ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

コペンローブ、北海道に行く。その9。

9日目。2016年の8/12(金)。晴れ。


日付が変わる少し前。


間も無く着岸するので車へ乗り込むようにとのアナウンスが流れ、雑魚寝部屋でのうたた寝から叩き起こされました。

 

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絞ったら疲れがドバドバ溢れそうな、ボロ雑巾みたいな体を引きずってコペンの元まで辿り着き、運転席に乗り込みます。現在地は陸奥湾内の青森港付近。あとはもう兎にも角にも帰るだけです。


0:00。日付が変わる同時に青森港に着岸。上陸します。


半端に寝たせいか、疲労と眠気が一気に溢れてきました。北海道に着いてから、途中で昼寝はしているものの早朝から晩まで走り続けてもう7日目です。適当なコンビニで夜食を仕入れ、仮眠。体力の回復を待ってから再出発します。


未明、青森インターから東北道に乗り、以降は東北道をひたすらに南下。無事帰路につきました。


走行距離約700km。青森からの東北道走破は今まで計3回経験しましたが、まあひたすら真っ直ぐで、何もない景色が続きます。急ぐ理由もないので、屋根を閉めてのんびり走りながら、道中つらつらと、今回の旅行を振り返っていました。


結論から言って、走行中の景色が一番思い出に残っています。


岩見沢の晴れた国道、パッチワークの丘の花畑、霧の中の釧路湿原。早朝のオホーツク海を臨む国道239号線、エサヌカ線の水平線、宗谷岬間近の丘の道。オロロンラインの直線と、ニセコパノラマラインの緑と青……。


今でもよく覚えているのは、この辺りを走行中のふとした景観です。到着した場所の景観は、写真を撮ってるので後で見返して記憶に残るんですが、走行中や信号待ちの、何でもない情景がいつまでも頭に残り続けることがあります。


一体何が鍵になって頭に刻み込まれるのか、いろいろ考えてみたんですが、一番は「遠くに来てしまった感」だと思います。


子供の頃、RPGで終盤のダンジョンが無性に好きでして。出発点から物理的または概念的に「遠い」場所のマップを散策してるときが、一番ワクワクしていた記憶があります。ゼノギアスの雪原アジトとか、クロノクロスのタイムクラッシュ爆心地とか、FF9の記憶の場所とか、スパロボαの雷王星付近とか深宇宙ステージとか。


一方現実はというと、子供の頃なんてそうそう遠くまで行けるもんじゃありません。東京に出るのさえ自分にとっては大遠征で、一度家族に連れられて渋谷のNHKスタジオに行ったとき、「とんでもない大都会へ来てしまった」とソワソワしたことをよく覚えてます。他にも、自由研究の為に上野の博物館へ行ったついでに秋葉原をふらついたとき、都内のどこかの児童図書館に連れていかれたときなど、「自分の生活圏の外に出た」ときの映像は、わりと鮮明に覚えています。


子供の頃は行けなかった「遠い場所に行きたい」というのが、どうも自分の原体験としてあるようです。


旅行は根本、この原体験の感覚を追いかける為にやっていると言ってよく、「チェックポイント到達と移動そのもの」が目的で、逆にいうと現地で何をするという目的意識が欠けているのが現状です。


今後は行き先の背景を調べて、もうちょっと現地そのものを味わって帰りたいと考えてますが……、今のところこの旅行はこれはこれで満足しています。地図を塗りつぶして行く感じ、自分のテリトリーをゆっくり広げていっている感じが、自分にとってはとても好きです。


15:00頃、無事自宅に到着。

 

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ガソリンスタンドの高圧洗浄機を使って洗車を済ませます。洗車完了までがツーリング。その足で駅前に出向き、惣菜とビールを買い込んで、事故なく帰還できたことを祝って一人宴を開始します。


コペンを買って以来、いつか行こう行こうと思っていた北海道ツーリングですが、2年目で達成できました。人生やったもん勝ち行ったもん勝ちなところあるよなあ、というのが、この車に乗り始めてしみじみ感じていることです。これからもなるべく、行きたいところには行っておこうと思います。



