いて、おそらくこの車一番の特徴であろう、エンジンについてです。


「ちょっと古いエンジン使ってるんだよ、このB3。ーー先代E36型の、北米仕様M3にだけ載せられてた『S52B32』をアルピナが独自に組み上げたやつ。アルピナは大体、その世代の最先端エンジンのうち、『M仕様そのものを除いて』なるべく高性能なやつを使うんだよ。で、そいつのシリンダーブロックを元に、クランクシャフトやらピストンやらを自作して、ボアアップしたエンジンを組んで載せるんだけど……、こいつに限っては何故か『先代の』、しかも北米用に出力を抑えたものとはいえ『M3の』エンジンを載せてんの」


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湾岸ミッドナイトにおけるL型エンジンの理屈と同じだよね。要するに、新開発のアルミブロックより、頑丈でチューニングに対する許容性と耐久力に余裕のある鋳鉄エンジンを選んだんだよ。で、アルピナが目を付けたのが、スペックよりも長距離走行に対する頑丈性を意識して別個に用意された、北米仕様M3のエンジンだったわけだ。いいよね。あえて旧型をチューンナップして組み上げた専用エンジン。浪漫がある」

サザビーに対するニューガンダムの設計思想みたいなものか」

「それはよくわからないけど……。あとそうだ。この車、アルピナとしてのエンジン型式が、なんと『E46』なんです。偶然だけど、元車の型式と同じなんだよ。前期型だとE44だったりするんだけど。ほら、車検証」


ばっちり『E46』と表記されてあります。

ちなみに私のF30前期型のB3は、アルピナ独自のエンジン形式が『N55R20』。BMWはエンジン型式の採番に厳然としたルールがあるのですが、アルピナは果たして…。


『左のマニュアル』であることに対しては、やはり慣れるまでは「免許取り立てに戻ったような気分」だったらしいですが、1ヶ月もするとシルビア時代と変わらないリニアなシフトワークを決めておりました。この辺りは慣れなのでしょう。


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「通勤なしのレジャー使用のみだけど、納車から3ヶ月、何キロ走ったの?」

「8,000km」


毎週末600km計算です。この車を買って満足しているかどうかの答えとしてはこれで十分でしょう。羨ましい。私は半分入院中で2,000kmも走れてないですけど。

 

「最後に、この車の今思う一番好きなところは?」

「うーん……今一番思うところだと、弄りやすさかな」

まさかの答えが返ってきました。

「走りのフィーリングとかじゃなくて?」

「それももちろん気に入ってるけど、一番実感してるのは兎にも角にも弄りやすいこと。各パーツのレイアウトとか、弄りたい箇所へのアクセスのしやすさとか。具体的にいうと、内装の留め方が、全部ツメの嵌め込みじゃなくて一部ビス留めだったりとか……。そういうところが自分の感性に合うんだよね。ドイツ車の特性なのかBMWの設計思想なのか分かんないけど。触ってて『おおー』となるし、だからもっと弄りたくなるというか」

 

それはもはやアルピナじゃなくてBMW E46の特性ではないかと思うのですが、当人が気に入っているなら何よりです。

 

実際、購入以来ほぼ毎週末、E46はどこかしら手を入れられており、ショップでパーツを取り寄せては自宅でDIY作業を敢行している新山は、ショップの営業さんから「メカニック新山さん」なるニックネームまで付けられている始末です。

 

彼のE46弄り奮闘記については、後日機会があったら書き記したいと思います。ほとんどは経年に対するプラスティックパーツ及びゴム類劣化の対応なのですが……。

 

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※「ショップから近いから」という理由で我が家の目の前でサンルーフの修理を敢行する新山氏

 

続きます。

BMW ALPINA B3 Biturbo Limousine (F30)

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コペンローブが慎ましやかやに鎮座していた駐車場には今、でけえウルフドッグみたいな車が停まっています。

