ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

Fullertone Guitars TELLINGS 52 1P Ash Rusted Butter Scotch Blonde.

Fullertone Guitars TELLINGS 52 1P Ash Rusted Butter Scotch Blonde.


フラートーンのテレキャスタータイプ。1ピースの板ボディーに丸太みたいなネックがくっ付いた、野太刀みたいなギターです。

 

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兎にも角にも音が太いです。

 


Fullertone Guitars TELLINGS 52 1P Ash Rusted

 

フロントは元より、リアなど言ってしまえば手持ちのレスポールより太いと思います。比較的ロー寄りの、重心の低い音がしますが、トーンをフルアップにすると高域もちゃんと出ていて、よくある言葉ですがレンジの広いギターだと思います。アッシュボディーの特性でしょうか。


巷でよく言われるように、このタイプのテレキャスターは同じフェンダー系のシングルコイルよりむしろレスポールに近いイメージがあって、使い分けにも自ずとその傾向が出てきます。繊細でニュアンスを重視したいときにはストラト、太さを出したいときにはレスポールテレキャスターという区分をしており、その中でジャズっぽかったりディストーションだったり、ドッシリ目のフレーズのときにはレスポール。ライトなソロギターや、クランチ程度の歪みのときにはテレキャスター、という風に持ち替えることが多いです。


音色の傾向としては、フロントはテレキャスターの方が、リアはレスポールの方が高域が目立つ印象があり、この辺り何故そうなるのか自分でもよく分かっていません。セッティングの問題もあるかと思います。レスポールはリアをわりと高め設定してるせいかな…。


丸めの音が好きなのでミックスポジションはあまり使いませんが、コンプとコーラスを薄っすら掛けてチャキチャキとカッティングすると、山下達郎向井秀徳っぽくなって非常に楽しいです。そのままソロ弾いても十分存在感があります。というか、ミックスでもそれなりに太いんだよなこのギター…。


無骨な見た目に反して、意外と万能選手でもあります。


音の太さはボリュームツマミでコントロール出来る上に、レスポールっぽい音も出せるし、後ろに下がりたければミックスポジションでミドルを控えめにすればいいという、かなり守備範囲の広いギターです。一本だけにエレキを絞れと言われた場合、多分かなり悩んだ挙句、私はこいつを残すと思います。普通に考えたらタイラーがその枠ですが、私の場合ディストーション以上の歪みを滅多に使わないので…。


今でこそストラトレスポールがそれぞれ手元にあるので出番が減りましたが、2017年から2018年の2年間はひたすらテレキャスターばかり弾いてました。お気に入りです。



ボディーはライトアッシュの1ピースボディー。めちゃくちゃ軽いです。本当に3.0kgあるのかこれ?

 

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薄っすら見える緑の木筋が扇情的です。

 

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レリック度合いは上から2番目のRusted。ど迫力です。

 

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ネジは全部プラス。「いやーマイナスネジじゃないのかー」とか思ってましたが弾いた印象があまりに良くて、そんなこたああっという間にどうでもよくなりました。

 

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ネックは太めですが、フェンダーカスタムショップのノーキャスターみたいな極太ではありません。59タイプのレスポールよりやや太いかな、くらいです。メイプル1ピースネックの無骨な色気…。

 

※フラートーンの指板はコンパウンドラディアスらしいです。190-225mmRらしいのでインチで8〜9Rくらい?

 

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TGと鉛筆で書き込みたくなる。

 

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ピックアップはリンディー・フレーリン。TELE SETとタグが付いてますが、フラットポールピースなので多分BROADCASTER SETだと思います。

 

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ツマミはフェンダーアンプ用のハットノブに換えてます。以前使っていたフェンダーの60’sテレも同様でした。マディー・ウォーターズ及び広能昌三氏のパクリです。これのおかげで頻繁にツマミを弄るようになったので、何事も真似してみるもんだと思います。

 

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電装系は、オレンジドロップのコンデンサと、AカーブCTS250KΩのポット。手持ちギターのポットは今んとこ全部CTSですね…。



購入日は2018年5月5日。


クロサワ楽器の御茶ノ水中古店にて、ゴールデンウィークの日替わり目玉商品として特価で売りに出されることが分かり、朝も早よから車を飛ばして開店30分前から店頭で待機、開店と同時に飛び込み、そのまま購入に至りました。


このギター、店頭で見つけたのが2017年暮れで、買ったのが2018年5月と、発見から購入まで半年程掛かっており、「良いモノはすぐ買わないとさっさと売れて二度とお目にかかれない」傾向にある楽器界隈からすると、我ながらよく手に入れられたなあと思う買い物でした。


当時、アッシュボディーにメイプル1ピースネックのテレキャスターを求めてふらふらと御茶ノ水を彷徨っており、そこで見つけたのがこいつです。


メインギターが、ES-335から軽さを求めてテレキャスターに移行しており、ほぼ丸一年あれやこれやと弾き倒していましたが、弾き慣れてくるとだんだん欲も出て来まして、「もう少し太さがほしい」と所謂52タイプのテレキャスターに興味が芽生え始めてきました。


当時使っていたのはFender USAのFSR American Vintage 60s Telecasterという所謂アメビンの60年タイプで、これはこれで気に入ってはいたんですが、ネックが比較的薄めであり、テレキャスターのイメージが「太くて芯のある音」に変遷していくにつれて、より厚めの、好みのネックシェイプを求めるようになっていきます。フェンダーフェンダーで不満はなかったのですが、


「アッシュのテレで良いのがあれば…」


という思いは日に日に増してきており、御茶ノ水に行くたびにあれこれ物色する日々が続いていました。

 

はじめに試したのは、フェンダーカスタムショップのノーキャスター

 

店頭にあるカスタムショップのテレキャスターがなぜかノーキャスターモデルばかりで、「なんで52より多いんですかね?」と訊いてみたところ、「52タイプはレギュラーモデルでも出ているし、ノーキャスターは本物の数が極端に少ないので、その反動じゃないですかね」とのこと。あくまでショップ店員さんの談ですが…。