最後に。これをオチにするのもどうかと思うんですが、自省の為に書いておきます。この旅行中、私は警察のご厄介になりました。罪状は北海道の敵、スピード違反です。


場所はオロロンライン、たしか留萌手前の市街地に入ったところだと思います。


以前書いた通り、北海道は街と街が離れて点在していて、走り続けていると「今街に入った」とわかるポイントがあります。ここが問題で、街の間が大抵60km制限、街に入ったところから50km制限、となっていることが多いのですが、私はこれをボケっとしていて見逃しました。後ろからスピーカーで止まれ止まれと声がして、パトカーがやってきます。


「おにーさん旅行中?  いやー僕が捕まえた中で一番遅かったんだけどね。17kmオーバー。15km以上だとさすがにねー」


全く嬉しくない言葉ですが、言っても詮無いことなので大人しく切符を受け取ります。街に入ったところでスピードを落とす。分かっちゃいたのですが、完全に気が抜けていました。

 

まあ逆に、この経験のおかげと言ってはなんですが、これ以来殊更に道路標識を気にするようになりました。一時停止はもちろんのこと、速度制限標識をよく見て、街中に入ったときには意識してギアを一つ落とし、アクセルを戻す癖がつきました。おかげさまで警察のご厄介になったのは今のところこれが最後です。


後日、新山さんと互いの北海道旅行報告会の最中にこの話をしたところ、


「あー、そういう経験あるとやっぱり運転変わるよね。……おれもちょっと考えようかな」


後日、奴のシルビアにはレーダー探知機が取り付けられていました。「あるとやっぱり気をつけるようになる」とのことです。皆さん、安全運転でドライブを楽しみましょう(自省)。


終わります。

コペンローブ、北海道に行く。その8。

8日目。2016年の8/11(木)。晴れ。


6:00起床。コペンの運転席で目が覚めます。北海道最後の夜くらいまともな宿に泊まった方が、とも思いましたが、中々どうして熟睡できました。洗顔と歯磨きを済ませて出発します。


この日は、ニセコを経由して函館へ。津軽海峡フェリーで青森に渡ります。北海道最後のドライブです。


函館本線に沿って走る国道5号で、小樽市から余市町へ。ニッカウヰスキー余市蒸溜所は車のためスルーします。ウチの会社、若干の縁がないわけでもないので、いつか機会があれば再訪したいところです。


ニセコパノラマライン経由で、日本三百名山の一、ニセコアンヌプリを越えます。この道が絶景でした。


走行中なので写真がないのが残念ですが、ニセコパノラマライン、エサヌカ線に続いてもう一度走りたい道の一つです。緑の森を駆け上がって、一気に空が広がる道。気持ちよかったな…。

 

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8時、道の駅ニセコビュープラザに降りてきました。麓から臨む羊蹄山。壮観です。蝦夷富士の別名は伊達じゃない。

 

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朝早すぎて店がどこもやってません。しばらくフラついて時間を潰します。

 

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地元牧場の牛乳を使ったソフトクリーム。濃厚です。


長万部に抜け、内浦湾沿いをひた走り、昼過ぎに無事函館に到着しました。フェリーは20:15発なので大分時間がある為、のんびり観光を済ませます。


函館市、地理的にもかなり特殊な位置にあり、歴史も古い街なのでここだけでも数日使って回れそうです。漁業、工業、観光を意図的に発展させようとしたところから、岡山県倉敷市にも通じる街自体のおもしろさがあります。そういえばアニメ・ノエインの舞台が函館でした。ヒロインを演じた工藤晴香、当時弱冠16歳だったとか。くどはる可愛いよくどはる。

 

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六花亭五稜郭店。

 

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今朝方会社に届いたバターケーキが好評だったようなので買い足しに来ました。自分用にも追加で購入、帰路のおやつにします。しかし、六花亭はホントどこの店舗も瀟洒ですね…。


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五稜郭公園。


五稜郭戊辰戦争最後の戦いである箱館戦争の舞台です。天気もいいので、ベンチで缶コーヒー片手に休みながら、ウィキペディア戊辰戦争の概略を眺めます。

 

