ー ORDINARY ー

※ 登場人物はすべてフィクションです。車と楽器とフィクションに塗れた会社員の日常を、のんべんだらりと書き綴っています。

Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue).

Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue). 


探しに探し歩いて手に入れた、念願のフェンダーストラトキャスターです。 

 

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バランスの良いギターです。引き締まった太さで、ローがボーボー言わず、弾いていて気持ちがいい雑味のある倍音感があります。ツマミの反応も良く、ボリュームを絞ればスッと音が引いて、トーンを絞ればハイが丸まって、聴覚上の太さが増します。 

 


Fender Custom Shop 2011 ‘60 Stratocaster Relic (Sonic Blue)


スペックは所謂普通の60ストラトで、指板のRは9.5R。フレットはミディアムジャンボ。木材はアルダーボディーにメイプルネック、ローズウッド指板で、リアにトーンは効いてません。重量は3.39kg。ストラトの中じゃ軽い方だと思います。


こいつの特徴は、センターピックアップの音がやたらと良いことです。


それまでストラトのセンターというと、比較的リア寄りの、高域が暴れるチャキチャキした印象があったんですが、こいつは輪郭のクッキリしたフロントのような、何とも扱いやすい音がします。おかげでトム・ミッシュごっこが捗ってます。カッティングが楽しい。


センターのおかげかハーフトーンも良くて、前に出過ぎないけど音量感のある、クリーンでソロを弾いてるときに切り替えても違和感のない汎用感があります。アルペジオやカッティングに至っては気持ち良くて悶絶しそうです。


リアは未だによくわかっていませんが、テレキャスレスポールが手持ちにあるので、ストラト独特のチャキチャキしたリアは、これはこれでいいと思います。音がダブ付きがちな低音弦を駆け上がるフレーズのときにでも、スッと切り替えて混ぜ込んで行きたい。


フロントは言わずもがな。太さを保ちつつスッキリしているので、使い勝手が良いです。

 

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ポットは3つともCTSのAカーブの250kΩ。コンデンサは調べたんですけどよく分かりませんでした。見た目はオレンジドロップみたいなやつです。


ピックガード裏にはノイズ対策のアルミシート貼り付け済。元からなのか改造なのか。


配線もやたらときれいなので、ひょっとしたら一度どこかのショップで手が入ってるんじゃないかと思っています。この配線がアメリケンの仕事とはとても思えない(偏見)。

 

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あちこちに刻まれたシリアルやらRELICの刻印やら。キャビティーの中に「SONIC BLUE」とボディーカラーが刻まれているのは、見つけたときにちょっと嬉しくなりました。この色がほしかったので…。



私は、好きなギタリストのトップ3がクラプトン、ジョン・メイヤー、トム・ミッシュの3人で、全員いろんなギターを使っちゃいますが、メインが何かと聞かれたら誰もが満場一致でストラトと答えると思います。それもフェンダーの。


そんなわけで、それまでG&Lとフジゲンのストラトタイプを使っていた私も、2018年夏、「いい加減フェンダーほしい」の欲望がとうとう抑えきれなくなり、水面下で物色を開始しました。


結論から言うと、あれこれ弾いて辿り着いたのは以下のような個体でした。


①フロントの音が太過ぎず細過ぎないこと

ハーフトーンの印象が良いこと

③指板が色の濃いローズウッドであること

④ボディーがカスタムカラー(出来れば青系)であること

⑤レリック加工が好みであること

⑥スモールヘッドのフェンダーであること


①は、手持ちのFullertoneテレキャスターがガッツリ音の太いギターだったので、差別化を測りたかったのが理由です。

 
加えて2018年製のカスタムショップを弾いたとき、印象はよかったんですが、音があまりに太過ぎたことが気になりました。低域がこれでもかってくらい出まくってたんですよね。ストラトはもうちょっとスッキリしてた方がらしいかなとも思い、「ミッドはともかくローはそんなに出まくらない」個体を探すようになりました。指板の色もやたらと薄かったので飛びつけなかったのが結果的に良かったのかも。

 
逆に、当時御茶ノ水にやたらと入荷していたクラプトンのブラッキーレプリカ。付属品なしで特価の個体があったのでこれはと思い弾きに行きましたが、フロントの音が激烈にシャキッとしていて、これも結局見送りました。70年代当時のクラプトンのイメージに近いっちゃ近かったんですけど、さすがに自分で使うには音が細過ぎると思うに至り。ただあれ、使いこなせたらかっこいいだろうな…。