犬の名は、BMW ALPINA B3 Biturbo Limousine。

最高出力410馬力、最大トルク61kg-m。「おまえは一昔前の911ターボか?」と言わんばかりの動力性能を持つ、羊の皮を被り切れていない狼犬。

アルプス山脈の長閑な麓町、バイエルン州ブッフローエで製造された、天下のBMW 3シリーズを元にしたコンプリートカーです。


なぜこんな凶悪な車が我が物顔でここに停まっているかというと、コペンからの乗り替えで私が買ったからです。


BMW ALPINA B3 Biturbo Limousine F30 (2015年式8AT)

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エンジン: N55B30型 Turned by Alpina (N55R20) 2,979cc 直列6気筒DOHCツインターボ(同型335iのチューンド)


ボディサイズ:全長 4,645 × 全幅 1,810 ×  全高 1,445 mm

ホイールベース: 2,810mm

トレッド:前/後 1,540/1,555mm

タイヤサイズ:245/30R20 / 265/30R20

車重:1,670kg

最高出力:410ps(301kW)/5,500-6,250rpm

最大トルク:61.2kg-m(600N・m)/3,000-4,000rpm


2022年8月6日納車。走行距離78,047km。

2021年8月、走行距離約77,000km時に下記の交換実績あり。


エンジンオイル/オイルフィルター/ブレーキフルード/

ミッションオイル/オイルパンセット/フィラーボルト/コネクタースリーブ/

前後ブレーキパッド(ブレンボセラミックタイプ)/前後パッドセンサー/

バッテリーAGM95A/エアフィルター/スパークプラグ

購入時タイヤ交換済。



「外装が大人っぽく、パワーのあるセダンかクーペで、出来れば屋根が開く車」


というのがコペンの後継車を探していたときの条件なのですが、 B3がこの条件に当てはまっているかは若干怪しいところがありまして、問題は外装です。


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ご覧の通り。ボディーカラーのアルピンホワイトⅢがマズかったのかもしれません。「白なら上品かな」と思って買ったのですが、友人の言葉を借りると「白スーツを着た桐生和馬」です。シルバーのラインが威圧感を倍増させています。


納車されて1週間。まだ停まっている姿を見るたびに、「……うわあ」となっています。えらい車を買ってしまった、と。


しかしながら、アルピナB3の本質は、”Understatement”を本懐としているメーカーのメインストリーム車とは思えない外装の威圧感でなく、コンフォートで走れば”Understatement”そのままの乗り心地と乗りやすさを誇り、スポーツモードのマニュアル変速で操れば豹変するバカ出力と足回りの安定感が、おそろしいことに両立していることです。


複雑な車です。見た目は厳つくて、でも普通に乗れば穏やかで、踏み込めば牙を剥く。イメージとしては徹底的に飼い慣らされた狼犬そのままです。


代償はランニングコストで、手始めに指定タイヤの交換が25万円掛かりました。ミシュランパイロットスポーツ4S、245/30R20と265/30R20。フラートーンの中古が買える値段です。購入直後の洗礼としては中々のものです。

 

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※乗用車にあるまじき扁平率


ついでにいうと、トルク60kg-mを超える車です。アホな踏み方をしているとあっという間にタイヤがお陀仏になりかねません。


ありがたいことに購入直前に前のオーナーが換えておいてほしい消耗品を一通り潰しておいてくれたおかげで、当面は不意の故障さえなければオイル交換くらいでいけるのではないかと思っています。オートマチックフルードとオイルパン関係を一気にやってくれていたのは助かった……。


過去のエントリーで、「この辺の車を私が買ったら『ああ、こいつは車と心中するつもりなんだな』と思ってください」と書きましたが、その中には憧れのE36型アルピナB3も含まれていました。結局買ったのはこの世で最もかっこいいと私が盲信しているF30型のアルピナです。記載したものとは異なりますが、前言の通り、心中するつもりで乗っていきたいと思います。

 

購入に至る経緯や、今後の維持費との戦いや、ツーリングの思い出や、ついでにいうと同じ日に同じ店で納車された新山さんのB3 3.3のことについて、今後また書き記していければと思っております。

 

よろしくB3。これから末長く、元気に走って行ってください。

 

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新山さん、キング・オブ・オフローダーに乗る(日産サファリ)。