……五稜郭は江戸末期に箱館奉行所として建てられるも、僅か2年後に大政奉還により幕府が終結五稜郭は新政府の箱館府政庁として使われ始めます。が、実務上の政治中枢が徳川慶喜から変わらないことに不満を持った倒幕派がブチ切れ、旧幕府側もキレ返し、新政府と旧幕府が対立。戊辰戦争が始まります。


鳥羽伏見の戦いで新政府軍が官軍で旧幕府軍が賊軍である認定され、徳川慶喜が江戸へ退却し、新政府軍の追撃軍と旧新撰組甲府で激突し(甲州勝沼の戦い)、江戸城から慶喜が撤退し(江戸城無血開城)、東北戦争で近藤勇が捕らえられ、板橋で斬首され……、舞台は箱館戦争に至ります。


江戸から北上した旧幕府軍が函館に上陸、五稜郭を占拠。北上の目的は、減封により食うに困った旧幕府軍が生きる為には「北方開拓の役を担うと嘆願する」……とのことだったとありますが、どうも旧幕府海軍の頭が戦艦を取り上げられそうになり、江戸開城後、そんな状況下で行ける場所が北しかなかった、というようにも読み取れます。当の幕府海軍の頭は榎本武揚土方歳三も同行しています。


旧幕府軍により函館政府が樹立されるも、新政府軍の追撃を受け、箱館戦争が開戦。新政府軍の軍艦との砲撃戦や函館市街戦を経て、榎本軍は降伏。五稜郭は再び新政府軍に引き渡された、という経緯のようです。これにて旧幕府軍の勢力がすべて陥落、戊辰戦争が終了します。名実ともに江戸時代の幕引きです。


なお、降伏6日前の函館市街戦で土方歳三が被弾し戦死しています。


……などというあれこれは一度調べたはいいもののすべて忘れており、今全部調べ直しながら書いてます。いざ調べると中々面白いんですが書かないと覚えないので、今後も旅行に行ったらその土地の特色やら歴史やらはなるべく調べて書き残していきたいと思います。

 

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好天の長距離オープン走行で火照っていた体を程よくチルアウト出来たので、風呂入って腹ごしらえといきます。

 

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函館乃木温泉なごみ。昼高いうちに入る温泉もいいものです。いいお湯でした。


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安全運転で帰ります。

 

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はこだてグルメガーデン。


駅前で海産物でも食おうと思っていたところで遭遇。賑やかだし面白そうだしここでいいやと、食べ歩きを開始します。

 

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サバーガー。鯖が入ってます。まいうーです。八戸のB級グルメらしいですが、新山さんが福井で似たようなものを食っていた気がします。ありゃサバサンドか…。

 

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味噌ラーメン。サイズ感がちょうどよかったので。日が落ちるとだいぶ涼しいのでこの温かさはありがたい。


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バンド演奏があったのでしょう。エフェクターボードが残されていました。このボードかっこいいですね…。EP BoosterにSoul Food、空間系はHall of FameのリバーブにBOSSのディレイとトレモロ、ピッチシフター。ギガディレイが凄みを出してます。


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函館山


旅行の締めに函館山からの夜景を見ようとやってきたはいいものの…ロープウェイが激烈な混み具合で断念しました。平日でこれかというレベル。ただまあ、坂から見下ろした街並みが十分綺麗だったので、夜景はまたの楽しみにとっておくことにして、いよいよ北海道から退散することにします。


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函館港、津軽海峡フェリーブルーマーメイド号。乗船タラップ。

 

函館山に登れなかった分早く着いたので、乗船手続きだけ済ませて車の中で寝てようと思ったところ、受付の方が一便早めてくれました。多謝です。


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ポールポジションに座するコペン君。

 


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青森港まで3時間ちょっとの船旅です。コペンを降りて船内に降り立った途端、どっと疲れが出てきました。丸8日間、朝から晩までほぼオープンで走り続けてきたので当然といえば当然です。ビールで一杯やりたい気分でしたが呑むわけにもいかないので、オランジーナで杯を乾かすことにします。