ノーキャスター、今まで触ったどのギターよりもネックが太く音もローがビンビンに鳴るギターで、「これ使いこなせたら面白いだろうな」とは思ったものの、「すでに一本持ってるテレキャスターに買い足す」ことを考えると踏ん切りが付かず見送り。以降、これを基準に52タイプのテレキャスターを物色するようになりました。


次に見つけたのがフェンダーUSAのレギュラーラインの中古で、52モデルかつボディーがコリーナという珍モデル。


これにはかなり惹かれまして購入直前まで行きました。4.0kgもあって重いものの、「フロントハムか?」と思うほど太く暖かい音。今思うと相対的にハイが足りなかったとも思いますが、「ローがバリバリ出るテレキャスター」が欲しかった当時の自分にとっては求めていたイメージに近かったです。ネジがマイナスで統一されてる辺りも何ともテンションが上がります。バタースコッチは色合いも個体によって結構異なりますが、ボディー色も薄めのイエローで好みでした。


余談になりますが、その後レスポールのサブとしてPRSを物色し始めたときも、一番琴線に触れたのはコリーナボディーの個体でした。custom24とマッカーティー、どっちも触ったんですが、ミドルが強い上に抜け感もあってよかったな…。コリーナのギターはいつか一本欲しいものです。

 

ともあれテレキャスターです。こりゃ行くべきか? と思いつつも決断を後日に持ち越して退店。ついでに他の店も見て帰ろうかなと寄ったクロサワの中古店に、こやつがデデンと鎮座していました。

 

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フラートーン。ミュージックランドKeyのショップブランドで、トラッドギターのレリックタイプを作る国産メーカーの中ではズバ抜けて良いという評判は聞いていました。未使用中古が入荷してきたようです。

 

触らせてもらったところ、レンジの広さにビビりました。

 

さっきのコリーナテレはかなり重心の低い音でしたが、こいつは上から下までゴリゴリに鳴ります。暴れに暴れる感じ。戸惑いましたが気持ち良さもひとしおで、どのみちトーン絞るなら、フルアップのときは帯域が広い方が使いやすいんじゃないかと思うに至ります。

 

そのまま連れて帰ろうかと思ったものの、完全に予算オーバーだったのでその場は断念。さっきのコリーナテレより10万円以上高いです。まあ、テレキャスター自体は手持ちのフェンダーがあるし、フラートーンならどうしても欲しくなったタイミングでKeyに行けば新品が買えるだろうと、一度は諦めるに至りますが、この後もしばらく店に立ち寄っては眺める日々が続くことになります。

 

後日、渋谷のKeyで新品を試奏させてもらって「アンプの問題か個体差か、印象良いのはこないだの中古の方」となったり、手持ちのフェンダーを弾いて「やっぱりしばらくこれでいいや」となったり、右往左往していたところ、ある日、店頭から例のフラートーンが消えていました。

 

「さすがに売れたか…」

 

まあ諦めるきっかけもなかったしちょうどいいやと思っていたのですが、そうは問屋が卸しませんで、後日店に立ち寄ると奥に普通に吊られていました。

 

「ちょままま、これって売れたんじゃ」

「あーこのフラートーン、連休の目玉商品で出し直す為に一回引っ込めてたんですよ。明日この値段で店頭に出しますけど、お客さん、よく見てましたよねこれ。いかがです?」

 

もう少し早く売れると思ってたんですけどねー、と話す店員さん。多分未使用中古ってことで、新品とそんなに変わらない値段で売られていたことが原因だと思います。

 

その日は退散するも、大分テレキャスターに慣れてきたこともあり、「そろそろいいか」「これも何かの縁」と思い購入を決意。悩んだ挙句、完全にテレキャスターに移行しきった為69年製ES-335を下取りに出し、翌日購入と相成りました。

 

 

「これ使いこなせたらかっこいいよね」ギター自分の中で第1位はバタースコッチのテレキャスターであり、「板っきれに棒が引っ付いただけのようなこれ以上ないこざっぱりした見た目」ながらもいろんな音が出せる点という点が、他にない魅力だと思います。

 

レスポールストラトはノブなりピックアップも多いしで、そりゃ多彩な音が出るのは分かるんですけど、テレキャスターはこれですもんね。

 

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シンプルイズザベスト。

 

今後はフロントクリーン以外、ミックスやリアも上手く使っていきたいと思います。

 

<追記>

ブリッジの交換を考え始めたので弦間ピッチを測定したところ、ブリッジ上10.8mmのようでした。マスタリーブリッジのM3が適合するのかどうなのか気になっています。

James Tyler Japan Studio Elite HD Custom Blue Shmear Edition #1.

James Tyler Japan Studio Elite HD Custom Blue Shmear Edition #1.


意地と気合いと憧れで手に入れたジェームズ・タイラー。日本製のスタジオエリートです。

 

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James Tyler Japan Studio Elite HD Custom Blue Shmear Edition #1.


一言でいうとじゃじゃ馬です。


クリーンはハイの成分が多いカキッとした音で、ミッドブーストをオンにするとさらにその傾向が増します。フェンダーギブソンのように程よい雑味と濁りがあるというより、クッキリハッキリとしたクリアな音で、かと言ってSuhrのようにまとまりのある音でもなく、高域が暴れる、言ってしまうとピーキーな音です。


リアの歪みも同様で、アルダーボディーのボルトオンギターのイメージ通り芯はあるものの、レスポールのように低域高域がよく出力される暴れん坊具合も目立ちます。


「暖かくて雑味のあるクリーントーン」が好きな自分にとっては正直扱いにくいギターなんですが、長年憧れだったJames Tylerなのでそんなこたあどうでもよく、手持ちのギターと明確にサウンドキャラクターが異なるタイラーはこれはこれで面白くて、たまに持ち出して使っています。お気に入りです。


使える使えないを理性の端に追いやって、憧れ一発で手に入れたギターです。

 


この手のギターを買ったのは初めてだったので、一通り弾いた後は即効バラしにかかりました。

 

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安定のタイラー弁当箱ザグリ。黒い部分はノイズ対策の導電塗料でしょうか。

 

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Studio Elite HDなのでハムキャンセル用のダミーコイルは入ってません。フロント・センターはノーマルのシングルコイルです。ピックガードの銅箔テープによるシールディングは電装部品の載っかってる箇所のみ。