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日産サファリ。


昨今のSUVブームとは一線を介する、道なき道を突っ走らんばかりの走破性と耐久性を誇り、日本国内での販売がなくなった今日においても、世界の紛争地帯や砂漠の悪路を縦横無尽に走り回る、日産のフラッグシップクロスカントリー車。


2016年夏、北海道ツーリングからの無事帰還を祝う酒席で、新山さんからオフロードロマン溢れるサファリへの憧れを吐露されてから、気がつけば5年が経過した2021年11月の上旬。


フーガ購入後も、イマイチフィーリングの合わない電子スロットルとステアフィールに悩まされ、一向に治らない仕事の忙しさに目を回しながら、ほとんど習性と化した中古車サイトの巡回を続けていた新山さんは、奈良県の某中古RV車ショップに本車が登録されたのをついに発見。「時は来た。それだけだ」との謎ツイートを残し、発見から2日後にはフーガを走らせて奈良まで現車確認ツーリングを敢行。3週間後には、フーガを売却した資金を手に、新幹線でサファリを引き取りに向かうのでした。


◯日産 サファリ 4.5 グランロードリミテッド 4WD (1998年式4AT)

 

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エンジン:TB45E型 直列6気筒 OHV 4,478cc

ボディサイズ:全長 4,910 × 全幅 1,930 × 全高 1,865 mm

ホイールベース: 2,970mm

トレッド:前/後 1,605/1,625mm

タイヤサイズ:265/70/R16

車重:2,250kg

最高出力:200ps/4,400rpm

最大トルク:35.5kg-m/3,600rpm

変速比:(1~4)2.784/1.544/1.000/0.694

最終減速比:3.900

最小回転半径:6.1m

最低地上高:215mm


「ーーそのまま奈良から500km走って帰ってきたわけだけど、いかがですか。念願叶ってのサファリは」

「いい。とてもいい」


納車されてしばらく。『佐倉市に馬鹿でかい海老フライを食いに行く』ドライブの道中で、新山さんから所感を伺います。


「直進性がね、期待してなかったんだけど、思いの外いいんだよ。素直。ステアリングフィールに変なアシストがない。横Gをかけた分だけ、ステアにタイヤが撓む抵抗が伝わる。というか、これが普通だと思うんだけど」


フーガはどうもその辺の感触が合わなかったようです。


「フーガはね、とにかくステアフィールがどんな状況でも均等になるように、謎のアシストが入ってる感覚だった。普通さ、ステアリング切ると、初期反応としてタイヤが撓む感覚ない? あるでしょ? あるんだよ。で、その抵抗を手が感じ取ってから、ステアの切り角を決める。無意識にGとタイヤの撓みをステアから感じ取って、車の挙動に反映される前に、腕が切れ角を調整してるはずなんだよね。フーガはね、その初期反応がないの。制御で修正を入れてるのかなんなのかはわからないけど。だから、車の挙動に現れてから修正舵を当てざるを得ないので、常に修正舵を当て続けてる感覚になる。だから、直進安定性が悪く感じちゃうんだよ」


なるほど、と頷きますが、このときの私の感想は、「こいついつもこんなこと考えながら運転してたのか」です。引いてます。


「脚もね、揺れるんだけど、謎に不安がない。ピッチングしない。縦というか、前後にグニャングニャンしないから、高速でそこそこの速度で巡航しても、全然不安がない。こんなに車高が高いのに。超楽」

「でも、ロードインフォメーションはちゃんと伝わってくるよね。それなのに、全体としてはやたら静かに感じる」

「ね! 静かでしょ!! これが日産クロカンフラッグシップの実力ですよ!!! 抑え込みゃいいってもんじゃないんだよ、ナチュラルなフィードを残して不快なフィールを取り除く、これが車の極致として日産が辿」


途中から覚えちゃいませんが、興奮は伝わってきます。


ステアリングフィールについては、フーガはAWS (4輪操舵)も付いていたので、「その辺りが謎のフィールを生んでいたのかもしれない」と新山さんは言いますが、そんなスポーツ走行に影響を与えないような初期切れ角にまでフィードを与えているとは、いまいち信じられません。AWSの付いていないType-S以外のモデルだと、どうだったのかが気になるところです。