いやあ、よく走った。ホントに走った。北海道ほぼ一周したようなもんだもんな…。


オランジーナをぐびぐび飲み干して、雑魚寝エリアでちょっと横になった途端、吸い込まれるように眠りに落ち、気がついたら青森港に着岸していました。


次で最後です。

コペンローブ、北海道に行く。その7。

7日目。2016年の8/10(水)。晴れ。


7:00起床。北の果ての朝。


一番遠いところまでは辿り着いたので、あとはもうのんびり帰るだけです。遅く起きて、テントをゆっくり片付けてから出発します。帰るといってもここから3日かかるのですが…。


この日は稚内からオロロンラインを南下し、留萌を経由して、小樽まで向かいます。


快晴です。ふっつうに鹿が闊歩している道路を注意して進み、カアカア鳴きながら飛ぶ海鳥の下をくぐり抜けるように走って、日本海沿いをひたすら南北に走るオロロンラインに合流。あとはひたすら、留萌目指して走り続けます。ちなみにオロロンとは、海鳥であるウミガラスの鳴き声に由来するらしいです。オロローン、オロローンと鳴くとか。分かるような分からんような。

 

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幌延町、オトンルイ風力発電所

 

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オランダ・ラガウェイ社製の風車が28基、浜に沿ってひたすらに一直線に並んでいます。オトンルイはアイヌ語で「浜にある道」とのこと。事業主は、第三セクターである幌延風力発電。建設会社はJFEエンジニアリングで、現在は幌延風力発電の大半の株を所有。実質的な運営主体のようです。発電した電気は北海道電力に売電しているとのこと。

 

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記念撮影。


ちなみに、国内最大級の風力発電所宗谷岬ウインドファームが宗谷岬にあり、前日のうちに実は遠くから拝んでます。なんと風車57基。布引高原の33基より圧倒的に多いです。今度は近くまで行きたいと思います。こちらは豊田通商東京電力の合併会社、ユーラスエナジーホールディングスが事業主。風車は三菱重工製。やっぱり北電に全部売ってるらしいです。

 

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宗谷岬ウインドファームを臨む。


なお、この日は私にしては珍しく昼に食うものを決めており、留萌市の蛇の目寿司にて昼から寿司をぶちかます予定でいました。一回くらいは北海道で寿司を食べておこう、ツーリングマップルにも載ってたし間違いもあるまいと、コンビニで食うものも食わず頑張って走り抜けて来たのですが、……オチだけいうと、ランチの営業時間に間に合いませんでした。


思えばこの北海道旅行、現地らしいものを食べたのは、帯広の豚丼セイコーマートのコンビニ飯くらいです。このことを反省材料に、2019年の東北旅行では「マグロを食う」を最大目的に設定し、道中海産物を食いまくることになります。この頃はまだ風景がメインでした。


胃が完全に寿司になっていたので、近くのスーパーで惣菜寿司を購入。コペンの中で食いましたが普通にうまかったです。


さすがに疲れが出てきたのか、寿司を食べた駐車場でしばらく仮眠。起きたら思いの外時間が経っていたので、ここから小樽までは思い切って高速を使います。

 

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秩父別パーキングエリアでの貼り紙。「2時間毎」という表記に北海道を感じます。

 

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18:00頃、無事小樽市に到着しました。

 

夜景の街です。K-S1片手に、シャッタースピードを落としてバシャバシャ撮りまくります。

 

謎の飲食店街。適当にラーメンを食べて夕飯とします。

 

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小樽運河


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紅の豚で描かれたミラノ・ピッコロ社周辺の運河を思い出す。

 

適当に見つけた銭湯で風呂を済ませ、この日はコインパーキングで車中泊を試します。風呂にさえちゃんと入れば、コペンでもそこそこぐっすり眠れるものです。狭苦しい2シーターの運転席で、北海道最後の夜が更けていきます。

 

続きます。

コペンローブ、北海道に行く。その6。

6日目。2016年の8/9(火)。曇りのち晴れ。


5:00起床。オーナーさんには朝早く出る旨を伝えておいたので、物音を立てないよう前日にまとめておいた荷物を持ち出し、洗顔歯磨きを済ませて出発します。

 