 

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ボリュームポットはCTS500kΩのAカーブ、トーンポットはCTS250kΩのAカーブ。

 

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ネックジョイントプレートは二重になってます。ツイッターで聞いてみましたが、音響狙いというより単にネジ穴の保護が目的じゃないか、との意見が多かったです。

 

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ストリングガイドはありません。代わりにペグシャフトの高さでテンションを稼いでるようです。Suhrもそうですよね。ちなみに指板Rは11だそうです。

 

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購入時ブリッジはフローティング状態でしたが、買って半年程経ってからベタ付けに調整し直しました。ストラトのスプリングをRaw Vintageの5本張りに換えたときに余ったやつを2本追加。生鳴りの音量は増した気がします。フェンダーは購入以来ずっとベタ付けですが、タイラーは気分でフローティングに再調整しようかとも思ってます。

 

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上が購入時、下が調整後です。

 

ボディー材はアルダーです。出来れば噂のマムヨが欲しかったんですが、たまたま印象が良かった個体がアルダーだったので…。ただまあ塗りつぶし塗装ということもあって、ボディー材にはあんまりこだわりませんでした。

 

リアピックアップだけはその内ブラックのRetroにでも換えようかと画策中です。本当はリアハムは黒が好きなんですけど、これまた印象が良かった個体がこれだったので…。



James Tylerを初めて知ったのは2013年頃で、下記の動画の人が使い始めたのがきっかけでした。

 


Amagami SS OP i Love on guitar


すげーヘッドロゴ…。


元々フィンガーピックのソロギター野郎だった自分にとって、スタジオエリートに代表されるタイラーは本来縁遠いものでしたが、「クリーン主体のジャズ系の方がソロギターで使い始めた」ことはインパクトが多大であり、「エレキに行くならタイラーほしいな」はこの頃すでに刷り込まれていたことになります。


それから4年。


がっつりエレキを弾くようになり、苦手だったリアハムディストーションにもちょっとずつ手を出すようになってしばらく。「歪みの音はセットネックよりボルトオンギターの方が好み」ということに段々気づき始め、そうなると漠然とした憧れを保ち続けていたJames Tylerを楽器屋で見かけるたびに、以前に増して目で追うようになってきました。


さらに後押しがあったのは、年が明けた2019年。会社で上司から別室に呼ばれ、何だ何だと身構えていたら果たしてそれは昇格の内示で、そのとき私は職責が上がるプレッシャーを感じるより先に「4月にいくら給与が上がるか」の計算を始めており、部屋から出る頃には「これはいける」との確信を得ていました。現金なものです。


かくして2019年初頭。真冬のSSHスーパーストラト探しの火蓋が、静かに切って落とされることとなりました。



仕様については、わりと早い段階で、James Tyler Studio Elite HD、ミッドブースター付、メイプル指板までは絞り込みが完了しました。


なんでかというと、あれこれ触った限りタイラーはどのモテルでも「音が硬めでハイがよく出る」という傾向がそんなに変わらなかったからです。


USAのClassic、3シングルでブースターなしのモデルでも、もっとフェンダーっぽいのかと思いきや所謂タイラーの音がしました。それならいっそタイラー独自のモデルであるStudio Eliteにした方が買う意味があると思うに至ります。ノーマルのSSHなら改造G&Lが手持ちにありますし。


そうなると今度は、フルオプション仕様であるStudio Eliteか、ミッドブースターのみの仕様であるStudio Elite HDか、ミッドブースターもオミットされたStudio Elite HD-Pか、はたまたBurning Waterと、どれにするかなんですが…


最初に試奏したタイラーが、よくわからないまま触ったフルオプションだったんですよね。正直ツマミが多過ぎて扱いきれる自信がなかったのと、フルオプション独自のクォーターパウンドポールピースのせいなのか、HDに比べて音が繊細な、言い方を悪くすれば細く感じました。かといってHD-P、ミッドブースターオミットの仕様も、「どうせタイラー買うならハーフトーンでクリスタルクリーン出したい」という思いから除外。結果的に、現行でスタンダードな仕様であるStudio Elite HDに狙いを定めるに至りました。

 

ちなみに、Suhrやトムアンにする選択肢は途中から消えていました。兎にも角にもタイラーが欲しかったようです。


あとはもう都内の個体を探し回るだけです。


他に迷った要素は、「キルトトップかシュミアーカラーか」「USAかJapanか」「ローズ指板かメイプル指板か」なんですが、結果的には全部後者に落ち着きました。


ブルーバーストのキルトトップには阿部学さんの影響で憧れがあったんですが、結局自分で抱えてるイメージが付かず断念。一点だけ、JapanのRear Routeのブルーバーストの個体が池袋のイケベに現れたときはかなり心が動きましたが、見にいったときは売約済みでした。この個体とは後々ツイッターで再会。どちゃしこすこえるてぃ氏、超かっこいいです。


ローズ指板かメイプル指板かは、手持ちのギターに貼りメイプルがなかったことから後者を選択。USAかJapanかは、最終的に値段で日本製に決めました。買うならいっそ本家とも思ったんですが、値段考えると、触った印象がどれだけ良くても踏ん切りがつかず…


思いのほか弾がないなあと思いつつ、都内を放浪して数ヶ月。


2019年3月上旬、渋谷のギターズステーション、池袋のイケベロックハウスに入荷したUSAのシュミアーカラーを試奏するも「100万かあ」と思うとどうしても踏ん切りがつかず、最後にもう一件と、渋谷ミュージックランドKey渋谷店に立ち寄り、しばらく在庫されていたシュミアーカラーのJapanを改めて見物。「あれ…?写真よりかっこいいな…」と思い、試奏を申し出て2秒後、購入を決意するに至りました。


こういうのは握って音出したときのファーストインプレッションが一番ですね…。

 

 

最後に。タイラーの特徴であるミッドブースターですが、フロントクリーンを使うときは基本オフにしてます。オンにすると張り過ぎた音になって扱いにくくなる印象がありますが、オフにするとニュアンスが出しやすくなるので「ちょっとクリアなストラト」くらいのイメージで使えて気に入ってます。

 

ディレイとコーラスを掛けまくった所謂クリスタルクリーンを出すときは、ミッドブースターもオンに。音の芯が増すので、線が細くなりがちなエフェクティブな音にはよく合います。

 

歪みの時は気分でオンオフにして使ってます。出来れば、リードを弾きながらボリュームを弄っていって、フルアップにしても足りないときにミッドブーストを上げていく粋な使い方をしたいもんです。

 

憧れ一発で手に入れたギターですが、おかげで少しは幅が広がった気がします。ブースターの使い方に慣れてきて、金銭的にも余裕が出ることがあれば、フルオプションのブルーバーストやら、SSHのClassic(ブースターなし)やら、ピックガードレスのRear Routeやらにも手を出してみたいと思います。

 

※追記になりますが、タイラージャパン、ケースがかっこいいんですよね。溢れ出るウェポン感

 

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Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue).

Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue). 


探しに探し歩いて手に入れた、念願のフェンダーストラトキャスターです。 

 

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バランスの良いギターです。引き締まった太さで、ローがボーボー言わず、弾いていて気持ちがいい雑味のある倍音感があります。ツマミの反応も良く、ボリュームを絞ればスッと音が引いて、トーンを絞ればハイが丸まって、聴覚上の太さが増します。 

 


Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue)


スペックは所謂普通の60ストラトで、指板のRは9.5R。フレットはミディアムジャンボ。木材はアルダーボディーにメイプルネック、ローズウッド指板で、リアにトーンは効いてません。重量は3.39kg。ストラトの中じゃ軽い方だと思います。


こいつの特徴は、センターピックアップの音がやたらと良いことです。


それまでストラトのセンターというと、比較的リア寄りの、高域が暴れるチャキチャキした印象があったんですが、こいつは輪郭のクッキリしたフロントのような、何とも扱いやすい音がします。おかげでトム・ミッシュごっこが捗ってます。カッティングが楽しい。


センターのおかげかハーフトーンも良くて、前に出過ぎないけど音量感のある、クリーンでソロを弾いてるときに切り替えても違和感のない汎用感があります。アルペジオやカッティングに至っては気持ち良くて悶絶しそうです。


リアは未だによくわかっていませんが、テレキャスレスポールが手持ちにあるので、ストラト独特のチャキチャキしたリアは、これはこれでいいと思います。音がダブ付きがちな低音弦を駆け上がるフレーズのときにでも、スッと切り替えて混ぜ込んで行きたい。


フロントは言わずもがな。太さを保ちつつスッキリしているので、使い勝手が良いです。

 

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ポットは3つともCTSのAカーブの250kΩ。コンデンサは調べたんですけどよく分かりませんでした。見た目はオレンジドロップみたいなやつです。


ピックガード裏にはノイズ対策のアルミシート貼り付け済。元からなのか改造なのか。


配線もやたらときれいなので、ひょっとしたら一度どこかのショップで手が入ってるんじゃないかと思っています。この配線がアメリケンの仕事とはとても思えない(偏見)。

 

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あちこちに刻まれたシリアルやらRELICの刻印やら。キャビティーの中に「SONIC BLUE」とボディーカラーが刻まれているのは、見つけたときにちょっと嬉しくなりました。この色がほしかったので…。



私は、好きなギタリストのトップ3がクラプトン、ジョン・メイヤー、トム・ミッシュの3人で、全員いろんなギターを使っちゃいますが、メインが何かと聞かれたら誰もが満場一致でストラトと答えると思います。それもフェンダーの。


そんなわけで、それまでG&Lとフジゲンのストラトタイプを使っていた私も、2018年夏、「いい加減フェンダーほしい」の欲望がとうとう抑えきれなくなり、水面下で物色を開始しました。


結論から言うと、あれこれ弾いて辿り着いたのは以下のような個体でした。


①フロントの音が太過ぎず細過ぎないこと

ハーフトーンの印象が良いこと

③指板が色の濃いローズウッドであること

④ボディーがカスタムカラー(出来れば青系)であること

⑤レリック加工が好みであること

⑥スモールヘッドのフェンダーであること


①は、手持ちのFullertoneテレキャスターがガッツリ音の太いギターだったので、差別化を測りたかったのが理由です。

 
加えて2018年製のカスタムショップを弾いたとき、印象はよかったんですが、音があまりに太過ぎたことが気になりました。低域がこれでもかってくらい出まくってたんですよね。ストラトはもうちょっとスッキリしてた方がらしいかなとも思い、「ミッドはともかくローはそんなに出まくらない」個体を探すようになりました。指板の色もやたらと薄かったので飛びつけなかったのが結果的に良かったのかも。

 
逆に、当時御茶ノ水にやたらと入荷していたクラプトンのブラッキーレプリカ。付属品なしで特価の個体があったのでこれはと思い弾きに行きましたが、フロントの音が激烈にシャキッとしていて、これも結局見送りました。70年代当時のクラプトンのイメージに近いっちゃ近かったんですけど、さすがに自分で使うには音が細過ぎると思うに至り。ただあれ、使いこなせたらかっこいいだろうな…。

 

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続いて②。私の印象ですが、ローがガン鳴りするストラトって、ハーフトーンに切り替えた途端に音圧がガクっと落ちる傾向がありまして、「ハーフトーンに切り替えたとき違和感がない」はかなり重要視しました。センターとハーフトーンストラトならではの特徴だと思うので、これはやっぱり正解だったと今でも思ってます。


なお、2010年代前半のカスタムショップはこの辺りのバランスが良好な個体が多かったです。青がほしくてこの年代のシェルピンクのストラトを見送ったりもしたのですが、あれもジョン・スコフィールドみたいでかっこよかったな…。

 
③~⑥は完全に見た目の好みの問題ですが、「フェンダーストラト」に限っては吟味して買わないととにかく後悔しそうだったので、焦って買わず好みの見た目が現れるまでふらふら探し回ることにしました。

 
音だけで言えば、アルダーボディーにメイプル1ピースネックの57タイプもメチャクチャ良かったのですけど、青系のカスタムカラーが全然見当たらず候補から離脱。サンバーストの57タイプも、ブラウニーみたいでかっこよくて好きだったんですけどね…。

 