「アクセルは?」

「素直。踏んだら踏んだ分だけ燃料を吹いてくれる感じ。フーガは、……フーガと比較してばっかで申し訳ないけど、踏み始めで謎に反応が鈍くて、一定以上踏むとやっと反応する感じがあったんだよね。NAなのに」

「ターボみたいだね。やたらとECOモードで走ってたけど、もしかして」

「そう。それが理由。ECOモードなら、カバ踏みでも制御掛かって穏やかに反応するでしょ。どうせリニアさがないなら、こっちのが楽だと思って、ずっとECOモードで走ってた」


北米をメインターゲットとしていたフーガ。スポーツセダンといっても、ストップアンドゴーの多い日本の道のように、じわっと踏む局面が多いと、苦手な面が目立つのかもしれません。

 

それはともかくサファリです。

 

「サファリはね、エンジンいいよ。4.5Lとはいえ200馬力しか出てないし、車重もあるからフル加速しても正直遅いんだけど、気合いの入った音するし、気持ちがいい。十分だよ。巡航はそこそこの速度で出来るし、加速力を求めて買ったわけじゃないから。フーガもエンジンはめちゃくちゃよかったんだけど」

「なるほどねー。……現行車のフーガから、20年以上前のモデル落ちの車に乗り換えたわけだけど、その辺は? 今までの話聞くと、逆にその古さ、電子制御の少なさが好みなんだとは思うけど」

「え? このサファリ現行車だよ」


しれっと答える新山さん。


「嘘こけ! 1998年式の車が現行モデルなわけあるか!」

「ホントだよ。日本じゃ販売終わっていて、海外でもパトロールやアルマーダ(海外でのサファリのモデル名)は、Y61からY62にモデルチェンジはしてるけど、中東じゃまだY61がパトロール・サファリの名前で売られてる。つまり、まだ日産車体の湘南工場で作ってる」


どうもY62からラグジュアリー重視の車に舵を切られたようで、その分、ストイックな走破性が求められる国ではY61が継続的に売られているようです。やってることがトヨタ・ランドクルーザー70とほぼ同じです。


「たしかにランクルとよく比べられる車だけど、比較すると、サファリは変わらず無骨で一本気で、走破性は一級品だったけど、それ以外の細かい部分でのアップグレードが、時代に追いつかなかった感があるね。内装の高級感だったり、ATが4速のままだったり、パートタイム4WDのままだったり。紛争地帯みたいに『とにかく悪路で使える車を』って状況ならともかく、日本じゃ『それならランクルの方が』って言う声に負けちゃったんだと思う。……いい車だと思うんだけどね、サファリ。だから未だに中東で売られてるわけだし」

「実際おれも話聞くまで知らなかったわけだしね、サファリ。ーーそういえばこないだ、タイヤショップのおにーちゃんに『すみませんこの車、車種は……?』って訊かれてたよね」

ランクルだったら分かってもらえたのかなあ……」


ぼやきながら千葉の県道を突っ走る新山さん。


あーだこーだ言いながらも、憧れのサファリをひたすらに満喫していたようで、新山さんの過去ツイートを見返す限り、雪山も行ったし普段の足にも使ったし、全国あちこち走り回っていたようです。

 

4駆と車中泊はサンバーで、6気筒エンジンの滑らかさはレンタカーのR34スカイラインで、杢目調の豪奢な内装はフーガで経験している為、仕様の新鮮さに大きいものはなかったかもしれませんが、憧れ叶って乗れた車ということもあり、『キング・オブ・オフローダー』と謳われた日産のフラッグシップオフロード車を存分に味わっていたのを、私は傍目で眺めていました。


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※キング・オブ・オフローダーを存分に味わい尽くす新山氏


そんな新山さんが最後まで背筋を震わせていた問題が、1つ。

 