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早朝のモシリパ外観。


この日の目的地は宗谷岬。今回の旅行のハイライト、北海道の最東端です。


走行距離は385km。1日で走る距離としては許容範囲内ではありますが、網走で観光して稚内でキャンプ泊となると、わりと時間がありません。例によって寄り道を最小限に抑え突っ走ることにします。


なお、北海道ツーリングでしみじみ思い知りましたが、やっぱり早朝の出発は気持ちがいいです。霧の中、早朝の林間、海沿いの道、湿原の中を走り抜けます。

 

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濤沸湖(トウフツコ)。野鳥の聖地らしい。写真だけ撮って退散します。

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網走市に突入。滞在可能時間が2時間しかないのでダッシュで観光します。まずは一度は来てみたかったオホーツク流氷館。


流氷の時期というと1月~3月で、真冬の道東旅行となるとそれなりの覚悟と装備が必要ですが、ここに来れば真夏だろうがいつだろうがモノホンの流氷が保存されています。

 

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流氷体験コーナー。本物の流氷がゴロゴロと置かれています。中はマイナス15度とのこと。塗れたタオルを20回くらいぶんぶん振り回すと固まります。カチカチ体験とかそんな名前でタオルを配ってました。ちょっと感動。

 

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クリオネ。超小さい。もうちょっと大きいと思ってた。

 

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また来ます。

 

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同じく網走市観光ポイント、旧網走刑務所へ。

 

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当時の建物がそのままに、北海道開拓の歴史と受刑者たちの繋がりについて諸々の資料が展示されています。北海道旅行者なら、ここは一度は訪れるべきかと。感じ入るものがあります。

 

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北海道といえばホクレン。初ホクレン給油です。例のフラッグも購入。なお、兎にも角にも急いでいるので朝食と昼食はコンビニ飯です。この日は夕食のキャンプ飯に全てをかける所存。


ひたすら海沿いの国道238線を走り続けて約400km。宗谷郡に入り始めた夕方から、段々と晴れ間が見えてきました。


太陽がこれほど嬉しかった日は人生でも早々ありません。眼を細めながらひた走っていたら、いよいよ宗谷岬へのルート最強の道に突入しました。

 

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エサヌカ線。この世の風景とは思えない。

 

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日本で最も何もない道。記録の写真だけ撮ったら、後は心を空っぽにして走ります。生きている内でこんな時間が何度あるだろうと思いながら、コペンのアクセルをパーシャルで踏み続けます。至福の時間。まるで渾身の合奏が延々と続いているように。この感触は死ぬまで忘れません。

 

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2016年8月9日17:35、日本の最北端、宗谷岬に到着。


さして何があるわけでもないので、日本がっかりスポットの一つだとよく聞きますが、死ぬ気で走って息も絶え絶えたどり着いた場所なので、景色など良かろうが悪かろうが関係ありません。バイカ―がたくさんいましたが、夕日を見ながらしみじみと缶コーヒー飲んだりしてました。感無量です。

 

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梁井、はしゃぐ。

 

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日本最北端ガソリンスタンドで給油。安田石油店さん。同じく日本最北端給油証明書と、貝殻のキーホルダーをゲット。貝殻にはマジックで「交通安全」と書いてあります。

 

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もう7時です。近くのキャンプ場に急いでテントを張り、風呂へ。これまた最北端温泉、童夢へ。


入浴中、オタクめいた東京の学生さんらしい2人組と、どう見てもヤクザとしか思えない入れ墨バリバリの大阪人が談笑してました。謎空間。

 

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稚内市森林公園キャンプ場。

 

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この世でもっともうまいものの一つ、ウィンナーラーメン。北海道で食ったものでこれが一番うまかったです。日本の果てで食うラーメンがこんなにうまいとは。

 

焚き火の前でぼんやり佇みながら、そういえばこれが人生初のソロキャンプだったということに気づき、火が消えきったことを確認してからもぞもぞとテントに潜り込みます。

 

続きます。

コペンローブ、北海道に行く。その5。

5日目。2016年の8/8(月)。曇り。この辺りから旅程がキャノンボールの様相を呈してきます。


10:00起床。ベッドと布団が気持ち良すぎた…。早起きして早朝の釧路湿原を走ろうと思っていたのにこのざまです。コンビニで適当に朝食を買い込み、そそくさと出発します。