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うんうん唸りながら都内をふらついて2ヶ月。

 
9月も下旬になったある日、とうとうデジマートで見た目ドンピシャの個体を発見しました。

 
出物の在処は渋谷の中古専門店、ニコニコギターズ。宮益坂をちょこっと上がったビルの2階にあって、中に入ると、左手にカスタムショップのストラトがズラリ。右手にレスポールが壁一面にこれまたズラリ、奥にはタイラーやらトムアンやらPRSが陳列しているという、中々パワフルなお店でした。あと、店員さんに今風の若者がやたらと多かったのが印象的でした。どういう経営と雇用形態なんだろうあそこ。

 

果たして、目当てのダフネブルーの2018年製ストラトはそこにあり、比較対象として、見た目が好みだった2011年製のソニックブルーと一緒に弾かせてもらうことになりました。

 

ダフネブルーの方は新品同然で、弾いてみると、以前見送った2018年製の新品と同じく、ドッシリと太い音がしました。色合いも好みで、ローズ指板も黒々としたドンピシャのルックスだったので「これで決まりかな」と思いつつも、念のためもう一本ソニックブルーを鳴らしてみたところ、

 

「…………」

 

スッキリしてて扱いやすい音がしました。

 

以前、見た目が合わなくて見送ったシェルピンクの個体と同じ、バランスの良いフロントの音がします。しばらく弾いてからハーフトーン、センターに切り替えたところ、

 

「…………」

「いかがですか?」

「こ、こっちのが好みっすね…」

 

強いて言えば2018年製の方はリアにトーンが効く仕様で、2011年製はトラッドな仕様そのまんま。2018年製はトーンのツマミフルでもリアの太さが目立つ音でしたが、2011年製のリアのシャキシャキした音もこれはこれで楽しいです。太いリアならテレキャスターがあるし、こっちはこっちでストラトらしい気もします。

 

「どうされます?」

「い、いや、ちょっと、買うつもりだったやつよりよかったんで、一旦頭冷やしていいすか…」

 

などと判断を保留するも、一晩置いて考えてもソニックブルーの個体の方が扱いやすそうだったので、結局センターとハーフトーンの印象が特によかったことを理由に決断。翌日、持ち帰る気満々で車で渋谷に赴き、無事購入と相成りました。

 


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こいつのおかげで、演奏中にボリュームツマミを弄るようになってきました。

 

普段、Mad ProfessorのSweet Honey Overdriveをプリアンプ的に常時オンにしていて、「アンプをパンパンにした歪みかけのクリーントーン」みたいなものをメインの音にしているのですが、このストラトはその状態でボリュームをちょっとだけ絞ると、何ともクリアなクリーントーンが鳴ってくれます。そいつにディレイとリバーブをかけてソロでも弾こうものならもう気持ちいいのなんの。

 

音色が全体的にスッキリしているので、メロウな音がほしいときはレスポール、歯切れの良さがほしいときはストラトで使い分けてます。

 

出せる音の幅が広い上に軽くて持ちやすいこともあって、パッと手に取るギターといえば大体このストラトになっています。お気に入りです。

 

追記:トレモロスプリングはジョン・メイヤーっぽく5本掛けにしたかったのでRaw Vintageに交換済。ブリッジはベタ付け、クリーン主体なので弦高はちょっと高めにしてます。

Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul.

 

Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul. 

 
奥田民生モデルのGibson Custom Shop 1959レスポール。フィニッシュはVOS。シリアルナンバーは006。裏に御大のサイン入りです。

 
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フロントクリーンがやたら綺麗に鳴るギターです。

 


Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul

 
アンプをやや歪むくらいの爆音にして、ギター側のボリュームをちょいと絞って弾くと、抜けの良い、コツコツした音のフロントハムが鳴ってくれます。そのままトーンを絞ると所謂ジャズトーンになって、フルアップにすると吠え散らかすという、何とも手元のコントロールが楽しいギターです。フロントの音があまりに使い勝手がいいので、カッティングもボリューム絞ったフロントのままでやることが多いです。古いソウルの音がする。

 
フロントクリーン大好き野郎としては、太くて暖かい音がほしいときはレスポール、抜け重視のときはストラト、という使い分けで持ち替えてます。

 
歪みは、クランチでもディストーションでも結構ざらっと歪みます。レスポールらしい音。マーシャルに合うのがよく分かる気がします。

 

リアの音は比較的シャキッとしていて、歪ませた時の太さを求めてもう少し出力の高いピックアップに換えてもいいかな、と思っていますが、クランチくらいだと気持ちがいいのでもうしばらくはこのまま行こうと思います。

 

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仕様の特徴は、57classicが載っていること(この時期のカスタムショップはカスタムバッカーが主流)、ジャックプレートが金属パーツになっていること、ブリッジのリングがダブルになっていること。金属パーツ関係は奥田民生所有のモノホンと同様だそうです。その他の細かい仕様は、多分ですが2014年のヒスコレと同じじゃないかと思います。

 

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こいつの発売が2015年で、2015年というと5月にヒストリックコレクションからトゥルーヒストリックに切り替わった年なんですよね。開発自体には数年かかってるみたいなので、多分これ、最後のヒスコレに準じた仕様なんじゃないでしょうか。

 

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改造点はないですが、強いていえばテイルピースを裏通しに、所謂トップラッピングにしています。完全に見た目の好みの問題です。プラシーボかもしれませんが、心持ち音がポコポコしてきて、どことなくES-335に近づいた気がして大変満足しています。

 


購入は2016年1月。漢の36回フルローンです。

 
発見したのは2015年の師走、クリスマス商戦真っ只中。当時手元にはストラトテレキャスがあり、となると次はやっぱりレスポールが気になるなあと思っていたちょうどそのタイミングで、御茶ノ水を歩いていたらこいつがドドンと店頭にディスプレイされていました。

 

こんなんが出てたのか…。


当時の自分にとってギブソンギターといえば誰よりも彼よりも奥田民生で、レスポールスペシャルの民生モデルの中古出物でもあればなあ、なんて思っていたところでまさかの59バーストの発売です。しばらくウィンドウの前で突っ立ったまま呆けてしまいました。