燃費です。


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「ベストは7.7km/Lでした。最低3.3km/L」

「……今日おれんちに迎えにきてもらうのまでに、2Lのガソリンが消えてたのか」

「そうなるね。ちなみに燃料タンクは95L。街乗り燃費だと、房総半島を一周したら帰って来れない計算になる」


一度給油に立ち会った際、「やった!6.5km/L超えた!」と喜んでいるのを見て、結構な狂気を感じました。レギュラー仕様なのは焼け石に水と言ったところです。

 


唯一の弱点である燃費の問題から、買ってしばらくは「遠出の腰が重くなるんじゃないか」なんて懸念を漏らしていましたが、蓋を開けてみればそんなことは全くなく、2021年11月28日に納車されたこのサファリは、わずか9ヶ月で約15,000kmを走破していました。


購入時点での走行距離は203,000km。紆余曲折を経て、2022年8月6日に手放した時点での走行距離は218,000km。週に416km走っている計算になります。40万円近いガソリン代を、たった9ヶ月で飲み尽くしたサファリ。

 

以降、燃費以外のサファリの特徴です。

 

チャームポイントその1。エンジン搭載位置の低さ。


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「レベルゲージの位置、やたら低くない?」

「そう! よく気づいた! サファリは直列6気筒のOHV積んでんだけど、こいつはね、エンジン上部にカムシャフトがない分、搭載位置が低くなるんだよ。コルベットとかもこの形式。この低重心が走りの安定感を生んでるのかもわからんね」

サファリのボンネット高で低重心も何もないのではないかと思いますが……。

 

チャームポイントその2。カセットテープが聴ける。

 

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高中正義は分かるけど、なぜ日本の民謡が……?」

「こないだハードオフで買ってみた。いいよこれ。淡々と走ってるときに落ち着く。掛けようか?」

夕方のC2高架下に響き渡る民謡。シュールです。

 

チャームポイントその3。サンルーフとウィンドウのデカさによる解放感。

 

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コペンで横に停められたときの写真。デカイ。

 

「すげえ。ウィンドウの位置がこんなに低いんだ。肘が置ける。おまけにサンルーフの先端が頭より先にあるから、全開にするとハチャメチャに解放感がある。喫水の深いデカ目のオープンカーよりオープンカーしてる気がする」

「その例えはよくわかんないけど……まあ、かなり気持ちよくはあるよね。夕方とかは開けて走りたくなる」

私が今まで乗った車の中でコペンを除くと一番の解放感です。これは羨ましい……。

 

チャームポイントその4。バッテリーカバー。

 

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名著『新型サファリのすべて / 別冊モーターファン』を東雲のスーパーオートバックスで発見した新山さん。熟読していたところ、サファリにはバッテリーの冷却を補助する『バッテリーカバー』なるものが純正部品として付いているはずが、この個体は交換作業時の不慮なのかなんなのか、カバーが付属していなかったとのことです。

さっそく部品を発注し、独力で取り付ける新山氏。

 

「これでまた1つサファリが完璧に近づいた。スーパーサファリ(※)になる日も近い」

「…………」

 

※ドバイの大富豪がHKSに発注した1,000馬力仕様のY61型サファリ

 

 

他にこういうオフ車に乗っている人間がいないこともあって、助手席に乗っているだけでも相当におもしろい車でした。

 

視点の高いハイエースやキャラバンと言ったFRのワンボックスを運転していた時の楽しさに近いです。パワーも大したことはないのに、悠々とのんびりと走ることができます。一度はこいつでキャンプに行ってみたかったものです。

 

「強いていえば重心の低いスポーティーなクーペやセダン、オープンカーには心惹かれる」と言いながら、燃費以外にとりたて不満点は見当たらなかったようで、燃費問題に関してもある意味計測を楽しんでいた部分が見受けられました。

 

フィーリングも合うみたいだし、しばらくはこのままいくんだろうなあと思っていた、2022年の夏。

 

私の買い替え検討が盛り上がりの兆しを見せていた頃から、事態は動き始めました。

新山さん、黒塗りの高級車を買う(日産 フーガ 370GT Type-S)。

シルビアとの涙の別れを経た新山さんが、新たな愛車として選んだ車がこちらです。

 