国道38号線に戻り、しばらく市街地を走ります。帯広は流石にデカイ街で、こうして走っている限りは「これから道東に抜けていく」という果て感は薄いです。そのうち道が南に向かっていき、鉄道根室本線に並んだ海沿いの道に出ます。

 

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釧路に入った辺りから霧が出てきました。


写真は白糠町近辺。記念に撮っていた走行中の動画からの抜粋です。さすがに屋根は閉じていた模様。結構肌寒かったのを覚えてます。なお、全く知らない道でこの視界なので、前のバイクがやたらと心強かったです。

 

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道の駅厚岸グルメパーク。昼食がてら生牡蠣を食します。旨い。旨いのですが、段々「このペースで走ってたら周りに何もないところで夜になるんじゃないか」と気付き始め、焦りが出てきました。


ついでに平日となったせいか、会社の連中から近況を問うメールがちょこちょこ届くも、この日に関しては「霧でなんも見えないす」としか返信のしようがなく、土産を楽しみにせいと言い添えてさっさと出発することにします。


この日の目的地は北海道最東端、根室市納沙布岬です。


北海道最東端の最果て感は一度味わっておこうと設定した目的地ですが、いかんせん遠いです。加えて、次の日の目的地が北海道旅行のハイライト宗谷岬の為、せめてもうちょっと先まで進んでおこうと標津町のゲストハウスに予約までしてしまった為、途中で力尽きるわけにも行きません。天気も天気なので途中でキャンセルしてキャンプというのも無理です。はたまた車中泊というのも、人も少ない道東エリアの暗がりで行うのは、あまりに恐怖感が過ぎます。


そんな訳で霧の中をガンガンガンガン突き進みます。

 

海沿いの林の合間を、線路と並行して走る霧の道。前後に車はなし。景観は完全にサイレントヒルです。おまけにここがどこかといえば、日本の最東端エリア。思えば遠くまで来たもんだと感じ入りながら走っていると、気がつけば市街地に入っていました。北海道の最東端、根室市です。


わりと大きな街です。国道44号線から根室市に入ったのですが、役所の前の通りは結構賑わっています。が、市街地を抜け、根室半島線の南側ルートに入ると、建物も少しずつ減っていって最東端が近づいてきたのがわかります。

 

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日本最東端ガソリンスタンド、㈱ヒシサン歯舞SSさんで給油。日本最東端給油証明書をゲット。似たような輩がしょっちゅう来るのでしょう、店員さんが親切でした。

 

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日本最東端郵便局、珸瑤瑁(ごようまい)郵便局。ついでなので友人の結婚式の招待状をここから返信します。


霧の道を抜けて、納沙布岬に到着しました。

 

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この時点で夕方5時。岬のようですが、ごうごうと波しぶきの音がするだけで何も見えません。しかもここ、日本の東の果てです。超怖い。写真だけ取って逃げるように退散します。

 

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隣の公園にあった謎のオブジェクト。


すっかり日が暮れてしまいました。国道244号線、道東海沿いの道路をひた走ります。海沿いとはいえ真っ暗なので右手には底なしの闇しかなく、たまに林の間を抜けるので、いつ鹿やら熊やらが出るか分かったもんじゃありません。急ぐ気持ちを抑えて安全運転で進みます。

 

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標津の浜の湯でさっと入浴。この時点で夜7時半。夜の北海道は二度と走るまいと決意します。

 

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20時半。とほ宿(安い相部屋宿)モシリバに命からがら到着しました。素泊まりで3,500円也。

 

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オーナーさんに遅くなった旨を謝罪し、リビングにて、途中のセイコーマートで買った夕食をかきこみます。安心のあまり写真がブレブレです。


食事中、毎年夏休みに泊まりに来ているというご家族と会話しました。小2の娘さんが「去年モンゴルで馬に乗ったよ」と言う剛の者で、北の果てで、幼女とモンゴルの馬の話をしているこのときが、今回の旅行で一番「遠いとこまで来たんだなあ」と感じ入った瞬間でした。