 
明けて2016年。

 
気持ちが冷めやらぬままふらふらと御茶ノ水を彷徨っていると、VOS、Aged共に結構な本数があちこちの店舗に置いてあって、どれもかっこいいなあと思ってるうちに気が付けば「どれを買うか」という思考に陥っていていました。とは言っても半端な値段じゃないので、レギュラーラインのトラディショナルやTokaiのハカランダモデルと比べたりもしてみましたが、見た目が圧倒的にかっこいいのは本家カスタムショップのレリックタイプで、どうせカスタムショップ買うならこの時点じゃ民生モデルしか選択肢がありませんでした。

 
音の違いは当時じゃ正直よくわかりませんでしたが、強いていえばカスタムショップのレスポールの方が「凶悪な音」がした記憶があります。

 

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最終的には、G’CLUB TOKYOにあったVOSの個体に決めました。かなり弾き比べたのですが音の違いも感触の違いもよく分からなかったので、「御大本人がふらっとやって来て、弾いたついでにボディー裏にサインして帰っていった」という個体が、弾いていて一番テンションが上がりそうだったので、レスポールが気になったタイミングでこれに会ったのも何かの縁だろうと思い決断。個人情報を紙に書いてちょろちょろっと電話を済ませ、無事お持ち帰りとなりました。今でも忘れもしない、1月下旬の雪の日です。

 
このときいろいろ教えてくれたG’CLUB TOKYOの藤川さんはその後もエレキ素人の私にいろいろと教えてくれて、「アンプのボリュームはガン上げにしてギター側でコントロールしろ」「ギブソンはトーンをガン絞りにしても面白い」「ボーナス時期はウチに寄れ」とたくさんの役に立つ情報を聞くことが出来ました。感謝してます。なおこの後この言葉の通りここで335を買うことになります。

 

当時の腕前的にも予算的にも、かなり背伸びをして買ったレスポールですが、今では大分操り切れるようになってきてほぼメインと化しています。ギターで加入した3020 SOULSでは、太いメロウな音がほしくて完全にファーストチョイスになっています。

 

3020 SOULS - The Light by ロンリーポップ.records on #SoundCloud

 

 

3020 SOULS - Marvel by ロンリーポップ.records on #SoundCloud

 

 

良くも悪くも、こいつを買ったことで人生が思いっきりギター寄りに傾いた感があり、こいつを買っていなければ多分この後大量のギターを買い足すこととなかっただろうし、ここまで毎日ギターを弾くこともなかっただろうし、2016年から腕前も大して変わってなかっただろうと思います。何とかこいつは墓場まで持っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

コペンローブ、北海道に行く。その9。

9日目。2016年の8/12(金)。晴れ。


日付が変わる少し前。


間も無く着岸するので車へ乗り込むようにとのアナウンスが流れ、雑魚寝部屋でのうたた寝から叩き起こされました。

 

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絞ったら疲れがドバドバ溢れそうな、ボロ雑巾みたいな体を引きずってコペンの元まで辿り着き、運転席に乗り込みます。現在地は陸奥湾内の青森港付近。あとはもう兎にも角にも帰るだけです。


0:00。日付が変わる同時に青森港に着岸。上陸します。


半端に寝たせいか、疲労と眠気が一気に溢れてきました。北海道に着いてから、途中で昼寝はしているものの早朝から晩まで走り続けてもう7日目です。適当なコンビニで夜食を仕入れ、仮眠。体力の回復を待ってから再出発します。


未明、青森インターから東北道に乗り、以降は東北道をひたすらに南下。無事帰路につきました。


走行距離約700km。青森からの東北道走破は今まで計3回経験しましたが、まあひたすら真っ直ぐで、何もない景色が続きます。急ぐ理由もないので、屋根を閉めてのんびり走りながら、道中つらつらと、今回の旅行を振り返っていました。


結論から言って、走行中の景色が一番思い出に残っています。


岩見沢の晴れた国道、パッチワークの丘の花畑、霧の中の釧路湿原。早朝のオホーツク海を臨む国道239号線、エサヌカ線の水平線、宗谷岬間近の丘の道。オロロンラインの直線と、ニセコパノラマラインの緑と青……。


今でもよく覚えているのは、この辺りを走行中のふとした景観です。到着した場所の景観は、写真を撮ってるので後で見返して記憶に残るんですが、走行中や信号待ちの、何でもない情景がいつまでも頭に残り続けることがあります。


一体何が鍵になって頭に刻み込まれるのか、いろいろ考えてみたんですが、一番は「遠くに来てしまった感」だと思います。


子供の頃、RPGで終盤のダンジョンが無性に好きでして。出発点から物理的または概念的に「遠い」場所のマップを散策してるときが、一番ワクワクしていた記憶があります。ゼノギアスの雪原アジトとか、クロノクロスのタイムクラッシュ爆心地とか、FF9の記憶の場所とか、スパロボαの雷王星付近とか深宇宙ステージとか。


一方現実はというと、子供の頃なんてそうそう遠くまで行けるもんじゃありません。東京に出るのさえ自分にとっては大遠征で、一度家族に連れられて渋谷のNHKスタジオに行ったとき、「とんでもない大都会へ来てしまった」とソワソワしたことをよく覚えてます。他にも、自由研究の為に上野の博物館へ行ったついでに秋葉原をふらついたとき、都内のどこかの児童図書館に連れていかれたときなど、「自分の生活圏の外に出た」ときの映像は、わりと鮮明に覚えています。


子供の頃は行けなかった「遠い場所に行きたい」というのが、どうも自分の原体験としてあるようです。


旅行は根本、この原体験の感覚を追いかける為にやっていると言ってよく、「チェックポイント到達と移動そのもの」が目的で、逆にいうと現地で何をするという目的意識が欠けているのが現状です。


今後は行き先の背景を調べて、もうちょっと現地そのものを味わって帰りたいと考えてますが……、今のところこの旅行はこれはこれで満足しています。地図を塗りつぶして行く感じ、自分のテリトリーをゆっくり広げていっている感じが、自分にとってはとても好きです。


15:00頃、無事自宅に到着。

 

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ガソリンスタンドの高圧洗浄機を使って洗車を済ませます。洗車完了までがツーリング。その足で駅前に出向き、惣菜とビールを買い込んで、事故なく帰還できたことを祝って一人宴を開始します。