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◯日産 フーガ 370GT Type-S Y51後期型(2015年式7AT)

エンジン:VQ37VHR型 V型6気筒 DOHC 3,696cc(NA)

ボディサイズ:全長 4,980 × 全幅 1,845 × 全高 1,500 mm

ホイールベース: 2,900mm

トレッド:前/後 1,575/1,570mm

タイヤサイズ:245/40R20

車重:1,770kg

最高出力:333ps(245kW)/7,000rpm

最大トルク:37kg-m(363N・m)/5,200rpm

変速比:(1~7/後退)4.783/3.102/1.984/1.371/1.000/0.870/0.775/3.858

最終減速比:3.357

最小回転半径:5.6m

 

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「サファリじゃないのかよ!」

「違います。日産が誇る大排気量V型6気筒NA、VQ37VHR型エンジンを積んだFRセダン、フーガです」


まさかのEセグメントです。たしかに以前ツイッターで、

 

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などと呟いているのを見はしましたが……。


「意外だけど、スポーツセダンが気になる、てのはずっと話してたよね。走る、止まる、曲がるの性能を考えると、やっぱりセダンかクーペになるって」

「そう。サンバーのおかげで、良くも悪くも四駆と車中泊に幻想を求めなくなったところもあってさ」


ハチャメチャに四駆軽バンを満喫していたように見えるのですが。


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「いや、実際楽しかったよサンバー。ホントに楽しかった。遅いし、サスフニャフニャだし、あちこちからガタビシいうけど、運転していて謎の楽しさがあるんだよね。情報のフィードバックが運転手にしっかり来るからかな…。車を運転してる感覚が強い。ーースタンバイ式の4WDだけど、四駆で雪道を走る感覚もよく分かったし、乗ってよかったと思う。でも、この積載能力をフルに使う機会はそうないし、四駆が必要になり得るシチュエーションも、たまに雪道に突っ込むくらいじゃまずないからね」


シルビアで雪道に突っ込んでいたくらいですからそれはそうでしょう。


「そんな中、おもしろレンタカーでER34のスカイラインに乗ってみたら、やっぱり良くてね。直列6気筒は振動も少なくて、噂に違わぬ滑らかさだったけど、反面、滑らか過ぎてちょっと物足りない感もあって。かなり速かったけど、ターボだと上まで回したときの盛り上がり感も薄いから、そうなると、NAのV6エンジンなんかいいんじゃないかと思い始めてさ。……で、日産には名機のV6エンジンを積んだクーペもセダンもラインナップがあるのを思い出すわけですよ」

 

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VQ37VHR型。3,696cc、V型6気筒の高回転型(High Revolution)かつハイレスポンス(High Response)なエンジンです。


「これね、フェアレディZにも載ってるんだよ」

「マジで?……ホントだ、エンジンスペックが同じだ」

「傑作エンジンなんだよね。V6のNAエンジンとしては、現行で最強だって言われてる(実際には2020年時点)。シルビアに載ってたSR20型は、言っちゃえば実用エンジンだったしさ。こういう強い心臓部に憧れがあったのは事実です」

「エンジンの存在感か。……最高出力発生は、7,000rpm? 回してナンボじゃん。3.7Lもあるのに」

「ちなみにレッドゾーンは7,500rpmからです。High Revolutionの名前は伊達じゃないね」


オーテックバージョンも最高出力発生は7,200rpmと高回転型で、その分低速トルクに細さがあったのが不満の種だったようですが、こいつは排気量のデカさがデカさなので、その辺の心配はないというのもポイントが大きいようです。


「ところで、サファリは?」

「いかんせん出物がね……。もちろん今も憧れてるけど、去年いいやつを買い逃しちゃったってのもあって、それ以降なかなか……」

「まあ、こればかりは中古市場次第だもんなあ。タイミングというか縁というか」

「そう。そんな中ね、これが出てきちゃって。見に行ったらやられてしまった」

 

ぐるりと車体を見て回ります。

 