 

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続いて②。私の印象ですが、ローがガン鳴りするストラトって、ハーフトーンに切り替えた途端に音圧がガクっと落ちる傾向がありまして、「ハーフトーンに切り替えたとき違和感がない」はかなり重要視しました。センターとハーフトーンストラトならではの特徴だと思うので、これはやっぱり正解だったと今でも思ってます。


なお、2010年代前半のカスタムショップはこの辺りのバランスが良好な個体が多かったです。青がほしくてこの年代のシェルピンクのストラトを見送ったりもしたのですが、あれもジョン・スコフィールドみたいでかっこよかったな…。

 
③~⑥は完全に見た目の好みの問題ですが、「フェンダーストラト」に限っては吟味して買わないととにかく後悔しそうだったので、焦って買わず好みの見た目が現れるまでふらふら探し回ることにしました。

 
音だけで言えば、アルダーボディーにメイプル1ピースネックの57タイプもメチャクチャ良かったのですけど、青系のカスタムカラーが全然見当たらず候補から離脱。サンバーストの57タイプも、ブラウニーみたいでかっこよくて好きだったんですけどね…。

 

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うんうん唸りながら都内をふらついて2ヶ月。

 
9月も下旬になったある日、とうとうデジマートで見た目ドンピシャの個体を発見しました。

 
出物の在処は渋谷の中古専門店、ニコニコギターズ。宮益坂をちょこっと上がったビルの2階にあって、中に入ると、左手にカスタムショップのストラトがズラリ。右手にレスポールが壁一面にこれまたズラリ、奥にはタイラーやらトムアンやらPRSが陳列しているという、中々パワフルなお店でした。あと、店員さんに今風の若者がやたらと多かったのが印象的でした。どういう経営と雇用形態なんだろうあそこ。

 

果たして、目当てのダフネブルーの2018年製ストラトはそこにあり、比較対象として、見た目が好みだった2011年製のソニックブルーと一緒に弾かせてもらうことになりました。

 

ダフネブルーの方は新品同然で、弾いてみると、以前見送った2018年製の新品と同じく、ドッシリと太い音がしました。色合いも好みで、ローズ指板も黒々としたドンピシャのルックスだったので「これで決まりかな」と思いつつも、念のためもう一本ソニックブルーを鳴らしてみたところ、

 

「…………」

 

スッキリしてて扱いやすい音がしました。

 

以前、見た目が合わなくて見送ったシェルピンクの個体と同じ、バランスの良いフロントの音がします。しばらく弾いてからハーフトーン、センターに切り替えたところ、

 

「…………」

「いかがですか?」

「こ、こっちのが好みっすね…」

 

強いて言えば2018年製の方はリアにトーンが効く仕様で、2011年製はトラッドな仕様そのまんま。2018年製はトーンのツマミフルでもリアの太さが目立つ音でしたが、2011年製のリアのシャキシャキした音もこれはこれで楽しいです。太いリアならテレキャスターがあるし、こっちはこっちでストラトらしい気もします。

 

「どうされます?」

「い、いや、ちょっと、買うつもりだったやつよりよかったんで、一旦頭冷やしていいすか…」

 

などと判断を保留するも、一晩置いて考えてもソニックブルーの個体の方が扱いやすそうだったので、結局センターとハーフトーンの印象が特によかったことを理由に決断。翌日、持ち帰る気満々で車で渋谷に赴き、無事購入と相成りました。

 


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こいつのおかげで、演奏中にボリュームツマミを弄るようになってきました。

 

普段、Mad ProfessorのSweet Honey Overdriveをプリアンプ的に常時オンにしていて、「アンプをパンパンにした歪みかけのクリーントーン」みたいなものをメインの音にしているのですが、このストラトはその状態でボリュームをちょっとだけ絞ると、何ともクリアなクリーントーンが鳴ってくれます。そいつにディレイとリバーブをかけてソロでも弾こうものならもう気持ちいいのなんの。

 

音色が全体的にスッキリしているので、メロウな音がほしいときはレスポール、歯切れの良さがほしいときはストラトで使い分けてます。

 

出せる音の幅が広い上に軽くて持ちやすいこともあって、パッと手に取るギターといえば大体このストラトになっています。お気に入りです。

 

追記:トレモロスプリングはジョン・メイヤーっぽく5本掛けにしたかったのでRaw Vintageに交換済。ブリッジはベタ付け、クリーン主体なので弦高はちょっと高めにしてます。