 

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熊が出たらどうしようかというテーマで談笑中。オーナーのおじいさん曰く、「基本にらめっこしながらゆっくり後ずさり。それでも熊が襲い掛かってきたら、亀のポーズで丸くなれ」「それ諦めろってことじゃないですか」


買ってきた缶ビールも飲み終え、10時過ぎには部屋に引き込むことに。一人客用の部屋に布団が三つ。先に寝支度を始めていたライダーさんに挨拶し、布団に潜り込んだらあっという間に眠りに落ちてしまいました。モンゴルっぽい夢を見たような気がします。


続きます。

コペンローブ、北海道に行く。その4。

4日目。2016年の8/7(日)。快晴。

 

6時起床。のそのそとテントから這い出すと、新山が早くもインスタントコーヒーで一杯やってました。


基本朝が苦手な私ですが、キャンプだと気温の上昇と日の差し込みをテント越しに直接感じるので、否が応でも目が覚めます。早起きが苦手な人ほどキャンプ泊はオススメです。新山からお裾分けをいただいて目を覚まし、一服付けます。


コーヒーを飲み終えてから片付けを開始。この日は2日遅れで追っかけてきたインテグラ先輩の合流を待つ為、9時まで富良野で待機なのでゆっくり出来ます。


昨日の焚き火の灰をまとめて、テントを畳んで荷積みをしているとあっという間に8時になっていました。キャンプ時の時間経過のスピードは異常。スッキリした芝生の上に椅子だけ出してくっちゃべっていると、ガランガランとした独特の排気音が聴こえてきました。4気筒の音。インテグラ先輩のフェーザーのお出ましです。


「どうやって来たんすか」


「メールした通り。昨日の昼に新潟発のフェリーで、今日の4時に小樽着いてさ。そっから高速。三笠インターで降りてあとは山道。いやー空いてるね北海道、走りやすかった」


「朝の4時ならどこも一緒じゃないすか」


ここからインテ新山さんペアとは別行動。インテ組は留萌経由で稚内を目指す時計回りルート、私は帯広経由で道東に抜けて、網走経由で稚内を目指す反時計回りのルートです。長い北海道ツーリング、初日だけでも友人と回れたのは良い思い出となりました。基本互いに単独行しようとするからな…。

 

久しぶりの一人旅が始まります。


せっかく富良野まで来たので、帯広に抜ける前に午前中観光して回ることにしました。


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パッチワークの路。あまりの美しさに息を飲むも一番綺麗な花のエリアの写真を撮り忘れる失態。まあこういうのは走行中の心の中に留めとくのが一番美しいんですよ(適当)。

 

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ケンとメリーの木。


美瑛の丘陵地帯をふらつく中での何が何でも行きたかった目的地その1。別に当のスカイラインのCMを見たことはないのですが、ここまで来たら名物のこいつを見ないわけにもいかず。行ってみると想像以上にデカイのと、中国人観光客だらけで驚きました。2016年っつーとインバウンド需要最強年代だったせいか、中国での日産神話が活きてるのか…。

 

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ジェットコースターの路。


美瑛の丘陵地帯をふらつく中での何が何でも行きたかった目的地その2。全くうまく写真には撮れませんでしたが、今までの人生で見たことのない光景でした。天まで届く路の二つ名は伊達じゃない。


しかしまあ結局諸々のスポットより、車走らせてる途中の景色が一番記憶に残ってます。綺麗なとこだったな…。

 ◇


国道38号線の山越えを経て、夕方前に帯広に到着しました。

 

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六花亭帯広本店。


帯広に寄った最大の目的地です。出立前、「口から垂れるクソの前と後にサーと付けないと命を取られる」タイプの先輩からお使いを頼まれており、せっかく六花亭に行くなら本店に寄ろうと、この日の宿を帯広に決定。先輩ご指定のマスキングテープを入手し、会社にお土産として六花亭新作バターサンドケーキを送りつけ、自分用に行くつか購入してパクつきながら体を休めました。

 

