ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

アルピナ、故障する。その4(パンク・ホイール破損)。

 

アルピナ故障記その4です。


連続故障のうち、自己最高額である35万円を叩き出した大物です。これをもって、しばらく故障の悩みから解放された生活を送りたいと心底願いながら本記事を掲載いたします。

 


BMW関連ショップでアルピナの購入を検討しているときに言われる言葉として、「Mと比べると特別パーツがそんなに使われていないので、ランニングコストは高くないですよ!」があると思います。


事実だと思います。大半はBMWノーマルモデルと共用です。が、各部をアルピナ社が改良・独自開発している以上、換えの効かないパーツは当然あって、オーナーの思いつく限り、それは下記の3箇所だと思います。


・サスペンション周り

・エンジン周り

・ホイール


今回私がやらかしたのは最後の1つ、ホイールであります。

 

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※悪魔のアルピナ純正ホイール。とてもそうは見えませんが、他ホイールと持ち比べると鬼のように軽いです。リム内部が空洞だからだと思われる。



2ヶ月の長期入院なら帰ってきて、現状エアコン異音も手を付けられるものではない(というより手の施しようがない)との診断を受け、安心し切ってアルピナを乗り回していた12月の土曜日の夜。


たしか年末に向けて、革靴を修理に出した帰りだったと思います。賞与も入ったタイミングです。オルタネーター交換必須と思ってた分の費用も浮いたことだし、「この際スタッドレスタイヤ買って、雪道ドライブにでも行こうかな」などと夢想しながら地元を走っていたところ、いきなりアルピナがパンクしました。

 

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※近くのコンビニ駐車場に駆け込み、凹んだタイヤを確認して途方に暮れる図


もう少し詳しく書きますと、道路の窪みを通過する際に、ホイールが衝撃を受け、クラックが入ってしまった形です。ガツン!!!と、今まで感じたことのない硬質な衝撃が、足回りにきました。


場所は、県道と国道が交わる、交通量の多い交差点です。後々意識してみると、ここはトラックが多く通るせいか路面に相当な陥没が起きていて、アスファルトの状態はガタガタです。


当たりどころが悪かったのか、陥没が悪化していたのか、とにかくとんでもない音がしました。下からハンマーで殴られたのかと思ったくらいです。


普通に法定速度内であったし、コペン時代にこの道を通ってもそんな衝撃を受けたことがなかったので、なんだなんだと目を向いているうちに、あの忌々しい警告音がコンソールから鳴り響きました。


「ポーンwww」


空気圧低下警告です。


すぐに路面感覚もゴリゴリしたものに変わり、これはマズイとすぐ近くのコンビニ駐車場に避難。車を停め、各タイヤを確認したところ、右フロントが完全に沈み切っています。

 

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「…………またかあ」


という言葉しか出てきませんでした。天を仰いだのをよく覚えています。


時間は21:00過ぎ。ショップはもうやっていません。主治医への一報は明日に回して、まずは何よりレッカーの手配が必要です。気合いで正気を取り戻し、保険付帯のロードサービスに電話。届いたショートメールのURLにアクセスして、位置情報と状況を入力して送信。2回目なので慣れたものです。


続いて帰宅の手段ですが、

 

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「ーー迎えに来たおれも代車っていうのが今回のミソだね」


赤いプリウスで迎えに来ていただきました、新山さんです。こちらも先週エンジンセンサー類不調の為にレッカーされた身で、年明けまで代車生活のようです。アルピナブラザーズ、同一週に2台ともドナドナされる。


「にしても、パンクか……。心当たりは?」

「多分外環下の国道とぶつかる交差点の道路の陥没」

「あー……。まあ低扁平だと、ちょっとした窪みでやられることもあるみたいだからね。よくさ、高速道路とかで、パンクして路肩に停まってる車輌あるじゃん? あれ今度よく見てみるといいよ。結構な確率で、ホイールデカいのに替えて低扁平のうっすいタイヤ履いてるミニバンだから」

「天下のアルピナがそんな耐久性に問題のあるタイヤ選択を……?」

「してるとは思わないけど、リスクは間違いなく高まるかなと。運がなかったとしか言いようがないね。別にスピード出してなかったんでしょ?」

「全然」


普段信号で停まることの多い交差点が青だったので、普通に走り抜けはしましたが、法定速度以下だったはずです。


「高速の下を走ってる道路ってのもあって、暗くて窪みが見えなかったんだよね。普段だったら多少避けたりするんだけど……」

「今後もなるべく躱した方がいいだろうね。扁平率30っちゃ相当だもん」


そうこうしているうちにレッカーが到着。


地元ということで当然ショップのことも知っており、「営業時間外なんで一晩預かって、明日連絡してもらったタイミングで届けますんで」とのことでした。ありがたい(こういう場合保管費用が別途かかることもあるので要注意です)。一応ダメ元で、抜けたタイヤに空気充填を試してもらうも、