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「デケエ!!!」

「ほとんど5メートルあるからね。ちなみにタイヤは20インチです。他のグレードだと18インチだったりするのに。今からタイヤ交換がこわい」

セグメントの雄、メルセデス・ベンツEクラスと同じサイズ感ですが、ボディーの盛り上がりが強いので私はフーガの方がデカく感じます。

なお、私事ですが私はこの1年後に20インチを履くスポーツセダンに乗り換えることになるのですが、当然この当時はそんなことを知る由もなく、「やっぱりコペンは維持費も低くて助かるなあ」なんて思いながら能天気にフーガを眺めていました。

「しかし、マッシブなエクステリアしてるよね」

「筋肉質だよね。有機的。最近のマツダのデザインみたいだ」

「マイナーチェンジ後で、結構顔付き変わったよね。ヘッドライトの形状と、凝ったグリルのせいか、低く構えて見える。かっこいい」

長くてワイドで、高さもそこそこあるので、ツーリングで前を走ってると、カーブからぬっと出てくる迫力のデカさがありました。

 

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「……字光式ナンバー?」

「いいでしょ。これも決め手になったポイントの1つです」

コメントは控えさせていただきます。輩感。

 

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「日産ロゴじゃないんだ」

「そう。インフィニティマーク。高級路線を前面に出そうとしたのかな。2019年の仕様改良で元に戻るんだけど、日産の迷走具合が見て取れるよね」

全体的にパワフルなエクステリアと、20インチホイール、そして今時ピークパワー発生7,000rpmという、回せと言わんばかりの大排気量NAエンジンを積んだ370GTのフーガは、つくづくスポーツセダンとしての強い性格を窺わせます。

続いて内装。

 

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「こりゃまた一転して、すごいラグジュアリー感だね……」

「よく見るとボタン表記がカタカナだったり、ボタンが多いのは現代的じゃないとか、いろいろ言われはするけど、すごいよね。曲線調で、滑らかだけど、力強さもあって。今でも通用するデザインだと思います」

ウッド調のぶっといセンターコンソールに、なんとアナログ時計まで付いているという。今まで触れてこなかった世界観です。高揚するものがあります。

「あとおもしろいのがね、フォレストエアコン機能ってのがありまして」

日産の誇るフォレストエアコン機能。

森の空気をお手本に、風の揺らぎと、プラズマクラスターイオンによる空気清浄と、アロマディフューザーによって”みどりの香り“,“香木の香り”が交互に供給されるとのことです。

「最後に、シートはオットマン機能付き。これは結構足が楽です。よかったら使ってね」

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※曲線調のインテリア。優雅です

 

 

怒涛のおもてなし機能を一通り堪能した後、いよいよ発進します。

「……新幹線に乗ってるみたいだ」

「静かだよね。なまじ比較対象がシルビアとコペンだってのはあると思うけど、レビューを読んだりしても、遮音性は高い方みたい。ホイールハウスにも遮音材入ってるし。でもね、踏み込むと結構音いいよ」

グオーン。

「うわホントだ! これ、86BRZみたいに音増幅して室内に取り込んでたりするのかな」

「やってるかも。あと、さっきまでECOモードで走ってたけど、ノーマルとスポーツはやっぱりパワー感出るね」

言葉通り、ECOモードでは助手席にいてもかなり鈍重さを感じていたものの、モードを変えると印象が一転します。当然こちらが本来の姿でしょう。排気量なりの余裕が出て来ます。

全体的に、分厚い服を着ているようです。

路面のゴツゴツが全然伝わってきません。乗り心地はかなりいい方だと思います。その上、高回転域に持ち込まなければやたらと静かなので、運転していない立場だと『車に乗っている』感覚が希薄になります。