コペンを買って以来、いつか行こう行こうと思っていた北海道ツーリングですが、2年目で達成できました。人生やったもん勝ち行ったもん勝ちなところあるよなあ、というのが、この車に乗り始めてしみじみ感じていることです。これからもなるべく、行きたいところには行っておこうと思います。



最後に。これをオチにするのもどうかと思うんですが、自省の為に書いておきます。この旅行中、私は警察のご厄介になりました。罪状は北海道の敵、スピード違反です。


場所はオロロンライン、たしか留萌手前の市街地に入ったところだと思います。


以前書いた通り、北海道は街と街が離れて点在していて、走り続けていると「今街に入った」とわかるポイントがあります。ここが問題で、街の間が大抵60km制限、街に入ったところから50km制限、となっていることが多いのですが、私はこれをボケっとしていて見逃しました。後ろからスピーカーで止まれ止まれと声がして、パトカーがやってきます。


「おにーさん旅行中?  いやー僕が捕まえた中で一番遅かったんだけどね。17kmオーバー。15km以上だとさすがにねー」


全く嬉しくない言葉ですが、言っても詮無いことなので大人しく切符を受け取ります。街に入ったところでスピードを落とす。分かっちゃいたのですが、完全に気が抜けていました。

 

まあ逆に、この経験のおかげと言ってはなんですが、これ以来殊更に道路標識を気にするようになりました。一時停止はもちろんのこと、速度制限標識をよく見て、街中に入ったときには意識してギアを一つ落とし、アクセルを戻す癖がつきました。おかげさまで警察のご厄介になったのは今のところこれが最後です。


後日、新山さんと互いの北海道旅行報告会の最中にこの話をしたところ、


「あー、そういう経験あるとやっぱり運転変わるよね。……おれもちょっと考えようかな」


後日、奴のシルビアにはレーダー探知機が取り付けられていました。「あるとやっぱり気をつけるようになる」とのことです。皆さん、安全運転でドライブを楽しみましょう(自省)。


終わります。

コペンローブ、北海道に行く。その8。

8日目。2016年の8/11(木)。晴れ。


6:00起床。コペンの運転席で目が覚めます。北海道最後の夜くらいまともな宿に泊まった方が、とも思いましたが、中々どうして熟睡できました。洗顔と歯磨きを済ませて出発します。


この日は、ニセコを経由して函館へ。津軽海峡フェリーで青森に渡ります。北海道最後のドライブです。


函館本線に沿って走る国道5号で、小樽市から余市町へ。ニッカウヰスキー余市蒸溜所は車のためスルーします。ウチの会社、若干の縁がないわけでもないので、いつか機会があれば再訪したいところです。


ニセコパノラマライン経由で、日本三百名山の一、ニセコアンヌプリを越えます。この道が絶景でした。


走行中なので写真がないのが残念ですが、ニセコパノラマライン、エサヌカ線に続いてもう一度走りたい道の一つです。緑の森を駆け上がって、一気に空が広がる道。気持ちよかったな…。

 

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8時、道の駅ニセコビュープラザに降りてきました。麓から臨む羊蹄山。壮観です。蝦夷富士の別名は伊達じゃない。

 

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朝早すぎて店がどこもやってません。しばらくフラついて時間を潰します。

 

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地元牧場の牛乳を使ったソフトクリーム。濃厚です。


長万部に抜け、内浦湾沿いをひた走り、昼過ぎに無事函館に到着しました。フェリーは20:15発なので大分時間がある為、のんびり観光を済ませます。


函館市、地理的にもかなり特殊な位置にあり、歴史も古い街なのでここだけでも数日使って回れそうです。漁業、工業、観光を意図的に発展させようとしたところから、岡山県倉敷市にも通じる街自体のおもしろさがあります。そういえばアニメ・ノエインの舞台が函館でした。ヒロインを演じた工藤晴香、当時弱冠16歳だったとか。くどはる可愛いよくどはる。

 

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六花亭五稜郭店。

 

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今朝方会社に届いたバターケーキが好評だったようなので買い足しに来ました。自分用にも追加で購入、帰路のおやつにします。しかし、六花亭はホントどこの店舗も瀟洒ですね…。


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五稜郭公園。


五稜郭戊辰戦争最後の戦いである箱館戦争の舞台です。天気もいいので、ベンチで缶コーヒー片手に休みながら、ウィキペディア戊辰戦争の概略を眺めます。

 

……五稜郭は江戸末期に箱館奉行所として建てられるも、僅か2年後に大政奉還により幕府が終結五稜郭は新政府の箱館府政庁として使われ始めます。が、実務上の政治中枢が徳川慶喜から変わらないことに不満を持った倒幕派がブチ切れ、旧幕府側もキレ返し、新政府と旧幕府が対立。戊辰戦争が始まります。


鳥羽伏見の戦いで新政府軍が官軍で旧幕府軍が賊軍である認定され、徳川慶喜が江戸へ退却し、新政府軍の追撃軍と旧新撰組甲府で激突し(甲州勝沼の戦い)、江戸城から慶喜が撤退し(江戸城無血開城)、東北戦争で近藤勇が捕らえられ、板橋で斬首され……、舞台は箱館戦争に至ります。


江戸から北上した旧幕府軍が函館に上陸、五稜郭を占拠。北上の目的は、減封により食うに困った旧幕府軍が生きる為には「北方開拓の役を担うと嘆願する」……とのことだったとありますが、どうも旧幕府海軍の頭が戦艦を取り上げられそうになり、江戸開城後、そんな状況下で行ける場所が北しかなかった、というようにも読み取れます。当の幕府海軍の頭は榎本武揚土方歳三も同行しています。


旧幕府軍により函館政府が樹立されるも、新政府軍の追撃を受け、箱館戦争が開戦。新政府軍の軍艦との砲撃戦や函館市街戦を経て、榎本軍は降伏。五稜郭は再び新政府軍に引き渡された、という経緯のようです。これにて旧幕府軍の勢力がすべて陥落、戊辰戦争が終了します。名実ともに江戸時代の幕引きです。