六花亭、どの店舗も外観がやたらと洒落ており、店舗に加えて喫茶室も備えているので、旅行者の立場からするとついつい訪れたくなります。どういう思想でこうも建物がお洒落なのか調べてみたところ、道外に進出しない地域密着経営の中で、「店舗の佇まいが地域の景観に入り込むように」というのが目的だそうです。なるほどなるほどと頷きながらバターサンドをお茶請けにコーヒーを啜るなどしていると、大分疲れも取れてきました。

 

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新製品バターサンド。チョコクリームが挟んであります。まいうーです。

 

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この日は帯広駅前のビジネスホテルに泊まることにし、チェックインを済ませてから夕飯と風呂に出かけました。帯広まで来たら豚丼だろうと、街をふらついていて目に付いたお店に突撃することにします。

 

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豚丼ぱんちょう。

 

かなり並んでましたが回転も早くて15分くらいで入れました。肉厚の豚肉がうまいです。バクバク食べてたら隣席の家族連れの幼女にガン見され、着丼待ちであろう彼女から「おいしーですか?」と尋ねられ、「めっちゃうまいよ」と返すなどしているうちにあっという間に食べ終わってしまいました。ご馳走様でした。なお、この後車で動くのでビールはなしです。

 

せっかくなので広い風呂に入りに行こうと、市内の温泉に繰り出すことに。

 

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温泉やよいの湯。広くて綺麗で快適でした。風呂では日ハムの試合が流れており、入浴客が皆揃ってテレビに見入っていたのが印象的でした。

 

風呂上がりにメロンソフトを食いながら帰路へ。日中の炎天下のオープンドライブが効いたのか、この日は宿について缶ビール一本飲んだらそのまま寝落ち。朝まで爆睡となりました。

 

続きます。

コペンローブ、北海道に行く。その3。

3日目。2016年の8/6(土)。快晴。


セイコーマートで適当に朝食を調達し、弊社北海道支店のポストに東京土産をぶち込み、6:00に札幌を出発します。セイコーマート、北海道効果なのか何なのか、おそろしいことに何食ってもうまいです。おまけに値段も安い。100円パスタが種類も豊富でお気に入りです。


国道275号を北東方面へ。


石狩川にぶち当たったところで国道12号に合流し、あとはひたすら岩見沢市を目指します。


よく晴れた早朝、だだっ広い車線の、やたら真っ直ぐな国道を走っていると、ようやっと北海道に来たという実感が湧いて来ます。おもしろいことに北海道、本当に道と道の間に街が点在しています。「あ、街に入った」とわかる瞬間がある。完全にRPGのワールドマップです。


待ち合わせの8:00。道の駅みかさに到着します。

 

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おやつを食べながら待っていると、待ち合わせ時間を1時間ほど過ぎた9:00ちょっと、新山がやって来ました。ウチの地元では2時間までの遅刻は遅刻と呼ばないので、特に追求せず合流。遅刻の理由は聞いたけど忘れました。ツーリングマップルを開き、改めて道順を確認します。

 

ちょっと迷いましたが、新山を先行させて出発することにします。ダッシュ力のあるバイクに対し、コペンが前じゃ初速が出ずに詰まっちゃうので…。

 

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※荷物が満載の新山のCB400

 

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※休憩で寄った道の駅たきかわのりんごジュース

 

旭川から国道237号線を南下。

 

美瑛を経由して富良野に向かう、通称富良野国道は、息を飲むような美しさでした。

 

 

パッチワークのような丘を縫って走り、15:00頃に、上富良野、日の出キャンプ場に到着しました。

 

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※ここをキャンプ地とする!

 

入場料500円のみのフリーサイト、近くにコンビニあり、設備もきれいという、北海道によくあるチートキャンプ場です。車で20分程山を登ったところに白銀荘という温泉もあるので、設営を終えて空になったコペンの助手席に新山を積載し、何の遠慮もなしに道路に飛び出してくるキツネにビビりながらワインディングを駆け上がり、入浴。帰りにコンビニで食材と酒をバカ買いし、待ちに待った宴を開始します。

 

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寝る前、芝生に直に寝っ転がって星空を眺めていると、流れ星がバンバンバンバン降ってきました。何かの冗談のような光景。

 

続きます。