「入れた端から抜けていきますね。……レッカーに載せるとき自走するので、そのときホイールが傷付く可能性がどうしてもあるんですけど、どうしましょう?」

「他に方法ないんですもんね」

「残念ながら」

「じゃお願いします」

 

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アルピナゲーミングドナドナ


結果としてホイールは割れていたわけですが、衝撃の度合いからして、十中八九このときではなく先の道路の陥没が原因だと思います。仕方ありません。


ミシュランパイロットスポーツ4S……1本6,7万円……右フロントだけの交換でも大丈夫かな……」

「その前にホイールまで逝ってなければいいけどね」


という帰路の車中での新山さんの台詞が思い出されます。



入庫してからしばらく、ショップから掛かってきた電話の第一声、「梁井さーん……あのですね〜……」で私はすべてを察しました。


天を仰いで1秒。速やかに正気を取り戻して応答します。


「ダメでしたか」

「ダメでした。ホイール、クラックが入ってます。補修自体は出来ますが、経過の補償は出来ないというのがホイール屋の意見です」

 

ホイール屋ってのがあるんだ。知らなかった……。

 

「てことはやめといた方がいいんでしょうね」

車屋の立場からするとやはり……」


私としても、出先でエア漏れなんか起こしたら目も当てられないので嫌です。覚悟を決めます。


「これ保険効きます?」

「自損事故になるので効きます。その場合は当然、タイヤ含めて全額が保証されますね。……一応、道路の窪みが原因とのことなら、自治体や国交省に言うだけで言ってみるのも手だと思いますよ。それでもしダメなら、保険使うかどうするか、考えてみましょうか」


電話を切り、即市役所に電話。関係部署に繋いでいただいて事情を話し、陥没部の補修と、もし可能であれば補償みたいなものがあるのかと訊いてみたところ、ヤクザとしか思えない口調のおっちゃんが、しかしながら思いのほか丁寧に対応してくれました。ただしその結論は下記の通り。


「あの交差点とこかー。道路のどこ? 交差点侵入したところ? 中? てことは、そこ国道側だね。一応交差点の場合、上位の管理者に話してもらうことになってんだよ。悪いけど」


続いて国土交通省関東地方整備局。電話に出てくれた若そうなにーちゃんに同様の内容を伝えたところ、


「陥没の補修については承知しました。早急に手配します。が、保証については、もちろんしっかり精査させていただいた上でことになるので、半年か一年くらい色々やり取りをした上で決めさせていただくことになりまして……」


ネットで調べた上でも概ね半年ほど、補償されても数割という話だったので、諦めて大人しく保険対応とすることにしました。

 

 

運良く2週間で納品され、速攻タイヤ組み付けまで済ませていただいたおかげで12月24日(土)に無事回収。ちょっとしたクリスマスプレゼントになりました。

 

が、そのプレゼントにかかった費用は、全額保険対応とはいえ驚きの35万円。

 

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アルピナの純正ホイールタイヤセットは下記の値段なので、個別に買ったらそんくらいいくのでしょう。

 

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あまりにも恐ろしくなったので、その翌日、西新井大師まで行って車のお清めを依頼。

 

このときまで西新井大師を神社だと思っていたレベルで神仏に頓着していなかった私ですが、藁にもすがる心境かつ、「12月25日の朝イチにお清めに行くくらいの気合いを見せればちっとはご利益もあるだろう」との浅い考えで、5,000円を払って車の安全を祈念するのでした。

 

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これ以降、アルピナに修理費の発生する不具合は起きておりません。出尽くしたのか、乗り手がめちゃくちゃ気をつけてなるようになったせいなのか、はたまた仏のご利益か。

 

一度だけ、坂道で加速したときに再び空気圧警告が鳴ったことがあります。

 

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※忌々しい空気圧低下警告。

 

速攻でガソリンスタンドに駆け込んで4輪の空気圧を測ったところ異常なし。何かが刺さっているのも発見できず、半泣きでネットを調べたところ、「BMWの空気圧警告はRPA方式という各ホイールの回転数の差によって、タイヤの外径が変化した=空気圧が変化したと判断する方式を取っている為、例えば道路の継ぎ目部分などタイヤが一瞬滑ったときに、ABS誤作動と同じ理屈で警告がなるときがある」的な記述を発見しました。

 

何度測っても空気が抜けていない以上は誤作動と判断するしかなく、リセットをかけて帰路へ。道中ヒヤヒヤしながら走り、翌日再度測ってやはり空気が抜けていないことを確認し、今回の警告は誤報と改めて判断するに至りました。


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※異常なし、じゃないんですよね異常なし、じゃ、

 

2023年6月24日(土)現在、アルピナは異常なく走っています。頼むから今後もこうあって欲しいものです。

 

ちなみに来月車検です(震え声)。