なお、降伏6日前の函館市街戦で土方歳三が被弾し戦死しています。


……などというあれこれは一度調べたはいいもののすべて忘れており、今全部調べ直しながら書いてます。いざ調べると中々面白いんですが書かないと覚えないので、今後も旅行に行ったらその土地の特色やら歴史やらはなるべく調べて書き残していきたいと思います。

 

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好天の長距離オープン走行で火照っていた体を程よくチルアウト出来たので、風呂入って腹ごしらえといきます。

 

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函館乃木温泉なごみ。昼高いうちに入る温泉もいいものです。いいお湯でした。


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安全運転で帰ります。

 

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はこだてグルメガーデン。


駅前で海産物でも食おうと思っていたところで遭遇。賑やかだし面白そうだしここでいいやと、食べ歩きを開始します。

 

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サバーガー。鯖が入ってます。まいうーです。八戸のB級グルメらしいですが、新山さんが福井で似たようなものを食っていた気がします。ありゃサバサンドか…。

 

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味噌ラーメン。サイズ感がちょうどよかったので。日が落ちるとだいぶ涼しいのでこの温かさはありがたい。


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バンド演奏があったのでしょう。エフェクターボードが残されていました。このボードかっこいいですね…。EP BoosterにSoul Food、空間系はHall of FameのリバーブにBOSSのディレイとトレモロ、ピッチシフター。ギガディレイが凄みを出してます。


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函館山


旅行の締めに函館山からの夜景を見ようとやってきたはいいものの…ロープウェイが激烈な混み具合で断念しました。平日でこれかというレベル。ただまあ、坂から見下ろした街並みが十分綺麗だったので、夜景はまたの楽しみにとっておくことにして、いよいよ北海道から退散することにします。


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函館港、津軽海峡フェリーブルーマーメイド号。乗船タラップ。

 

函館山に登れなかった分早く着いたので、乗船手続きだけ済ませて車の中で寝てようと思ったところ、受付の方が一便早めてくれました。多謝です。


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ポールポジションに座するコペン君。

 


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青森港まで3時間ちょっとの船旅です。コペンを降りて船内に降り立った途端、どっと疲れが出てきました。丸8日間、朝から晩までほぼオープンで走り続けてきたので当然といえば当然です。ビールで一杯やりたい気分でしたが呑むわけにもいかないので、オランジーナで杯を乾かすことにします。


いやあ、よく走った。ホントに走った。北海道ほぼ一周したようなもんだもんな…。


オランジーナをぐびぐび飲み干して、雑魚寝エリアでちょっと横になった途端、吸い込まれるように眠りに落ち、気がついたら青森港に着岸していました。


次で最後です。

コペンローブ、北海道に行く。その7。

7日目。2016年の8/10(水)。晴れ。


7:00起床。北の果ての朝。


一番遠いところまでは辿り着いたので、あとはもうのんびり帰るだけです。遅く起きて、テントをゆっくり片付けてから出発します。帰るといってもここから3日かかるのですが…。


この日は稚内からオロロンラインを南下し、留萌を経由して、小樽まで向かいます。


快晴です。ふっつうに鹿が闊歩している道路を注意して進み、カアカア鳴きながら飛ぶ海鳥の下をくぐり抜けるように走って、日本海沿いをひたすら南北に走るオロロンラインに合流。あとはひたすら、留萌目指して走り続けます。ちなみにオロロンとは、海鳥であるウミガラスの鳴き声に由来するらしいです。オロローン、オロローンと鳴くとか。分かるような分からんような。

 

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幌延町、オトンルイ風力発電所

 

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オランダ・ラガウェイ社製の風車が28基、浜に沿ってひたすらに一直線に並んでいます。オトンルイはアイヌ語で「浜にある道」とのこと。事業主は、第三セクターである幌延風力発電。建設会社はJFEエンジニアリングで、現在は幌延風力発電の大半の株を所有。実質的な運営主体のようです。発電した電気は北海道電力に売電しているとのこと。

 

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記念撮影。


ちなみに、国内最大級の風力発電所宗谷岬ウインドファームが宗谷岬にあり、前日のうちに実は遠くから拝んでます。なんと風車57基。布引高原の33基より圧倒的に多いです。今度は近くまで行きたいと思います。こちらは豊田通商東京電力の合併会社、ユーラスエナジーホールディングスが事業主。風車は三菱重工製。やっぱり北電に全部売ってるらしいです。

 

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宗谷岬ウインドファームを臨む。


なお、この日は私にしては珍しく昼に食うものを決めており、留萌市の蛇の目寿司にて昼から寿司をぶちかます予定でいました。一回くらいは北海道で寿司を食べておこう、ツーリングマップルにも載ってたし間違いもあるまいと、コンビニで食うものも食わず頑張って走り抜けて来たのですが、……オチだけいうと、ランチの営業時間に間に合いませんでした。


思えばこの北海道旅行、現地らしいものを食べたのは、帯広の豚丼セイコーマートのコンビニ飯くらいです。このことを反省材料に、2019年の東北旅行では「マグロを食う」を最大目的に設定し、道中海産物を食いまくることになります。この頃はまだ風景がメインでした。


胃が完全に寿司になっていたので、近くのスーパーで惣菜寿司を購入。コペンの中で食いましたが普通にうまかったです。


さすがに疲れが出てきたのか、寿司を食べた駐車場でしばらく仮眠。起きたら思いの外時間が経っていたので、ここから小樽までは思い切って高速を使います。

 

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秩父別パーキングエリアでの貼り紙。「2時間毎」という表記に北海道を感じます。

 

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18:00頃、無事小樽市に到着しました。

 

夜景の街です。K-S1片手に、シャッタースピードを落としてバシャバシャ撮りまくります。

 

謎の飲食店街。適当にラーメンを食べて夕飯とします。

 

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小樽運河


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紅の豚で描かれたミラノ・ピッコロ社周辺の運河を思い出す。

 

適当に見つけた銭湯で風呂を済ませ、この日はコインパーキングで車中泊を試します。風呂にさえちゃんと入れば、コペンでもそこそこぐっすり眠れるものです。狭苦しい2シーターの運転席で、北海道最後の夜が更けていきます。

 

続きます。