後で体感したのですが、特に後席の乗り心地は天上物で、思わず発進時に「行ってくれたまえ」「はい」などという茶番を交わしてしまいました。おそろしく安楽で快適です。

それが、一度踏むと、日産がフーガに与えたスポーツセダンとしての本性が顔を出します。

全体として、ハイクラサルーンとスポーツセダンとしての二面性を併せ持つことが、フーガの本質なのだと思います。

「同セグメントのベンツEクラスだと、フーガの競合は、2.0L 4気筒ターボのE250か、3.0L V6ツインターボのE400のどちらかになるんだろうけど。フーガは立ち位置が絶妙なんだよね。E250には性能で勝ってるし、E400とは出力が互角で、でもフーガの方が110kg軽い。トルクじゃ全然負けてるけど、こっちはNAだしFRだから。スペックだけ見ても、走って楽しんでくれっていう日産のメッセージを感じるよね」

「ネガは?」

「直進安定性かな」

セダンとして致命的じゃないですか!

「もうちょっと正確に言うと、ハンドルの戻りがよくないんだよ。ちょうど今カーブだから、ちょっと見ててよ」

Rの緩いカーブの途中で、ハンドルを支持する力を抜いてみせる新山さん。

それでもフーガは、カーブに合わせたラインを走行し続けます。

「ステアリングの電子制御の問題なのかなんなのか、ハンドルを意識して戻さないといけないんだよ。普通、ある程度直進に戻ろうとするじゃない。それがないので、今みたいなカーブはともかくとして、高速道路を巡航してるときも、常に修正舵を当てないと真っ直ぐ走ってくれないんだよね。意識するか、無意識かのギリギリぐらいのところだから、高速走ってるとちょっと疲れはする」

その他、ブレーキを踏むと前輪がブルブルと震える感覚があるといい、後々日産に持ち込んだところ、こちらは本人の予想通りブレーキパッドの偏摩耗だったそうです。パッド交換で対応。

しばらく乗った上での本人の感想として、「操作に対する電子制御の介入が気になる」というものも追加されました。

フーガにはDCA (distance control assist)なる機能が付いていて、これがオンになっていると、車間に応じてオートでブレーキを踏んだり、アクセルペダルに抵抗が発生してそれ以上の加速を抑えようとしたりする、所謂安全機能が付いています。

オフにすることもできるようですが、そうするとせっかくの安全機能が損なわれますし、そもそもがデフォルトでオンになっているものようです。

この経験が、『アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作に対してとにかく反応が素直であること』を、新山さんが自車に求める最大のポイントにのし上がるようになったのだと思います。

それでも、日産のハイクラスセダンに乗ったという経験は、個人的には羨ましいものがあります。好きなブランドの、ある意味一番いいやつに乗ったわけですもんね。

 

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私がフーガを通じて知ったのは、『大排気量の強みは、巡航時から何もせずとも加速できる、どの帯域からでも発生する大トルク』だということです。

それってターボじゃんと言われるかもしれませんが、ターボは過給がかかる帯域が限られ、低回転域からは基本的にトルクが出ませんし、最近では1,200rpmから最大トルクを発生する高性能ダウンサイジングターボも増えては来ましたが、やはり過給の為の一呼吸が、多少なりとも発生します。大排気量NAはそれがありません。しかも、アクセル操作に対する反応が極めてリニアです(特殊機能や電子スロットルの設定に依るものは除く)。

私はターボ車に乗っている時間が長かったので、現行車のターボラグはあまり気になりませんし、慣れればそれを見越したアクセルペダルの踏み具合を無意識に調整するようになるのですが、NAを乗り継いできた新山さんのようなタイプだと、やはりアクセル開度に対するパワーの出方が滑らかかどうかは、かなり気になるようです。

結局この後、私はターボ車に、新山さんはひたすらにNA車のみを乗り継いでいくことになるのですが、こう考えると何ともおもしろい話です。やっぱり相性はあるんでしょうか。

個人的には、もっと乗っていてほしかった車です。

私自身が乗り換え候補として考え始めていた要素が「もうちょっと大人っぽい車」ということもあって、その国産極地に位置するフーガは、もう少し体験してみたかったという思いはあります。

それでもまあ3年くらいは乗るんだろうなと思っていた頃。フーガ購入から3ヶ月が経過した、2021年11月の上旬。

奈良県のとある中古RV専門ショップに、とうとう奴が現れました。